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我が町のぬくもりステーション vol.7

我が町のぬくもりステーション vol.7「十勝地方」

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明日の活力を充電 ―我が町のぬくもりステーション―

地域で愛されているカフェ、帰省のたびに訪れたくなる食堂…そう、そこは、住民たちの憩いの場。明日への活力を充電できるオアシスです。笑顔が生まれる、町の「元気の象徴」である店を、月刊誌HO取材陣が、毎月各地域の市町村を訪ねご紹介します。


第七回は、十勝地方です。


1軒目 清水町「喫茶 しらた」

空気が澄んで、気持ちがいい秋の十勝。
日高山脈がとても近い、清水町にやってきました。

国道38号線から、清水町の住宅地のはずれに向かうと見えてきました。
赤いリンゴがきれい、果樹園かな?

入り口には小さな看板。週に3日だけ開く、まるで隠れ家のような「喫茶しらた」がありました。

営むのは白田寛さんと妻の道代さん。
二人が育てた果物や野菜を使った、手作りの料理とお菓子、それにサイフォン式のおいしいコーヒーでもてなしてくれます。

1,500坪の自家果樹園には、リンゴを中心にナシやブドウ、プルーン、桃、スモモ、珍しいアケビの木など。寛さんが30年近く趣味で育てている、立派な果樹が健やかに育っています。
「もっと喫茶店を開ける日を多くしてと言われるけど、ほかの日は二人で果樹園の手入れが忙しくてね」

果樹園の実りの季節もそろそろ終わり。けれど、11月まではリンゴがとれるそうです。入り口のケースには摘んだリンゴと買い物用のビニール袋。
秋は地元の人がここで果物を買うことを楽しみにしているみたい。
ご近所で完熟リンゴが楽しめるなんてうらやましいな。

天井が高く薪ストーブが燃える店内は、とてもゆったりとした雰囲気。
果樹園を眺めながら、のんびり過ごせます。
「ここでは穏やかな時間を過ごしていただきたい」と白田さんが自宅で店をはじめたのは2011年のこと。開店から6年経ちました。

「近所の人が集まって、お茶が飲めるような場所が欲しいと思って、あまり何も考えずに始めたんですよ」と道代さん。道代さんの思った通りに、今では地元の人はもちろん、遠くからもお客さんがやってきます。

道代さんは料理を担当。近所の方からテイクアウトのオーダーが入った「ホットサンド」は、自家製みそ漬けの鶏ささみと野菜、シソのさっぱりとした和風なんですって。おいしそう。しかもボリュームたっぷりで350円。おサイフにやさしいですね。

鶏からだしをとり、地元のあすなろ牛乳を使ったまろやかなホワイトソースで作る「マカロニグラタン」450円も人気です。カラフルな野菜がいっぱい入っていますよ。
また、じっくりと煮込んだ地元・清水町の十勝若牛を使った「ハヤシライス」520円など、できるだけ地元の食材や家庭菜園の野菜で作る、丁寧な料理が評判です。ランチを目的に、ここに来るお客さんも多いのですよ。
長年病院の栄養士を務めていた道代さんの料理は、カロリーと塩分は控えめであっさりとやさしい味わいです。

寛さんも一緒にキッチンに立っていますが、実は担当は…

きつね色に、ぷっくりとふくらんだマドレーヌやシフォンケーキ、チーズケーキなどなど。スイーツはなんと寛さんの担当。
昔からお子さんの誕生ケーキを焼いたりしていたそうですよ。

「地元の移住者コンシェルジュさんに聞いてやってきたんですよ」という、上士幌の移住者仲間のお二人。手作りの梅ジュースやカタラーナもおいしかったそうですが、男性が食べているアップルパイが気になります。

ティータイムの人気メニュー、庭のリンゴをたっぷりと使った「アップルパイ」200円は、1日に作る数は限られているので、時には売り切れることも。

サクサクのパイの下は煮たリンゴ、上はスライスした生のリンゴを載せ、シナモンシュガーをたっぷりとかけて焼き上げます。アツアツのアップルパイに添えられた自家製アイスクリームもよく合います。

