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あなたのまちのエナジースポット巡り旅 vol.3

あなたのまちのエナジースポット巡り旅 vol.3「江差・乙部・上ノ国の旅<前編>」

こちらに掲載されている記事の、ポイント獲得・抽選応募期限は終了しております。

北海道の月刊情報誌「HO(ほ)」が地元の人気店や穴場店、まちを元気にする企業、大切に守る伝統や歴史を訪ね、HO流の北海道再発見の旅へ、みなさんをお連れします!


思いを染み込ませるまちづくり【皐月蔵チャミセ/江差いにしえ資源研究会】

松前藩政時代から明治初期まで、北前船交易港としてヒノキ材交易やニシン漁で栄えた江差町。古い町並みを残す「いにしえ街道」や道内最古の「姥神大神宮渡御祭」、北前船が運んだ「江差追分」など郷土芸能等も数多く残ります。
江差独自の歴史や文化の物語「江差の5月は江戸にもない~ニシンの繁栄が息づく町~」として、2017年に北海道で第1号となる日本遺産に認定されました。

歴史を生かしたまちづくりは1989年からはじまり、2004年、旧国道沿いに完成した「いにしえ街道」はその象徴。瓦屋根や木造家屋の歴史的建造物、史跡も数多く保存され、歴史を感じながら散策を楽しめます。

いにしえ街道に並ぶお店の人はとっても気さく。気軽に声をかけ、江差の暮らしや自分たちが歩んできた歴史を語ってくれるので、いろいろと立ち寄ってみるのがおすすめです。

そんないにしえ街道にある「皐月蔵(さつきぐら)チャミセ」
築160年の4棟連なる土蔵を改装した、カフェでありコミュニティスペースです。

外壁に掲げられた家印は「人」「厚い丸」が組み合わされ「人が集まる」という願いが込められているそう。
もとの持ち主から町が譲り受け、「江差いにしえ資源会」が管理運営しています。

多くの地元の人たちと手直ししたという、古い梁が残る漆塗りが美しい館内では一休みすることができます。珍しい郷土料理が食べられ、地元のお菓子やパンでお茶ができたり、「お守り作り」などワークショップが開かれることも。

長い時を経て残る蔵の雰囲気を生かした、ギャラリーとしても利用しています。
埋め立てられて道路になるまでは、蔵のすぐ裏は海でした。
江戸時代に倉庫として建てられ、北前船が運んだ積み荷が直接船から運び込まれていた場所です。

古い柱に書かれている文字から江戸末期の建物と言われていますが、もっと古い時代に建てられたものかもしれないそうです。見学は自由にできます。船員さんが描いたのでしょうか、北前船の落書き、上手です。

中心は、「江差のまちづくりと言えばこの人!」と言われる、会長の室谷元男さんです。いにしえ街道を作った「江差町歴まち商店街組合」の前理事長でした。本業は塗料店の店主さんです。
30年前から「自分たちのまちに、こんな素晴らしい文化や歴史が眠っていた」と目覚め、仲間とともに歴史を生かしたまちづくりに取り組んできました。
「文化をつなぎ、職人を育て、蔵と縁を結ぶ」をテーマに、現在は「江差いにしえ資源会」の会長として活躍。ほかにも「江差塗工房」などいろいろ活動されています。

事務局の中島晶子さんは、江差に魅了され埼玉から移住してきました。本業は建築士ですが、まちづくりにかかわり、活動する地元の人々を支えています。

「まちづくりは、思いを染み込ませていくように、じっくりと時間をかけて作り上げていくものだと思います。」と室谷さん。30年という時間をかけ、今では日本の中でも独自性がある、江差の文化が生きるまちづくりが実現されています。
「まちにたくさんの人に来てもらいたい。来てもらうためには、こちらからも出かけないとね」と、各地の交流にも熱心でフットワークも軽やかな室谷さん。

江差の文化を楽しんでもらうための仕掛けも次々にチャレンジしています。
夏は蔵の前で市場を開催したり、レンタルの着物で散策ができる「着物で歴まち散策」では、オプションでランチやワークショップ体験なども行っているので、ぜひ立ち寄ってみませんか?

