収納王子コジマジックさん

― コジマジックさんが取り組んでいる「収育」について聞かせてください。

「収納」と「育児・教育・育成」を組み合わせた言葉で、片づけの力を通じて「幸せに生きる力と知恵」を学ぶ取り組みです。片づけられる子どもを育て、導くことができる大人を育て、伝え続けるプロを育てることを目指しています。自分にとって、必要なモノと必要でないモノを分ける行為を整理収納判断力と呼ぶのですが、これを私がやっている「片づけ」に結びつけようと思ったんです。これがゆくゆくは自立心につながることを、私たち夫婦の子育てを通して感じたことがきっかけで、「収育」として体系化することにしました。子ども一人あたりの所有物が増えている今、従来の「整理整頓」に加えて「収納」が大切になってきています。だからこそ、モノと上手に付き合う方法が必要なんです。

― 子どもとお片づけするときの、コツや工夫を教えてください。

捨てるモノではなく、好きなモノを選ばせることです。例えば、おもちゃ。「どれを捨てる？」と聞くと、子どもは急に見向きもしなかったおもちゃで遊び始めたりするんですね。そうではなく「好きなおもちゃベスト10を教えて」と聞くと、楽しいし、自分の中で優先順位が決まるから、選んだモノを大切にする気持ちが生まれます。あとは、楽しめる仕組みをつくること。玄関で脱いだ靴を揃えるのに、その子の好きな色の足跡シールをつくって名前を書いて貼る。これだけで、きちんと靴を揃えるようになります。乗用玩具も、部屋の隅に白いテープで駐車場をつくるだけで、そこに戻してくれます。要は「元に戻す場所」を、子どもと相談しながら決めてあげることが大切なんです。

― もうすぐ12月。大掃除に向けてアドバイスがほしいです！

まずは、自分がよく使う場所から片づけましょう。それがキッチンなら、一番開け閉めする引き出しから。よく使う場所は必ずその日のうちに目にするので、効果を実感しやすいんです。片づけの順番は「出す→分ける→しまう」を必ず守ってください。全部出して持ち物の量を確認し、使っているか否かの事実で分ける。いる、いらないで分けると感情が入ってしまいます。そして、収納グッズを買うのは収納スペースを決めてから。収納スペースは、見える場所やよく使う場所に。デッドスペースの活用をよく聞かれますが、使いにくい場所って結局使わないです。あと、お掃除は予防が大切。100円グッズを活用して、コンロまわりに汚れ防止シートを貼ったり、マグネットやフックで浴室の小物を空中に浮かす収納をしたり。そうすれば、大掃除が格段に楽になりますよ。

― ズバリ、「片づけ」のメリットとは？

今やるべきことが見えてくること。手放すことで、新しいことを考えられるようになるし、手放したモノ以上のことが入ってくる。私の経験上、そう思いますね。自分が大切にしたいモノやコトにしっかり目を向けることができる。これが「片づけで人生が変わる」の正体なんです。