白田さんが大切に育てたリンゴのアップルパイは秋だけなのかな?と思ったら、そうではありませんでした。

「庭に掘った土むろに野菜やリンゴを保存していて、1年は持つんだよね。だからアップルパイは1年中食べることができますよ」
そうなんですか~。土のむろは、なんと寛さんがスコップで掘ったお手製です。そば殻の中にリンゴを入れて保存しておくと、湿度も丁度よく、いい状態で保存できるのだそう。

そうだそうだ、窓からちらりと姿が見えた、庭には白田家の愛犬、しろがいますよ。
いつも台に乗ってこっちを見ている。

7歳の柴犬の男の子。とっても人懐っこくて、かわいいんですよ。
しろにもぜひ、会いに行ってみてください。

そしておみやげには、寛さんのジャムもぜひ。
リンゴにスモモ、ルバーブやブルーベリー。いろいろあって迷っちゃいそう。

喫茶しらた
上川郡清水町清水基線48-12
電話 0156-62-3451
営業日 木~土曜(不定休あり)
営業時間 11:00~17:00

2軒目 新得「共働学舎新得農場」

新得の駅からも車でほど近い、牛乳山のふもとにあるのが「共働学舎新得農場」です。
早くからヨーロッパと肩を並べる本格的なフェルミエタイプ(農場産)チーズ作りに取り組み、海外での受賞も多いことで知られています。現在100頭ほどの牛たちを放牧し、その風味豊かなミルクでチーズ作りを行っているのです。

そのチーズを味わえ、購入できるのが敷地内にあるカフェ「ミンタル」
農場の人たちで手入れしているという、美しいガーデンに囲まれたかわいらしい建物です。
ここにいるだけで、癒されそうな雰囲気に満ちています。

バイオダイナミック農法という農薬や化学肥料を使わず、自然の摂理に合わせてつくられた季節の野菜、そばなどの農作物の加工品、織り物やニットなどハンドクラフト製品なども購入できます。

カフェの人気メニューはやっぱり農場で作られるチーズ。とろけるラクレットチーズをたっぷりかけていただく「ラクレットオーブン」680円。自家製酵母パンか農場産じゃがいも、どちらかを選べます。香ばしいチーズにどちらもよく合いますよ。

季節の農場おすすめのチーズに自家製酵母パンを添えた「農場チーズ盛り合わせ」850円。
この日はウォッシュタイプの酒蔵や長期熟成タイプの「シントコ」、白カビタイプの「コパン」、フレッシュタイプの「ヤチヤナギ」など。いろいろ味わえます。熟成タイプにはドライフルーツ、フレッシュタイプにはフルーツなど相性の良い付け合わせも一緒に出してくれます。

それにしても、窓からの眺めに癒されます。
「ミンタル」とはアイヌ語で「広場」「人の行き交う場所」という意味。その名の通り地元はもちろん全国からお客さんが集まってきます。

一度訪れると、リピーターになってしまうということがよくわかります。
美しい庭を眺めているだけでも、心が落ち着いてきます。

庭にある放牧スペースでは、ブラウンスイス牛のカエデちゃんや、羊たちがのんびりと過ごしています。

あ、ヤギもいた!ここで暮らすメンバーのペットだそうです。

「チーズはいつも同じものがあるわけではなく、その季節によって変わります」と、マネージャーの髙橋英夫さん。
「たとえば、このシントコは1年熟成させるタイプ。しかも青草をたっぷりと食べて出す放牧乳の味わいを生かした、この季節にしか作れないものです。それに作ってもすぐ食べられるわけではなく、1年かけてようやく旨味や風味が増して、おいしくなるんですよ」
食べごろに熟成したシントコも10月の放牧シーズンの終了とともにそろそろ品切れ。
今作っているチーズは来年までじっくりと熟成庫で過ごすそうです。
今日は特別に、おいしいチーズのヒミツを教えてもらいに、バックヤードへ入れてもらうことになりました。

