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あなたのまちを ぐるり深ぼりツアー vol.10

第10回 「十勝の旅」<後編>

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あなたのまちを ぐるり深ぼりツアー 第10回「十勝の旅」<後編>

これまで道内各地を取材してきた北海道の月刊情報誌「HO(ほ)」が、毎月、あなたのまちにスポットをあて、まちの魅力を深ぼりしてご紹介。
北海道がもっとおもしろくなるマニアックな旅へお誘いします。

今月は「十勝」を旅します。


士幌町の魅力が詰まった道の駅【道の駅 ピア21しほろ】

さて、前回に引き続き、士幌町を巡ります。
国道沿いで目立っている洗練された建物。かつて農家の住宅や牛舎によく使われていたマンサード屋根をモチーフにしたデザインがすてきですね。

2017(平成29)年に移転オープンした「道の駅 ピア21しほろ」は士幌町の魅力がギュッと詰まった、決して素通りできない道の駅なのです!
道産のカラマツ材をふんだんに使用し、天井が高く広々と気持ちのいい館内。週末は人であふれかえります。あれ?コーヒーのいい香りがしますよ…。

奥にあるのは「CAFE KANICHI 寛一」。バリスタの竹中亮さんが入れてくれる本格的なネルドリップコーヒーや、さまざまなカフェメニューや手作りスイーツが味わえます。
館内にはジャズやボサノバなどの心地よい音楽が流れ、道の駅ということを忘れてしまいそうです。かわいいものからアンティーク雑貨も販売しているんですよ。

開店から11時まではお得なモーニングセット500円(税込)がオススメです。おいしいコーヒーに香ばしいトーストとベーコン、地元産の野菜、ジャム2種が味わえます。

そして、ランチや軽食に人気の看板メニュー「しほろ牛ハンバーガーセット」980円(税込)。しほろ牛100%のパティ、町内産ポテトのサラダとレタスを帯広の「ますやパン」のバンズでサンドしています。お肉に負けないおいしさのフライドポテトも好評です。

さて、インパクトのある、このマグカップのお顔が気になりませんか?
この方はまちの人なら誰でも知っている、戦後に士幌町と十勝の農業に大きな功績を残した太田寛一氏。そう、カフェの名前は、今も町民に親しまれる、太田さんの名前を冠しているのです。

かつての士幌農協の組合長であり、よつば乳業を立ち上げた方で、士幌町をジャガイモの一大生産地に押し上げました。
実は「道の駅 ピア21しほろ」の「ピア」は、「どうしたら農民が豊かになるか。私は農村ユートピアをここにつくりたいと思っている」と理想を掲げた氏の言葉に由来しています。
このイラストも、公募で決まった地元の中学生が描いたものなんですよ。人柄がにじみ出るような笑顔が味がありますね!

そんな太田寛一氏への敬意に満ちた道の駅をプロデュースし、おみやげの開発なども行うのが株式会社at LOCAL代表の堀田悠希(ゆき)さん。駅長の松井宏之さんと共に、お客さんをいつも笑顔で迎えています。二人の後ろにあるのは、地元農家が栽培した旬の野菜や干し野菜など。農産加工品も種類豊富に揃います。

人気は冬でも購入できる、みずみずしいパクチーや水菜など。ハウスで通年栽培しているので、冬でも青々とした士幌町の野菜に出合えますよ。

実は堀田さん、この人気のパクチーをハウスで栽培する「夢想農園」のお嫁さんです。
夫の隆一さんはイタリアンシェフとして働いたのちに、農園を継ぎました。隆一さんの代からは珍しい野菜もたくさん作り、札幌や帯広など多くのレストランに届けています。
パクチーは8年ほど前にタイ料理の料理人に相談され作り始めました。冬も日照時間の長い十勝でゆっくりと育ち、香り豊かな冬こそ旬なのだそう。

春から10月までは道内で3割のシェアという白カブをメインに生産し、和牛の育成も行っています。そんな農家としての目線で企画・運営する道の駅だからこそ、士幌農業の魅力が伝わる場となっているのですね。

さて、話は道の駅に戻ります。
しほろ牛を一頭買いして、ステーキや牛丼などさまざまなメニューを提供する「にじいろ食堂」へ。名物の剣先スコップを鉄板皿に使った「剣先ハンバーグ」は1,380円(税込)。しほろ牛の荒びき肉100%で、ゴロゴロと食べ応えのある食感です。カラフルな野菜は夢想農園産が中心。和風の特製ソースもおいしく、ご飯が進みます。

士幌産のハスカップやシーベリーで作ったかりんとうや地元の旅館が作る評判の七面鳥の燻製、しほろ牛の加工品も種類豊富ですよ。士幌に来たらぜひ寄ってみて!

