「球団史上初」前半戦での54勝は最多。貯金21以上で終えたのは14年ぶり、単独首位で折り返したのは16年ぶりといったように、データにも好調なチーム状況が現れています。谷口さんは、強くなったファイターズについて“新庄野球”が花開いたことが要因と見ています。
「新庄剛監督が就任して1、2年目は、若い選手が中心となり、経験が少ない選手が多いと思っていました。ファンの方ももどかしい、歯がゆい1、2年目のシーズンだったと思いますが、これからが楽しみという選手が多かった中で、全員にチャンスを与えて競争を促した。種を植えて肥料と水を与えて、3年目にようやく花が咲き始めて、そして4年目の今年、選手たちは確実にレベルアップして、首脳陣も悩ますほどに成長していますよね」
誰が出ても、誰かが調子を落としても、勝利をつかみ取れるというのが今のチーム状況。1、2年目にやってきたことが今の強さに間違いなく繋がっているのです。
選手のレベルアップに加えて、それぞれの色が出てきたことも大きいと谷口さんは言います。より自分らしさを出せる選手が活躍していると感じているそうです。そして一人の選手の武器が1つではなく、2つ、3つあることも“新庄野球”の特徴だと言います。
「例えば、五十幡亮汰選手は足の速さが大きな武器でしたが、それにプラスしてバッティング技術が向上してきました。以前は代走か守備固めでの出場が多かったですが、今は先発出場の機会が増えて打席での結果も出ています。出塁回数が増えることで相手が感じるプレッシャーはより強くなりました。
レイエス選手と万波中正選手にはホームランへの期待が大きいですし、野村佑希選手であれば打点が稼げる、清宮幸太郎選手であればアベレージが残せるし、そして二人ともホームランも打てる。一人の選手の武器が1つだけではなく、2つ、3つあることも特徴ですよね」
85本塁打、332得点は前半戦終了時点のリーグ1位。チーム打率は.245とリーグ2位ですが、7月以前は低打率だった中で、投手陣の頑張りで勝てた試合が多くありました。防御率2.25、失点231はリーグ最少。完投数が19で12球団トップなのは、先発、中継ぎ、抑えといったように分業制が進む中で、時代に逆行していると話題を集めています。こうした前半戦の傾向がはっきりしている中で、後半戦の展望は総力戦になると見ているようです。
「投手陣の頑張りはどのパ・リーグのチームよりも貢献度が高いと思いますが、やはりプロ野球は〝投げる〟と〝打つ〟が噛み合っているチームが強い。後半戦はピッチャーに疲れも出てきますので、〝打たないと勝てない〟試合が多くなってくる。そこに対してどのような準備をしていくか。もちろん毎回のようにうまくいかないのが野球ですから、ここからさらに総力戦になっていくので、『この選手ならやってくれる』という選手がたくさんいるファイターズは期待できるのではないでしょうか」
前半戦の戦いを終えてリーグ優勝と日本一という目標がよりイメージをしやすくなっていますが、リーグ優勝や日本一を経験しているファイターズの選手は、30代中盤の選手たち。経験豊富なベテラン勢と若いチームならではの物怖じしない、立ち向かう姿がカギを握ると感じているようです。
「追われる立場を経験してきた選手が少ないので、順位を守りながら自分たちの野球をやっていく難しさはあると思います。ただ、2、3年前はそういう思いすらできなかった。やりがいを感じながら勝利だけを目指してほしい。その中で、全選手が『今年やらないといけない』と思っているはずなので、非常に僕は楽しみにしています」
いろんな選手から「勝ちたい」「優勝したい」「日本一になりたい」という言葉が出てくるようになりましたが、これはより優勝が現実味を帯びてきたからと谷口さんは感じているようです。
優勝に一番近い位置にいるのは選手が育ってきたことが大きな要因ですが、育成しながら勝利を積み重ねてきた新庄監督の手腕への信頼も大きいようです。特に谷口さんが感じているのは愛情のある厳しさです。選手たちから出る「愉しむ」という言葉も、新庄監督の厳しさの裏返しだと言います。
「新庄監督就任後、選手たちから『新庄監督から愉しめと言われている』という言葉を聞くことが多くなったと思いますが、それもただ愉しめということではないと僕は思っています。『打たなきゃいけない』『抑えなきゃいけない』というのはプロ野球選手として当然だと思うんですけど、そこで『頑張ります』『頑張らないといけない』だと余計な力が入る。つまり、そこに入るまでの準備をしっかりしていたら、その場面を『愉しめるでしょ』ということなのではないでしょうか。『準備段階で決まっている』というような。だから『愉しめ』というのは、新庄監督の厳しさの表れでもあると。反対にいうと、今起用されている選手たちは、そういうことができているという見方もできますね。
1年目の最初に新庄監督が『全員一軍の試合に出しますよ』と言って、実際に全員を起用しました。一軍を経験したけれど結果を出せなくて『一軍に絶対戻りたい』という思いでやるのと、未知の世界である一軍の試合を鎌ヶ谷のテレビでただ見ているだけでは、ものすごいギャップがあるんですよね。ファイターズを去った選手もたくさんいましたけど、見違えるように成長している選手が多いのはすごいですよね。選手一人ひとりが一軍でどういう活躍をしたいか考えて取り組んできた結果ですし、チームづくりとして僕は間違ってなかったと思いますね」
新庄監督がSNSを通じて選手を褒めたりしているのも話題になっていますが、テレビで野球中継を見ながらSNSに投稿したり、SNSで結果を追跡したりといったようにファンの行動にも変化が見られるようになっています。そうした中で、選手も変化していると谷口さんは言います。