農場の代表、宮嶋望さんです。
宮嶋さんの姿を見ると、ものすごい勢いで走ってくる牛たち。こんなに元気に走るんだ~。「アメリカで出会った、いいチーズができるミルクを出してくれるブラウンスイス牛です。かわいいでしょ。少しずつ増やして、来年は農場の牛はすべてこの品種になるんですよ」
共働学舎は、代表の宮嶋望さんの父・真一郎さんがキリスト教の精神を根幹として1974年に長野で始め、新得は4つ目の農場。「競争社会ではなく、協力社会を」という思いから、心や体に悩みを持つ人や、今の社会で行き場を失っている人を受け入れてきました。メンバーそれぞれ協力しながらも自由なペースで働き、自然とともに暮らしています。

1978年、アメリカでの農業留学を経て、すぐに新得町の誘致でこの場所に入植し、牛を飼いはじめた宮嶋さん。「ここに暮らす人たちの、ゆっくりとした働き方がチーズ作りには合っている」と考えた宮嶋さんは、チーズの試作もすぐに始めたそうです。
仲間たちとともに、ヨーロッパに引けをとらないチーズを作りたいという宮嶋さんの強い思いを受け、フランスのチーズの第一人者ジャン・ユベール氏が協力者となってくれました。

ユベール氏の「牛乳を運んではいけない」という教えの通り、新鮮な牛乳をいためないよう牛舎と搾乳室のすぐ横にチーズ工房があり、自然な傾斜を生かして生乳が工房に流れる仕組みになっています。
牛舎も清潔で、においも少なく驚きました。炭を埋め、微生物で悪臭が出ないようバランスをとっているのだそう。

のびのびと放牧地で体を横たえる牛たち。ストレスなく、青草をたっぷりと食べて良いミルクを出してくれます。それがおいしいチーズになるのですね。

これから母となりミルクを出す、仔牛たちも大切に育てられとても健康そうです。

新鮮なミルクで、毎日チーズ作りを担当するみなさん。右から、ここでチーズ作りを学びたいと9年を過ごした水谷昌子さん、新人の畠山楓さん、5年目の沖耕之介さん。

チーズは、ホエーを抜いてから温度が一定している札幌軟石の熟成庫で熟成されます。

長期熟成タイプのシントコは、 300㎏の生乳を30㎏のチーズに凝縮させた大型のハードタイプ。塩水で磨いて反転させながら、静かに熟成させて1年をかけて食べごろを待ちます。

おいしいチーズのヒミツを知ることができてよかった。
今日はありがとうございました。

カフェにもどって新鮮なミルクと平飼い卵の牧場のプリンでちょっと一息。牛乳が添えられた、自家焙煎コーヒーと一緒に味わいながらチーズの長い物語を思い返します。

シントコやラクレットをおみやげに!あの放牧地での幸せそうな牛たちの姿を思いながら、いただきますね。

共働学舎新得農場
上川郡新得町字新得9-1
電話 0156-69-5600
※電話でのお問い合わせは、10:00~17:00(日曜除く)
<4月~11月>
営業時間 10:00~17:00(カフェL.O. 16:00)
定休日 売店/無休、カフェ/火曜定休
<12月~3月>
営業時間 10:00~16:00
定休日 売店/日曜、カフェ/予約のみ

3軒目 幕別「食堂このみ」

街灯に何やらかわいいものを発見。なんだろう?ゾウさん?いえいえナウマン象なのです。

ここは幕別町の忠類。2006年の合併で幕別町となりましたが、以前は忠類村でした。
1969年に日本で初めて化石が発掘された、ナウマン象が地域のシンボルです。
ここに地元の人に長年親しまれている食堂があります。

やってきました「食堂このみ」です。店の前には立派な松。水車も回り、まるで高級旅館のよう。入り口が2か所に分かれていて、右手の暖簾がテーブル席やカウンター席があるスペースの入り口で左側の玄関は個室の入り口なんですって。

こちらが通常のテーブル席ですが、あれ?そろそろお昼ですがちょっと静かかな…と思ったら。

ハイ。大間違いでした、キッチンの中は昼の出前の準備で大忙し。次々と注文の電話がかかってきます。

そんな中、気持ちよく迎えてくれたのが店主の高橋天夫さんと妻の広美さん。50年以上続くこの店の3代目です。天夫さんは「なんとなくこうなって」と笑いますが、子供のころから店を継ぐことを決め、洋食や和食など幅広いジャンルの店で10年修業し、8年前に戻ってきました。
店を始めたのは天夫さんのおばあちゃん、上嶋コハルさんで現在92歳。お店は引退しましたが、とっても元気だそうです。お出かけ中でしたが、もうすぐ帰ってくるみたい。会えるといいな。

