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プロトークラウンジ Vol.03

教育学者 齋藤孝先生

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ここでしか聞けない、エネモールだけのSPトーク「プロトーク <LOUNGE>」 暮らしに1割の「換気」を。上機嫌を習慣に。 教育学者 明治大学文学部教授 齋藤 孝 Takashi Saito

教育学者として身体論やコミュニケーション論を研究し、『声に出して読みたい日本語』『上機嫌の作法』などのヒット著書も数多い齋藤孝さん。今回は、年齢を重ねるにつれ「毎日が同じことの繰り返し」「新しいことを始めるのがおっくう」と感じることが増える中、好奇心の育て方や日々を面白がるコツ、上機嫌に暮らす考え方について伺いました。


齋藤孝先生

齋藤孝先生 Profile

1960年、静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒業、同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。2001年『身体感覚を取り戻す』で新潮学芸賞、同年『声に出して読みたい日本語』が毎日出版文化賞特別賞を受賞し、シリーズ260万部のベストセラーに。著書累計は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導のほか、テレビ出演多数。


齋藤孝先生

01 Professional talk

ルーティンを維持しながら、
暮らしを少しだけ換気。

齋藤孝先生

―年齢を重ねると新しいことが面倒に感じる気がします。

40代、50代になると、生活習慣や行動のパターンがだんだん決まってきます。それに伴って、思考も固定されやすくなるんですね。ただ、悪いことばかりではありません。毎回イチから考えずに済むので、省エネという意味ではメリットも多いはず。生活に一定のリズムがあるのは、むしろ良いことだと思います。

―では、そのままでも良い?

今のルーティンをすべて変える必要はありません。いつもの生活を維持しながら、そこへ新しいものを1割、2割だけ入れるイメージです。部屋の空気を少し入れ替えるように、暮らしを「換気」するとでも言いましょうか。

―「換気」するための好奇心は育てられますか?

好奇心をかきたてるには、少し意識して行動することが大切。インスパイアされやすい「構え」を作っておくのがおすすめです。例えば、テレビで「この体操がいい」と放送されたとして、そのまま見ている人と、実際にテレビの前で試してみる人に分かれますよね。もし、前者のタイプなら、立って体を動かしてみるように意識しておくと良いでしょう。

齋藤孝先生

02 Professional talk

「後でやってみよう」を、
やめてみよう。

齋藤孝先生

―刺激を受けやすくするコツはありますか。

その場で何でもアクションしてみるということですね。「このYouTubeが面白い」と言われた時に、その場で検索してみる。本を買う気になったら、その日のうちに20分でも読んでみる。興味を持った瞬間が最も熱の高い時なので、新しいことのスタートが切りやすいですよね。

―「その場で」が難しい人もいそうです。

子どもは「面白そう」と思えばすぐに動きます。けれど、20代、30代は仕事や子育てで忙しく、それどころではありません。でも、40代、50代になって生活のフェーズが少し変わってきたら、もう一度、小学生のころの感覚を取り戻してほしいですね。誰かに「これ、面白いよ」と言われたら、とりあえず見てみる、やってみるという素直さが、成長にもつながっていくと思います。

―毎日を面白くするためにできることは?

小さな手帳やノートを一冊持つといいですね。人から面白い本を教えてもらったり、気になる場所を見つけたりした時に、「これは面白いかも」と手書きでメモしておくんです。このノートがあるだけで、「何か面白いことはないかな」と探すようになるはず。予定だけではなく、刺激を受けたものや、これからやってみたいことを書く場所にすると、毎日の見方が少し変わります。

―手書きの理由はなんですか?

情報ってどんどん飛び交って、ちょっと姿を見せてもすぐに消えちゃいますよね。手書きは網を持って情報を捕まえに行く感覚が得られやすいもの。全部スマホに入れるのは便利なようですけれど、手帳に自ら書き込むことで、自分自身の大切なもののリストみたいに思えるんですよね。

齋藤孝先生

03 Professional talk

上機嫌は性格ではなく、
大人の習慣。

齋藤孝先生

―毎日を面白く過ごすには上機嫌でいることも大切?

そうですね。ただ、上機嫌は、性格というよりも習慣です。教育や文化によって身につけていく、社会的な作法と言ってもいいでしょう。自分の調子の悪さを仕事の場ですべて出してしまうと、周囲の人が気を遣わなければなりません。大人として、自分の機嫌は自分で整えることが大切です。

―先生ご自身も実践していますか?

私も授業をする立場として、「上機嫌でしか授業をしない」と決めています。不機嫌な先生では、学生も困りますからね。上機嫌でいることを習慣にすれば、気分の波に左右されにくくなるので快適ですよ。

―気分を切り替えるために、おすすめの方法は?

一つは、軽くジャンプすることです。軽く跳ぶと呼吸が楽になり、機嫌が少し上向きになります。子どものころの身体に近づくような感覚ですね。それと、声に出して文章を読むのもおすすめです。そうすると呼吸する力が高まりますし、新しい言葉や名文も身体の中に入ってきます。音読や暗唱を習慣にすると、身体と知性の両方に良い刺激を与えられると思います。

齋藤孝先生

04 Professional talk

北海道は呼吸がラクになり、
気持ちも開かれる土地。

齋藤孝先生

―北海道の魅力は?

まず、何と言っても自然の圧倒的な魅力があります。私は呼吸法を専門にしていますが、呼吸と空間には深い関係があるんです。開けた土地は呼吸を楽にして、気持ちも開いてくれます。ずっと暮らしていると、その雄大さが当たり前になってしまうかもしれませんが、時には別の土地へ出かけてから戻ってくると、「北海道はこんなにゆったりと呼吸できる場所だったんだ」と改めて感じられるのではないでしょうか。

―北海道の食を楽しむアイデアはありますか?

北海道の食材を季節ごとに楽しみ、それを5・7・5にしてみるのも面白いと思います。季語は考えず…というよりも食べ物が入っていれば季語みたいなものですから(笑)。俵万智さんの『サラダ記念日』って、ささやかなことを記念にすることですよね。「今日はこれを食べたから、○月○日は○○記念日」と決めてみるのもいいですね。いつもの食事も、言葉にして残すことで、ちょっと特別な出来事になります。

―先生ご自身の北海道の思い出は?

大学生のころ、兄とバイクで東北を目指していた時、途中のドライブインで出会った人が「これから北海道へ行く」と話していたんです。それを聞いて、私たちもそのまま北海道へ向かいました。夕方に東京を出て、翌朝には北海道にいたんですよ(笑)。まったく計画にはなかったのですが、北海道をバイクで回った時の気持ち良さは、40年ほどたった今でも鮮明に覚えています。

―最後に北海道に暮らす人へのメッセージを!

講演会でもよく北海道に伺う中で感じる皆さんの印象は「素直」です。私が「立ってください」と言うと、素直に反応してくださいます。最初はちょっと遠慮がちなところがあるかもしれないけど、やり出せば、快く対応してくれる方ばかりです。素晴らしい土地で暮らし、素直な感性もお持ちですから、気持ちを開いた状態で好奇心をキャッチしながら毎日を楽しんでいただきたいですね。

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