道の駅 ピア21しほろ

住所
河東郡士幌町士幌西2線134-1
電話
01564-5-3940
営業時間
[11~3月] 9:00~17:00
[4~10月] 9:00~18:00
定休日
年末年始
URL
https://pia21shihoro.jp/

CAFE KANICHI 寛一

電話
01564-5-5111
営業時間
[11~3月] 9:00~17:00
[4~10月] 9:00~18:00

にじいろ食堂

電話
01564-5-5111
営業時間
11:00~15:00

夢想農園

Facebook
https://www.facebook.com/musounouen

十勝のそばや小麦を製粉する、伝統の工場【大西精米製粉所】

さて、これからの季節、十勝はそばがおいしい季節ですね。
士幌には実は道内でも数少ない、個人で営む製粉所があるんですよ。

1950(昭和25)年に創業した「大西精米製粉所」。普段一般の人は入れない、工場の中におじゃましました。

創業当時から変わらない工場の中には機械をつなぐベルトが張り巡らされ、スイッチを入れると同時にうなるように響くモーターの音に圧倒されます。
動力源は一つで、そこから回転軸とベルトでそれぞれの機械に動力が伝わる仕組みです。真剣なまなざしで機械の動きを確認しているのは大西典(つかさ)さん。製粉機は新しいものですが、ふるいの機械は創業当時から使用しているものだそうです。

大西さんは38歳の若き2代目ですが、先代の祖父・金助さんの下で20歳から経験を重ね、職人歴は18年。金助さんが現場を引退して、製粉所を一人で営むようになり、もう7年になるそうです。ちなみに金助さんは91歳でお元気に現在は会長を務めていらっしゃいます。

そば粉は、まだ殻がついた玄蕎麦をふるってゴミと分ける作業から始まります。
その後、玄蕎麦を殻ごと挽き、むき実と殻に分け、むき実にさらに風味がある殻部分を一定量加えます。2つのローラーを回転させ、中に粒を引き込みローラーの溝で潰すように製粉するものをロール挽きと言い、ここでは1日かけてゆっくりと挽いています。
十勝管内や道東の人気そば店からも依頼を受け、その店独自のこだわりに合わせた挽き方にも対応しているそう。

そばは22.5kgから、小麦粉なら30kgから、個人客も受け入れています。
農家や店が試験栽培したものや趣味で栽培されている方など、十勝管内各地から持ち込まれるそう。下処理からはじめ、時間をかけて挽くので完成まではおよそ1週間。むき実にしてから挽く石臼挽きの機械もあり、好みの挽き具合にできるのです。
ただ、持ち込んだ時にゴミが多かったり実がしっかり乾燥していないと機械が詰まり、作業が遅れたり、完成したときの粉の量が減ってしまうそう。依頼をする場合は十分に乾燥させてからの持ち込みをお願いします!

挽きたてのなめらかなそば粉はとてもいい香りです。
「新そばがいいといいますが、個人的に一番おいしいと思うのは収穫したそばが安定する年明けから春ごろだと思うんですよね」
製粉所は今が一番の繁忙期で年明けまで続くそう。どうぞお体に気を付けて頑張ってくださいね。

さて、そば粉は道路沿いにある売店でも販売していますよ。

売店では大西さんの妻の美穂さんが、冷蔵庫で温度管理する、新鮮なそば粉やそばの実などを購入できます。
「そばはミネラル豊富なスーパーフードで、ダイエット食材として注目されています。手軽にいろいろなお料理に使えますよ。そばの実はご飯と一緒に炊き込んだり、ゆでてサラダに入れたり」

「粉は小麦粉の代わりにとろみに使うのもオススメです。和風クリームソース風パスタは、炒めた具材に、牛乳や豆乳、和風顆粒だしを入れ、とろみづけに蕎麦粉を入れて作ります。グラタンやシチューにもいいですよ」
なるほど、早速そばの実、購入してみました!

さて、大西さんが製粉したそば粉を使ったそばは、ご近所でも食べられます。製粉所から車で20分ほど、隣町・上士幌町にある2018(平成30)年の12月にオープンした「五武庵(ごぶあん)」。表通りから1本入った裏通りに、小さな看板の店を構えています。

十勝食材の魅力に惹かれ、東京から移住してきた料理人・平野昌樹さんが5人の仲間と開いたそう。昼はつなぎ無しの十割そばの専門店、夜は居酒屋となり、二八そばを味わえます。モダンな雰囲気がすてきな店ですね。

自家製麺のコシのあるそばは香りよく、のど越し抜群。カツオだしを強めに利かせたつゆが合い、おいしいのです。ぜひ立ち寄ってみてくださいね!

大西精米製粉所

住所
河東郡士幌町字中士幌西2線73
電話
01564-7-4150
営業時間
9:00~16:00
定休日
日・祝日

※持ち込みの場合は事前にご予約ください。
※工場の見学はできません。
※製品は道の駅でも購入できます。

蕎麦 五武庵

住所
河東郡上士幌町字上士幌東3線235-32
電話
01564-7-7378
営業時間
11:30~14:00
18:00~23:00
定休日
不定休

※掲載情報は2019年11月25日時点のものです。

北海道情報誌
HO
[ ほ ]
(毎月25日発売 本体556円+税)


北海道の旬な情報、おすすめスポットなどを、独自の視点で紹介する北海道の総合情報誌です。道民も目からウロコの情報をお届けします。
http://www.burant.co.jp/


プレゼント

「道の駅 ピア21しほろ」より、大西精米製粉所のそばの実やしほろ牛加工品など、特産品詰め合わせを抽選で10名さまにプレゼント!

※セット内容は変更になる場合があります。
※厳正なる抽選のうえ、賞品の発送をもって発表にかえさせていただきます。
※当選賞品の発送は1月下旬の予定です。

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