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アメリカ「シアトルの素顔に出合える美しきマーケットへ」

バカンスのススメ 非日常の世界に遊ぶ vol.15

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アメリカ北西部に位置し、カナダと国境を接するシアトル。この港町の名前を聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか? もしも音楽好きならジミ・ヘンドリックスやカート・コバーンゆかりの街として記憶しているかもしれないし、コーヒー好きならスターバックス発祥の地としての印象が強いだろう。ビジネスやテクノロジーに関心がある人なら、アマゾンやマイクロソフトの本拠地と答えるのではないだろうか。

時代の流れとともに、さまざまなカルチャーやイノベーションを世界に発信してきたシアトル。常に変化し続けるこの街で、100年以上前から変わらずに愛される場所がある。それが、この街のダウンタウンの中心部に位置する「パイク・プレース・マーケット」だ。


“タマネギ” がきっかけで生まれた
全米最古の公共市場

1907年に開設された「パイク・プレース・マーケット」は、現存するアメリカ最古のマーケットとして知られる場所。その歴史は“タマネギ”をめぐる騒動に端を発している。当時アラスカ・ゴールドラッシュの影響で急成長していたシアトルでは、食品への需要が高まりを受けてタマネギの価格が急騰。卸売業者によって不当に釣り上げられたタマネギの価格に憤りを感じた農民や市民の声により、生産者と消費者が直接つながる場としてこの市場が生まれたのだ。

以来、「Meet the Producer(生産者に会おう)」を合言葉に掲げる「パイク・プレース・マーケット」は、シアトル近郊の農家を中心にさまざまな生産者が集結する場として成長してきた。現在の市場は、4ブロックにまたがって24もの建物が立ち並ぶスケールで、約85もの農家や約225のハンドクラフトショップ、約240もの小売店やレストランをはじめ、さまざまな施設が点在。年間約150万人が訪れる“シアトルの台所”として愛されているのだ。


美食と人々の熱気を楽しむマーケット散策

世界のどの街を訪れても、地元の人々の生活に根ざした市場には、独特の雰囲気があるもの。もちろん「パイク・プレース・マーケット」も、市場ならではの熱気や高揚感に満ちている。広大なマーケットを歩けば、四季折々の野菜やハーブ、果物などを販売する農家の姿や、マグロやロブスター、メカジキなどの新鮮な魚介類を扱うフィッシュマーケット、さらにはチーズやハムなどの加工品を扱う店まで、カラフルなショップが続々。マーケット内にはさまざまな食材の香りが立ち込め、細い通路を挟んで活気に満ちた声が飛び交っている。魚の調理法について質問する人、真剣な目つきで野菜を選ぶ人、できたてのチーズを味見する人……。それぞれのペースで買い物を楽しむ地元の人々の姿を見ていると、「Meet the Producer」の伝統が今もこの市場に息づいていることを、きっと感じられるだろう。

新鮮な食材を使ったグルメとの出合いも「パイク・プレース・マーケット」の大きな魅力のひとつだ。市場内には30を超えるレストランが点在しており、1909年創業の老舗シーフードレストラン「アセニアン・シーフード・レストラン」やシアトル屈指の人気を誇るフレンチビストロ「カフェ・カンパーニュ」、アメリカ北西部の有機野菜を使ったイタリアンレストラン「ザ・ピンク・ドア」など、シアトルを代表する名物店が多数。そのほか、ドーナツやカップケーキなど、地元っ子お気に入りのスイーツを販売するショップやクラフトビール専門店など、グルメスポットのバリエーションは実にさまざまで、マーケットをひと回りすればシアトルの美食トレンドがわかってしまうほどだ。

さらに「パイク・プレース・マーケット」名物のひとつが、スターバックスの1号店。創業当時のレトロなロゴを掲げた店の前に、オリジナルグッズを求める人々の行列ができることもしばしばだ。もちろんシアトルは、世界的に有名な“コーヒー文化の発信地”。スターバックス以外にもハイレベルなカフェが数多くあるので、マーケット歩きに疲れたらコーヒー片手にひと休みするのがオススメだ。


シアトル市民が守り続ける、街のシンボルとして

1907年のオープン以来、シアトルの街とともに歩み続けてきた「パイク・プレース・マーケット」。およそ9エーカー(36,421平方メートル)におよぶ広大な場内を歩けば、ここが単なる市場ではなく、シアトルの人々が育んできた“街のシンボル”であることがわかるはずだ。その象徴ともいえるのが、マーケットの玄関口に置かれた、豚の銅像「レイチェル」。実はこの「レイチェル」寄付金箱になっており、集められた寄付金は「パイク・プレース・マーケット財団」が行う、低所得者用住宅やチャイルドケア施設、診療所の運営など、マーケット内のコミュニティ支援に充てられている。また、2017年にはマーケットの海側に広大なテラスを備えた新名所「マーケットフロント」がオープンしているが、この建設プロジェクトにも市民から多額の寄付が寄せられたという。つまり、「パイク・プレース・マーケット」は、こうした市民の“意思”によって発展してきた場所なのだ。

100年以上前に市民の声によって生まれ、市民の意思によって支えられてきた「パイク・マーケット・プレース」は、どんな観光名所よりもシアトルの“素顔”に出合える場所なのかもしれない。眼の前に広がる海を眺めながらシーフードを味わい、旬の野菜を販売する農家の人々と言葉を交わし、マーケットを行き交う人々の日常を眺める……。そんな旅の時間は、きっとシアトルの新たな魅力を教えてくれるはずだ。

文/吉原徹
撮影/柳川詩乃


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札幌(新千歳)から東京(成田)で乗り継ぎ、シアトル・タコマ国際空港へ。

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掲載情報は2019年7月1日時点のものです。

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