それにしても郷土料理、とてもおいしかった。「ふきんこ汁膳」は700円。
地元の磯海苔のご飯、じゃがいもの団子と根菜や舞茸が入ったふきんこ汁のセットで、透明感のある団子はつるりと弾力がありはまる食感。ぜひ体験してみてください。

スポット情報

皐月蔵チャミセ/江差いにしえ資源研究会

住所
檜山郡江差町姥神町18-1
電話
090-7656-5473
営業時間
11:00~16:00(L.O.15:30)
定休日
月・火曜 ※冬季休業
※土蔵群の見学は無料
URL
http://esashi.sakura.ne.jp/may/

生き続ける、ヒバの古材と職人技を生かす【江差塗工房】

「皐月蔵チャミセ」から徒歩1分ほどのところに、室谷さんたちが日本伝統の漆製品を江差で造ろうと1997年から活動を始めた「江差塗工房」があります。

室谷家の土蔵をリノベーションしたギャラリーがあり、その隣に作業所があります。
予約をすれば誰でも見ることができます。

北前船で能登半島から運ばれてきた輪島塗のお椀やお膳。
昔から江差の家庭には必ずある身近なものです。
「江差塗工房」の皆さんは、その輪島塗の職人と交流を続けながら活動しています。

迎えてくれたのは代表の辻希良さん。「本職の塗装の技術で漆(うるし)塗りができないかと思案していたら、不思議なご縁で、石川県の輪島漆器商工業協同組合と知り合いました。指導も最初は断られたのですが、私たちの思いを汲んでいただき、輪島で研修を受けたり、職人を江差に派遣してくれたり。交流は続いています」

見事なギャラリーは2000年から1年かけ、仲間と土蔵を直し、柱や壁、階段や床などに贅沢に漆を施しました。艶やかな漆塗りの美しさと、蔵のレトロな雰囲気が相まって、別世界に来たよう。

蔵の一番太い梁を利用したテーブルは評判の作品。
100年以上も前の梁のテーブルは「年輪を数えたら300年以上。私たちはこういう古い木材を生かしたかった」
辻さんたちは古材や古道具をリメイクして漆塗り家具を作っています。

建て替えや道路拡張などで出た、古い蔵や建物の古材は大切に保存しています。柱などのヒバ(ヒノキアスナロ)はみな80~100年以上前のものですが、表面をけずるとヒバのすがすがしい香りが感じられ、中は真っ白。木は生き続けています。

2年前にできた2階もあります。
カラマツ材の床には、酸化鉄の天然顔料で防虫効果のある赤い弁柄(べんがら)を塗り、さらに漆を重ねました。しっとり濡れたような赤い床がきれいです。

刃物の跡が残る木材の座椅子も印象的。「こうして昔の職人の技を残しているんです。たとえばこの木釿(ちょうな ※手斧、釿)という、小型の鍬のような形の工具で削った目。平らにするために木に施す手法ですが、リズミカルな目を出すのは難しくて自分たちにはできなかったんです」

作業は外での仕事がない冬が中心です。
「拭き漆」という方法で、生の漆を塗っては布で拭いて乾かす…ということを繰り返します。
黄みがかった不透明な生漆は、塗ると酸化して濃くなり、やがて透明感がでてきます。
工房では色を加えない、木目の美しさが生きるこの生漆が中心。

「うるし刷毛」で塗りますが、鉛筆の芯のように先端から柄尻まで毛が入っており、削りながら使うんですよ。

漆もこの手作りの刷毛も高価で、特に国産漆は手に入りません。
いつかは「漆も地場産で」と心に誓い、漆の木を年に100本ほど植樹し、700本ほどに増えました。
道南産の漆が採れるまではもうひとふんばり。

