聞いトク!知っトク!プロトーク Vol.02
冒険家 三浦雄一郎さん
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花や木々が生き生きと輝き始める5月。北海道の豊かな自然を満喫するのに、登山なんていかがでしょう?今回、山の魅力を知るべくお話を伺ったのは、冒険家の三浦雄一郎さん。世界中の山々を制覇する三浦さん直伝の登山を楽しむコツや、健康づくりのポイントは必見です。

三浦雄一郎さん Profile
1932年青森生まれ。1964年イタリア・キロメーターランセに日本人として初挑戦、時速172.084キロの当時の世界新記録樹立。’66富士山直滑降。’70年エベレスト8,000m世界最高地点スキー滑降を成し遂げ、その記録映画は米国アカデミー賞を受賞。’85年世界七大陸最高峰のスキー滑降を完全達成。2003年次男(豪太)とともにエベレスト登頂、当時の世界最高年齢登頂記録(70歳7ヶ月)樹立。その後’08年(75歳)’13年(80歳)で3度目のエベレスト登頂を果たし世界記録を更新。2020年6月<特発性頸椎硬膜外血腫>を発症し脊髄損傷による後遺症から92歳になる今もリハビリを続け、生涯現役として次の挑戦を目指している。全国に1万人以上生徒がいるクラーク記念国際高等学校名誉校長。国内外の栄誉受賞、記録映画、写真集、著書多数。2013年日本国政府による「三浦雄一郎冒険賞」が創設される。
自然の中で過ごすことで、心も体もすっきり!
自分なりの山の楽しみ方を見つけて。
― 北海道にはさまざまな山がありますが、どんな魅力があるのでしょう?
山は、季節ごとにいろいろな表情を見せてくれます。花が咲いたり、実がついたり。冬には雪がキラキラと輝く景色を見ることもできます。今は新緑が美しい時期。澄んだ空気と生い茂る木々の中で過ごせば、森林浴にもなりますよ。夏は登山、冬はスキーと、山に入ることで心も身体もリフレッシュできると感じています。
― 登山には苦しいイメージもありますが、どうやって楽しむのがいいでしょう?
自分のペースで好きなように登ってください。写真を撮るのもよし、下山後の温泉やグルメを楽しみに登るのもよし。何度でも休憩していいですし、途中で辛くなったら下山したっていいんです。私は長期の登山に行くときは、必ず本を持参しています。
それから、家族で一緒に登るのもおすすめです。山登りはお互いの助け合いが必要ですから、家族の絆を深めるのにいいイベントになるでしょう。
安心・安全に登山を楽しむために
服装や持ち物は抜かりなく準備を。
― 登山をするときは、どんな服装がいいでしょう?
山は天気が変わりやすいとよく言いますよね。さらには体を動かすことに伴う体温の変化もあります。ですから登山時は、あらゆる状況に対応できるように重ね着をすることが大切なんです。それから、帽子も必須ですね。直射日光や紫外線を遮るのはもちろん、上から木の枝葉が落ちて来たり、急な降雨に見舞われたりすることもあります。大切な頭を守るために、必ず用意しましょう。
そして、持ち物に加えてほしいのが雨具です。おすすめは、上下セパレートタイプのもの。雨避けだけでなく防寒対策にもなりますから持っておいて損はありません。
最近ではおしゃれな登山グッズもたくさんでていますから、ぜひ専門店でスタッフに話を聞きながら選んでみてください。
― 急な体調不良やケガへの備えはどうしたらいいですか?
まず、できるだけ一人で山に入らないこと。特にビギナーは必ず誰かと一緒に出かけるようにしてください。一人だと、何か起こった際にパニックになり、対処しきれないことも大いにあります。また、特別なものを用意する必要はありませんが、備えとしてばんそうこうや常備薬などは持って行くようにしましょう。持っているだけでも安心につながります。

体力づくりのヒントは普段の生活の中に。
ちょっとしたひと工夫で健康を目指す。
― 登山に挑戦するためには、何かトレーニングをした方がいいですか?
私は2020年に病気をする前は、筋力をつけるために足におもりをつけ、登山時と同じ重さのリュックを背負って日常生活を送るようにしていました。リュックを背負うのは難しいかと思いますが、おもりをつけての生活は普段の生活にちょっと加えるだけですので、忙しい方でもトライしやすいのではないでしょうか。重さは500gなどの軽いもので十分。慣れたら負荷をあげてもいいですね。
― 体力や筋力をつけるために、食事で工夫していることがあれば知りたいです!
栄養のあるもの、特にたんぱく質をしっかり摂ることが大切だと思っています。どれも好物だということもありますが、肉やチーズなどを食べるようにしていますね。仲間内でも、肉を好んで食べる人はやっぱり元気。バランスよく食べることが大前提ですが、やっぱりたんぱく質は体づくりに欠かせないなと感じています。

何歳からでもチャレンジはできる!
小さな目標を持って過ごすことで、人生が豊かに。
― 大病を乗り越え、今なお挑戦し続ける三浦さん。何をモチベーションにされているのでしょう?
まだ行ったことのない山、見たことのない景色、そういった好奇心が私のモチベーションです。今、目標としているのは、フランスアルプスのモンブラン「バレーブランシュ」のスキー滑降。これを叶えたいという思いで、日々のリハビリも前向きに取り組んでいます。
何か目標があることで、人生はぐっとおもしろくなるような気がします。どんなに小さなことでもいいんです。行ってみたい、見てみたい、食べてみたい、そんな自分の好奇心に目を向けて、目標として捉えてみてください。目標が見つけられないという方は、登山を目標にしてみませんか。これを機に山を愛する仲間が増えたなら、こんなにうれしいことはありません。

※掲載情報は2025年5月9日時点のものです。