「選手自身のセルフプロデュースが上手くなっていると感じています。例えば、お立ち台で『僕のタオルが少ない』『みんなで掛け声をやりましょう』というように気の利いたコメントやファンとコミュニケーションをとれる選手が出てきました。でもこれは、活躍しているからこそできるという前提があるんです。活躍するためには練習が必要で、試合に出るには準備が必要で。そうして活躍すると、マイクを向けられて自分の意見を言える。シンプルな構図ですけど、ファンが増えて、それがまた活躍に繋がっていくんですよね。ユニフォームを着ているうちに、どんどん自分の色を出すに越したことはない」
応援してくれるファンが増えることで、「もっと活躍したい」とより強く思うようになる。〝ファンは宝物〟という新庄イズムも、実は選手自身に跳ね返ってきているのではないでしょうか。
選手の成長を間近で見ている谷口さんですが、これから注目選手として名前を挙げたのは4年目の達孝太投手です。3年という育成に充てた期間も、この活躍に通じていると言います。
「ピッチャーでは達孝太投手ですね。この活躍があるのは、やはり体づくりをしっかりしてきたからでしょう。高卒で入団して約3年間育成に充てた期間がありましたが、すごく体が大きくなった。入団時にこれからどうやっていきたいかを明確にして、しっかりトレーニングを積んできたことがわかりますよね。強気な発言も話題にもなっていますが、その裏側には『これだけやってきた』という自信があるんでしょう。シーズンが始まる前に僕は『今年5勝から7勝ぐらいするんじゃないか』と、テレビ出演をした際に言ったんですけど、2桁は勝つと上方修正をさせてください(笑)」
谷口さんの想像を超える活躍をしている達投手を始め、同期入団の柳川大晟投手、福島蓮投手にしても、この世代はアマチュア時代にコロナ禍で練習ができなかったり、試合ができなかったり、自分の実力を野球で表現するのが難しかった世代です。経験した辛さはもちろん本人にしか分かりませんが、その辛さを今はマウンド上で表現できているのではとも言います。
球団職員として選手時代とは違った形でチームと関わるようになって、見ているものも、見えているものも変わってきているようです。特にファイターズは、道民の生活に直結する球団であることを意識することが必要だと谷口さんは言います。もっと北海道に根付いた球団になって、「伊藤投手や万波選手みたいになりたい」という子どもを増やすことも目標に掲げています。
「中心は北海道ですが、もちろん全国にファイターズファンがいます。一つの試合、一つのプレーで『今日はいい日だね』と思える毎日が積み重なって、人生を豊かにしてもらえるといいですよね。
ただし、ファイターズという球団だけで成り立っているかというと、そうではありません。選手も、スポンサーやファンのみなさんのおかげでユニフォームが着られる、グランドに立てるんだという気持ちを強く持ってプレーしています。北海道の活性化につながるように、これからもスポンサーとファンとの良好な関係を築いていくことが重要だと思っています」
プロ野球球団は、ファンとスポンサーというパートナーと良好な関係があってこそ成り立ちます。つまり、球団とスポンサーとファンは、ウィンウィンウィンの関係を維持してシナジー効果を得ているとも言えます。それが、北海道の少なからず活力になっているのは間違いないでしょう。
最後に、選手とファンの中間に立つ球団職員として
「ほくでんエネモール」の会員のみなさまに
メッセージをいただきました。
「後半戦が始まると、さらに厳しい戦いになります。パ・リーグを制するためには、強いチームに勝たないといけません。北海道ボールパークFビレッジにはいろんな楽しみ方があって、ご飯を食べたいというのもありですし、エスコンフィールド内を巡りながら野球観戦の雰囲気を味わうのも一つの楽しみですし、日頃のストレスが溜まっているから声を出したいという理由で応援にくるのでもいいんです。何を選んでも正解なので、『まだ行ったことない』『エスコンで見たことない』という方は、ぜひ一度足を運んでほしいですね。
選手たちがよく『ファンの皆さんのおかげで打てました』と言いますけど、心の底から思っているんです。自分のグッズを持っていたり、ユニフォームを着ていたり、プラカードを持ってくれるのはもちろん、応援歌に合わせて手拍子をするという行動も『応援しているよ』『勝って』というファンの意思表示でしょう。だから選手は、その一つの応援に対して『結果で返したい』と全力を出すんですよ。
僕は選手時代に、コロナ禍の無観客の中で試合をした経験があります。もちろん、テレビやラジオ、携帯で情報をチェックしてくれるファンの方がいましたけど、やっぱり現地でたくさんの方の声援をもらえると選手はみんな頑張れるんです。ぜひ球場に来ていただいて、9年ぶりのリーグ優勝、日本一を目指す選手たちを後押ししてほしいですね」
前のリーグ優勝、そして日本一に輝いたのは2016年。9年ぶりの歓喜に向かって、選手はひたむきに目の前の試合を戦っています。ファンの声援は、選手たちの「あと一歩」「あと少し」「あと1秒」「あと1センチ」を引き出します。これからもファイターズを、ぜひ一緒に応援しましょう。
※データ・数字は取材日(7月18日)と前半終了(7月22日)時点のもの
2025年7月分の電気料金の請求があるお客さまが抽選対象となります。
当選者さまへの賞品発送は、2025年8月下旬頃を予定しています。
賞品の発送を以って、当選通知に変えさせえていただきます。
観戦ペアチケット当選者さまには、上記対象の日程の中から、いずれかの日程の観戦チケット2枚を郵送いたします。
座席・日程はお選びいただけませんので、ご了承ください。
なお、観戦チケットのみでエスコンフィールドに入場できますので、入場券の購入は不要となります。
観戦にあたっての交通費や宿泊費はお客さまのご負担となります。
当選の賞品を第三者に譲渡(転売・オークションへの出品などを含む)することは固くお断りします。
各種法令の内容をご理解のうえ、適切にご利用ください。