そんなみなさんの作品に触れられるアンテナショップ「木どりやカンナヅキ」がいにしえ街道沿いにあります。

漆の家具や塗り箸、時計、そのほか檜山の木工品や手工芸品も販売しています。
ぜひ立ち寄ってみてください。

スポット情報

江差塗工房

住所
檜山郡江差町姥神町11
電話
0139-52-0626(室谷塗料店)
※見学は要予約(見学希望に応じて開館)

木どりやカンナヅキ

住所
檜山郡江差町中歌町59
電話
0139-52-0626(室谷塗料店)
営業時間
10:00~16:00
定休日
月曜

地元に愛される極旨スープのラーメン【しおトンコツラーメン嶋】

江差のすぐ隣町、乙部町。追分ソーランライン沿い、乙部町役場の目の前にラーメン店があります。とても分かりやすいはずなのに、見逃してしまうことも。

それもそのはず。ごく普通の1軒家に営業中に立つ、赤いのぼりだけが目印です。

しかも店が開いているのは、週末を含む週4日間の昼と深夜のみなのです。
近くまで来たら、これは寄るしかないでしょう。
入り口は裏にまわります。
昼どきに訪れると、小さな店にはすでに人がいっぱい。

メニューもシンプルに「しおトンコツラーメン」700円、大盛り800円、昼のみの「やわらか煮豚丼」400円。以上です。

店主の寺嶋繁さんが1989年に、脱サラをして地元に焼き鳥店を開いたのがそもそもの始まり。「締めのラーメンがあったほうがいいと、お客さんや精肉店の知り合いの知恵を借りて作ったんだよ。私は素人だから、詳しい人たちの意見を聞いたほうがいいと思って」
その後、いつしかラーメンが大評判に。寺嶋さんはその腕を買われ、東京のラーメン店の監修にかかわるため、乙部を離れました。

体調を崩し帰郷してからはしばらく違う仕事をしていましたが、偶然会った昔のお客さんをはじめ、町の人たちの「あのラーメンが食べたい」という熱いラブコールに応え、2012年に復活しました。復活の際もかつての常連さんたちに食べてもらい、味を取り戻したそう。

そんな寺嶋さんのトンコツラーメンは、臭みが無くとてもまろやか。
トンコツスープが苦手な人も驚くおいしさです。
なので女性のお客さんにも大人気。

「秘訣はしっかりとした繁殖用の大きな親豚の丸骨を使うこと。ラーメンを始めた当初からずっと使っています」
骨を下茹でして、しっかりと血や汚れを掃除して煮込みます。

骨髄と軟骨のコラーゲンをたっぷりと抽出したスープは成分が濃いため100度にならないうちに沸騰してしまうそう。
少しでも冷めると固まってくるので、器はよく温めて出してくれます。
なので、ラーメンが来たら急いで食べて!
豚バラ肉で作る、ほろりとほどける軟かチャーシューもクセになります。

ストレート麺は、青森のメーカーに特注。
「今流行の硬質じゃなくスープをよく吸う昔ながらの麺を作ってくれるから」

チャーシューの特に軟らかい部分を、特製の甘辛い醤油だれで焼く、昼限定の「やわらか煮豚丼」400円も大人気。数に限りがあるので、あったらラッキーですよ。

遠方から訪れるファンが多く、跡継ぎがいなかった寺嶋さんの味をぜひ継ぎたいと、札幌の若い夫婦が乙部に通い、この春、白石区に店を開いたそう。

乙部の人たちの自慢でもある寺嶋さんの味、これからも広がっていきそうですね!

