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プロトーク vol.2

専門家のワンポイントアドバイス 家庭菜園編①「家庭菜園のヒント@北海道」

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専門家のワンポイントアドバイス「プロトーク」

家庭菜園のヒント@北海道夏の野菜作りは肥料・整枝せいし・誘引がポイント

最近は、家庭菜園や市民農園を使って野菜を作る人がずいぶん増えてきました。安心・安全で美味しい野菜を食べたい、食べさせたいと本を読んだり、経験者に聞いたりしますが、なかなか上手く育ってくれないのが実態です。
植物を育てるのは、子どもを育てるのと同じで、その時、その場のチャンスを活かして援助していくことで収量が増え、美味しくもなります。そのようなことを考えながら野菜作りに挑戦していくと楽しくなります。
7月・8月は実のなる野菜の収量・味の良し悪しを決める最も大切な時期。その野菜に合った追肥(ついひ)・整枝(せいし)・誘引がポイントです。

【家庭菜園・ガーデニング】長谷川 豊 氏 はせがわ ゆたか
長谷川 豊 氏 はせがわ ゆたか
1941年生まれ、札幌市在住。
NPO法人農業塾風のがっこう理事長。
剣淵高校、標茶高校、岩見沢農業高校の校長を歴任。
2002年に酪農学園大学教授に。2008年より現職。
農業後継者や新たに農業に挑戦したい人、
特に社会的弱者といわれる障害者や高齢者を農業者に育てる活動を行っている。
北海道新聞で<おばんでした 暮らしのレシピ>
「長谷川豊の家庭菜園」を連載中。
著書に「北海道の野菜作り入門」(農業塾風のがっこう)。

追肥※1、生長補助剤の種類と施し方

夏になると安定した天候となり、作物が順調に生育します。当然のように土の中の肥料養分が少なくなり、生育や収穫に影響が出てきます。つまり、肥料を多く与えるとどんどん生長しますが、やり過ぎはメタボ(茎葉が過繁茂)になってしまいます。また、その影響で病気や害虫が発生します。

肥料の種類と量、美味しくするためのアミノ酸肥料やミネラル肥料の与え方について説明します。花が咲き実を付ける頃から、チッソ、リン酸、カリウムの3要素だけでなく、多くの微量要素を必要とします。それが「アミノ酸肥料」や「ミネラル肥料」と言われているものです。アミノ酸肥料(チッソ系)は植物のカラダを作り、ミネラル肥料は花や実、根の生長を援助する肥料として使われます。

与え方は、10日~2週間に1回程度を目安に、固形肥料は根元から30~50cm離れた土の表面に一株あたり一つまみ、液肥は水で100~500倍に薄めて水やり代わりに施します。固形肥料は、効果が出るまでに時間がかかりますが液肥は即効性があります。ホームセンターなどでは、追肥用の化学肥料や有機系のぼかし肥料・液肥・植物生長剤などが販売されていますので生育の状態を見ながら与えてください。木酢液・竹酢液などの生長補助剤が販売されていますが、病気・害虫が発生してからでは、効果がありません。10日間程度使い続けることがポイントです。

おすすめする追肥用の肥料はぼかし肥料(米ぬか・魚粕・骨粉・菜種油粕などを発酵させてできたもの)、液肥は堆肥から抽出したものが効果があり安全です。

  • (※1)追肥=生育に合わせて与える肥料のこと。種をまいたり、苗を植え付ける前に与える肥料は、元肥(もとごえ)という。
  • ぼかし肥料のイメージぼかし肥料米ぬかや油粕などを発酵させた安全な肥料。
  • 木酢液のイメージ木酢液炭を作る際に出る水蒸気を冷やして液体にしたもの。
  • 液肥のイメージ液肥植物や動物の骨・糞といった自然由来のものが原料の一部となっている肥料。

整枝(芽かき※2摘芯てきしん※3・誘引※4

作物の整枝、誘引は順調な生育を促すとともに収穫量や収穫期間に影響を与え、病害虫の発生を防ぎます。ここでは、トマト、ナス、キュウリの栽培のポイントを紹介します。

  • (※2)芽かき=茎と葉の間から出る生長点と同じ芽のことを脇芽といい、それを取り除いて1本または任意の本数にすること。
  • (※3)摘芯=生長点を止めて、それ以上伸ばさないこと。
  • (※4)誘引=植物が倒れないように支柱を立て紐で結び好みの長さに整えること。
トマト

芽かきと摘芯を合わせて整枝といい、一般に側枝(そくし:茎と葉えきの間から出る生長点と同じ芽)はすべて摘み取り、主枝のみを伸ばす1本仕立てが行われています。生育するにつれて脇芽が伸び、特に花房のすぐ下の側枝は,生育旺盛で主枝とほとんど同じくらいになります。芽かきが遅れると、養分のむだづかいになるので早めに取り除くようにしましょう。収穫予定の花房まで開花したら、摘芯を行います。上の茎・葉や花房は必要ないので、葉を2~3枚残して、主枝の先端を摘み取ります。

【トマトの整枝】

トマトの整枝の手順

【トマトの誘引】

トマトの誘引の方法

ナス

ナスの栽培にも整枝は欠かせません。ナスは、一番花のすぐ下の葉2枚から元気の良い脇芽が出て枝となります。その2つの枝(側枝)とまっすぐ上に伸びた主枝を育てて「3本仕立て」にします。その下の脇芽は小さいうちに取り除きます。結果としては、枝を3本残しそれからの整枝が大事です。それぞれの枝から茎が伸びていくと葉2~3枚を付けた後に花芽ができて開花します。その花の上に葉1枚が付いたところで、摘芯、つまり茎を切ってしまうことで上に伸びようとする生長を止めます。すると花が実を付けやすくなります。

【ナスの整枝】

ナスの整枝の手順

  • ※ナスは誘引が不要。
キュウリ

キュウリは生育が早いので誘引も早めに行わないと、主枝と側枝の見分けが出来なくなります。収穫期間も短くなるので、早めの適切な整枝を行うようにしてください。また最近の品種は雌花が節成性※5(ふしなりせい)で親つる、子つる、孫つるに着果する多収穫型が多いので、成りすぎで茎葉が弱り病気や虫の原因にもなります。対策としてこまめな整枝と追肥・灌水(かんすい)が必要です。

  • (※5)節成性=茎と葉の間から連続して雌花が咲いて実をつけるが、親つるに着果しないで子つる孫つるに着果すること。

整枝の方法は最初の30cmまでは、脇芽、雌花を取り除きます。その上からは収穫を開始しますが、主枝は希望の高さまで伸ばします。出てくる脇芽は伸ばして、側枝として使います。すべての側枝は葉2枚を残して摘芯します。その側枝からさらに脇芽が出ますので、それも葉2枚を残して摘芯します。そのことにより各節に1~2本のキュウリが次々となってくれます。

【キュウリの整枝】

キュウリの整枝の手順

  • ※キュウリの誘引は、トマトと同じように支柱を立てるか、またはネットを張ってつるを伸ばします。

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