プロトーク vol.10
専門家のワンポイントアドバイス カメラ編「もっとカメラを楽しむ」④
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もっと上手に写真を撮ろう!
撮りたい被写体を見つけたとき、ただ何気なくシャッターを切るのではなく、フレーミング(構図)を意識したり、アングル(角度)を工夫すると写真の見栄えが変わります。今回は、写真をもっと上手に撮るための撮影テクニックについて解説します。

- 佐藤 正浩 氏 さとう まさひろ
- 1962年生まれ、札幌市在住。
専門学校札幌ビジュアルアーツ写真学科・常勤講師。
1986年、東京写真専門学校・報道写真学科卒業。
東京写真専門学校勤務を経て、1987年より(株)集英社に勤務する。
1992年に札幌に転勤。
北海道タキ・札幌シリウス・スタジオアトム・マークスタジオなどのフォトスタジオに勤務。
2008年より、現職。
日本写真芸術学会会員。
【取材・撮影協力/札幌ビジュアルアーツ写真学科】
フレーミング(構図)
ファインダーにどう被写体を収めるか
フレーミングとはカメラのファインダーを通して、目の前にある被写体をどう切り取るかということ。絶対的な法則はありませんが、大切なのは何を見せたいか?どう見せたいか?です。フレーミングによって、見え方や写真の意味まで変わってしまいます。画面を分割する基本的な方法をご紹介します。
三分割法
画面を縦・横に三分割して、その線上・交点に被写体を配置する方法です。被写体を画面の中心から少しずらすことで、おもしろい写真になります。

海の水平線を真ん中にして撮影しがちですが、あえて水平線を下1/3のラインで撮影しています。すっきりとした青空が強調された作品になっています。

三分割法には交点が4点ありますが、その4点のどこに主要被写体をレイアウトするかで作品の印象が変わります。可愛らしい犬の目を上1/3、左1/3にレイアウトし、顔全体も左2/3に収めており、右1/3に奥行を感じさせています。
二分割法
画面を上下に二分割して、垂直線や水平線の真ん中に被写体を配置する方法です。風景の撮影に向いていて、二等分にすることで構図に安定感が生まれます。

海の水平線を真ん中に置くことで安定感のある作品になっています。三分割法によって、水平線を上1/3に配置すれば「波打ち際」、下1/3に配置すれば、「空」の印象が強い写真になりますが、2分割法では両方の意味合いを均等に持った作品になります。
日の丸構図
主要被写体を画面の中央に配置する、最も一般的な方法です。シンプルでわかりやすい構図で、被写体自体に魅力がある場合などに適しています。その反面、情緒的・感動的な作品にするのが難しい構図です。

主要被写体である山を真ん中に置くことで、撮影で何を見せたいかを明確に伝えています。
対角線構図
被写体を画面の対角線に沿ってレイアウトする方法です。例えば、手前に料理を配置して、その対角線後方に食器などを配置すると、バランスの取れた写真になります。

複数の被写体を並列に配置するのではなく、画面の対角線に沿ってレイアウトします。三分割法と合わせてレイアウトすると主要被写体を引き立て、奥行のある作品になります。
ワンポイント・アドバイス!
最近のデジタルカメラやスマートフォンは、ファインダーや液晶画面にグリッド線(格子線)を表示できます。とくに風景写真などでは、水平線や地平線が傾いて写ると不安定感が増してしまうので、グリッド線を活用して撮影するとよいでしょう。
アングル(角度)
被写体をどんな角度で撮影するか
アングルとは、被写体に対する視点の角度のこと。フレーミング同様、アングルもこう撮らなければいけないという決まりはありません。アングルによって写真の印象が変わるので、「こう見せたい!」という表現テーマをしっかり持つことが大切です。また、被写体の大きさや形によって、どの角度から見たら一番自分の表現したい写真になるか、被写体をじっくり観察して撮影しましょう。
アングルによって変わる写真の印象
アイレベル
ハイアングル
ローアングル
アイレベル
自分の目の高さから撮影します。見たままを表現できますが、画面が単調になり平凡な印象になることがあります。
ハイアングル
被写体に対して高い所(上)から撮影します。背景の下部が強調され、背景が花畑などの時に効果的です。被写体の下部が小さく写ります。

カメラを見上げた可愛い表情が印象的。背景は地面になっています。
ローアングル
被写体に対して低い所(下)から撮影します。背景の上部が強調され、背景が空などの時に効果的です。被写体の上部が小さく写ります。

子犬のローアングル。先を見つめる可愛らしい表情と背景の青空が印象的です。
真俯瞰(まふかん)
被写体に対して真上から撮影します。被写体の数や全体像がわりやすく、説明的な写真に適しています。カタログや雑誌などにもよく使われます。

真上から撮った料理写真。被写体の配置などデザイン的な要素も必要となります。
ワンポイント・アドバイス!
意図した表現になるように、撮影時にいろいろなアングルを試してみると、新しい表現の発見や思わぬ傑作が生まれるかもしれません。1カットだけではなくアングルを変えて数カット撮ってみましょう。
横位置・縦位置
被写体を横長に撮るか縦長に撮るか
写真を撮影する時、自然にカメラを構えて撮影すると、横に長い横位置の写真になります。時には縦位置でファインダーを覗いてみましょう。それぞれに特有の効果があり、印象の異なる写真を撮ることができます。
横位置
横位置は人の視界に近いため、自然な雰囲気で被写体を捉えることができます。また横の広がりを表現したい時に効果的です。
縦位置
縦位置は被写体を強調して表現する時に効果的です。横位置に比べて高さや奥行を表現でき、人の視界と異なるので新鮮な印象を与えます。
横位置
自然な表情と会場の広さが表現されています。縦位置
会場の高さと人物のスタイルとポーズが強調されています。
横位置
周辺環境における橋の在り方が縦位置より説明的に表現されています。縦位置
橋の長さと奥行が強調されています。横位置より絵画的な要素を持っています。