地元の人にとって、「食堂このみ」といえばラーメン。トンコツと鶏ガラの澄んだスープがベースです。忠類には、広大な敷地で自由に遊び、のびのびと育てられている、とてもおいしい「どろぶた」という名物があります。その旨みたっぷりの「どろぶた」のトンコツやラードを使っているそうです。

ラーメンと一緒におにぎりを頼む人が多く、この日も出前用に大きなおにぎりが用意されていましたよ。ほかにも「豚丼8人前」「かつ丼6人前」と、次々出前のオーダーが入ります。ほかにもフライや唐揚げなど和洋食いろいろなメニューがあります。

そうこう言っているうちに、ランチを食べに来る人も次々やってきましたよ。

天夫さんが焼いているのは、「どろぶたステーキ」。200gもある大きなロース肉は一度フライパンで焼き目を付けてから、さらにオーブンで6~7分焼いています。天夫さんが店をついでから、「地元の食材を使っておいしいものを」と生まれた町おこしのメニューですが、とても人気です。

大きなステーキに驚いているのは、本別でバイオダイナミックの農場を営むお二人。「どろぶた」の農場を見学に来た帰りなのだそう。

お~!すごい迫力。ジューシーで軟らかいステーキのソースは自家製味噌だれ。ニンニクが効いた甘辛い味噌味はごはんにもよく合いますよ。山盛りのサラダ、漬物にみそ汁が付いて1,400円。1品料理としてなら1,200円。みんなで分けて食べるのもいいですね。

個室のほうにもお客さんが次々と来ているようですので、おじゃましてみますが、その前に一番広い部屋を見物。
店での宴会や法事、会席が多く、時に100人ほどを受け入れるときも。まるでこの地域の集会所みたいですね。「食堂の前の家業は鉄工場だったのですが、経営が悪化したときに、おばあちゃんが店を始めたそうです。もともととてもお客さんの多い家で、その延長で食堂を始めたと聞いています」
庭には松や紅葉、藤やモクレンの木や花がたくさん植えられ、いい眺め。

さて、こちらはファミリー向けの4~6人ほどが入る個室。東京からゲートボールの大会に来たというみなさんですが…メンバーのうち、右の奥にいるのは天夫さんの伯父さん。お友達を連れてお昼を食べにきたそうです。「これが好きなんだよね」と食べているのは名物の「豚丼」

この豚丼、開店以来の人気メニューで、みそ汁や小鉢、漬物がついて850円。数か月もの間、旨みが凝縮するまで熟成された独自のたれがおいしさのヒミツです。

そして店の一番人気、みそ野菜ラーメン750円。「町の人から一番よくオーダーされますね。豚丼とのセットもよく出ます」と、天夫さん。味噌だれは、白味噌をベースにニンニクや香辛料を独自の配合で加え、じっくりと寝かせて使用するそう。今も大きな樽が4つほどあり、年に2~3回は仕込まないと、あっという間に味噌がなくなってしまうほどよく出るメニュー。実はどろぶたステーキのソースのベースも、この伝統の味噌だれなんですよ。コクがありつつもさっぱりとしたスープに合わせている麺は、隣町の広尾町にある山畑商店の道産小麦の麵。つるつるモチモチの食感ですよ。う~ん、これは地元の人が大好きだってことが、食べてみるとよくわかりますね。

私たちの帰り際、ちょうどおばあちゃんが帰ってきました。お会いできてうれしいな!
とっても頼もしい3代目のお二人と記念撮影させてください。
味噌ラーメンとってもおいしかった。また食べにきますね!