スポット情報

しおトンコツラーメン嶋

住所
爾志郡乙部町緑町370
電話
0139-62-2629
営業時間
11:00~13:30、23:00~00:30
(日曜の夜を除く)
営業日
木~日曜

北前船の時代から、長く愛される羊羹【五勝手屋本舗】

江差と言えば、「五勝手屋羊羹」(ごかってやようかん)
四角いタイプもありますが、赤い筒形の羊羹、大好物だという道民も多いのです。

創業から148年。1870(明治3)年の「五勝手屋羊羹」製造販売を始めた年を創業年としていますが、「古い文献に練り羊羹が得意な菓子屋としての記録があるので、菓子屋としてはもっと古い時代からありました。おそらく江戸時代後期ぐらいからでしょう」

専務の小笠原敏文さんは、なんと6代目にあたります。「五勝手屋本舗」は今年150年を迎える“北海道”とほぼ同じ歴史を持つ、道内屈指の老舗店。
かつて江差にあった五勝手村で穫れた豆を使い、お菓子を作ったことに由来して、屋号を五勝手屋としています。
一度聴いたら忘れられない「五勝手」とは地名なのですね。「コカイテ」という、波が立っている所という意味のアイヌ語がもとと言われているそう。

こちらの羊羹、金時豆で出来ているということを、意外と知らない人も多いのです。
「江差に根付いた豆が金時豆で、地元の豆と北前船で運んできた砂糖を使って羊羹を作っていました」
現在は十勝産の大正金時を使っていますが、かつては江差独自の金時豆で作っていたそうです。

五勝手屋羊羹が全国的に有名になったのは、1936(昭和11)年に天皇陛下が道南に行幸された際、お土産として献上されたことから。これはその際の発注書だそうです。

148年前から変わらない製法で、丁寧に作られる羊羹。
早朝から豆を煮て、ほぼ1日かけて練り上げ完成させます。

「寒天の煮詰め具合や、煮あがった豆の絞り加減、練りの具合など熟練した職人でなければ安定した味に仕上げられません」
現在70歳のベテラン職人さんが、釜を守っていました。

あ、工場の神棚には姥神大神宮のお札。
ボイラー室にも、火を沈めてくれるようにまた別の神棚を祀っているそうです。
姥神大神宮の神様も創業からずっとこの味を守ってくれているのかもしれませんね。

添加物は一切使用せず、材料は豆と寒天、砂糖と水あめのみ。
時間をかけて練り上げることで、砂糖がカラメル化して独特のコクと風味が生まれるのだそう。
筒形は1938(昭和13)年から発売。上のお砂糖のざらっとした部分もたまりません。

練り上げた羊羹は、お砂糖でフタをして、1日かけて粗熱をとります。

翌日にようやくおなじみの姿となるのです。
ずらりと並んだ筒形羊羹、江差から道内はもとより全国に旅立っていきます。

「五勝手屋羊羹」は今も昔も道南を代表するお菓子。
おみやげにもとても喜ばれます。
江差の人々も誇らしいでしょうね。
今日はおいしさのヒミツを教えてもらって、感激しました。

ちなみに、地元の人にとっては「五勝手屋本舗」は昔からの馴染みのおいしいお菓子屋さん。
羊羹以外にも、おいしいお菓子や本店だからこその限定品がいろいろあるんですよ。
次回、「江差・乙部・上ノ国の旅 後編」でご紹介します。
お楽しみに!

スポット情報

五勝手屋本舗

住所
檜山郡江差町字本町38
電話
0139-52-0022
営業時間
8:00~19:00
定休日
無休(1月1日のみ)
URL
http://www.gokatteya.co.jp

江差・乙部・上ノ国のおみやげプレゼント

「皐月蔵チャミセ」
ふきんこ汁膳ペア食事券2名さま

「江差塗工房」
塗り箸 大小セット2名さま
※カラーはお任せください。

「しおトンコツラーメン嶋」
トンコツラーメン(2食入)2個セット3名さま

「五勝手屋本舗」
羊羹と本店限定味噌パンのセット3名さま

※賞品は一例です。変更になる場合がございます。
※厳正なる抽選のうえ、賞品の発送をもって発表にかえさせていただきます。
※当選賞品の発送は6月下旬の予定です。

プレゼントのご応募について

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