食堂このみ
中川郡幕別町忠類錦町148
電話 01558-8-2026
営業時間 11:00~14:00、16:00~21:00(L.O.20:00)
定休日 月曜(祝日の場合は翌日)

4軒目 豊頃「きいちゃん食堂」

今日はお天気で潮風が気持ちがいいなあ。
十勝川の河口近くの海岸には、釣り竿がずらりとならんでいますが…お、鮭が釣れたみたいですよ。シシャモも旬なんですって。
十勝は海の幸も豊か。ここは豊頃町の大津です。

大津は十勝発祥の地。明治時代、十勝の開拓は 十勝川河口にあり水運で栄えた、大津から始まり内陸に向けて進められました。

記念碑のすぐ近くにあるのが、赤いのれんがはためく「きいちゃん食堂」
大津で唯一の食堂なのです。豊頃の中心街から海へ向かうと、ちょうどこの地域の入り口にあるお店で、とっても気になります。お昼だけ開いている食堂なんですよ。

きりりと準備をしているのが、「きいちゃん」こと、杉山君代さん。

ラーメンとカレーが人気で、秋鮭の定食などもあります。
15人ほど入るといっぱいになる、こぢんまりとした店ですが、開店から人が途切れずやってきます。
いつもは仕事のお昼に来ている男性は、今日は息子さんを連れてランチにやってきていました。

このお店の顔的存在が、「つぶみそラーメン」900円。「つぶには味噌があうよ。その次が塩」。地元で捕れたエゾバイ(つぶ)が、惜しげもなくトッピングされていて、食べごたえがあります。スープは7時間近く、沸騰させずにコトコト煮込んだ煮干しと豚骨のスープがベースです。味噌や塩、醤油などのたれも、研究を重ねて作った自家製ですよ。

あ、やっぱりこちらのお客さんもラーメン。忠類で農場を営むご夫妻も食べにやってきていました。

やわらかくて大きなホッキがごろごろと入った、「ホッキカレー」800円も人気で、ホッキをゆでただし汁とシンプルに玉ねぎだけをたっぷりと入れたルーはマイルドです。

「ハイ、漬物!」。キップがよくて陽気で、おしゃべりしているととても楽しい杉山さん。

特技は日本舞踊。ポーズも決まってますよ!
大津生まれの大津育ち、漁師の娘として生まれた杉山さんは、生粋の大津っ子。魚介を使った浜料理も得意中の得意。以前は近所の長節湖の売店で長年働いていました。
退職後の2011年に自宅の庭に、念願のお店を作りました。
杉山さんを慕って、漁師さんはもちろん、たくさんの釣り人がやって来るんですよ。

大津港のすぐそばにある長節湖は海水が混じる汽水湖で、太平洋と幅の狭い砂丘で隔てられています。シジミ漁も行われています。

この長節湖のシジミで新作を作った杉山さん。

シジミがたっぷり入った「シジミラーメン」900円。早速いただきましたが、大粒で食べ応えがあるんですよ。すっきりとした塩味のスープに、プリっとした麵にもよくあいます。いつものトンコツと煮干しのスープに、シジミの旨みも加わり、ついゴクゴク飲んでしまうスープなんですよね。おいしい!

ようやく人が落ち着いてきた店内で、また杉山さんとおしゃべり。カウンターのイスが斜めにおいてあるのって珍しいですね。カメラマンさんとHOの取材で各地を訪ねるけど、あまり見たことないです。何か理由があるのですか?と尋ねると、「ほら、こうやって置いておくと、店に入ってきてすぐにスーッと座れるでしょ。だから、ここ最近こうしてるんだよ」
なるほどね~。杉山さん、本当にお客さん思いですね。
みなさんが杉山さんに会いにくる理由がわかったような気がします。

お店の片隅に貼ってあった広報誌に、杉山さん発見!踊りの姿も決まってる~。
あぁ、楽しかった。
寒い時にはあったかいラーメンとあったかい杉山さんのことを思い出しそう。
また大津に遊びにきますね。

きいちゃん食堂
中川郡豊頃町大津寿町5番地2
電話 015-575-2331
営業時間 11:00〜15:00
定休日 月曜日

5軒目 帯広「ランチョ・エルパソ」

帯広といえば…やっぱりばんえい競馬。

体重1トンを超える競争馬が馬橇(ばそり)を引いて直線コースを競う、世界で唯一の競馬です。
スピードとパワーを兼ね備えた優勝馬もすごいけど、なぜか最後の馬を「がんばれ」と応援したくなります。
ラストスパートは一緒に走り出す人が多いっていうのもわかります!

さて、そんな夜のコースを終えて、向かった先はこちらです。
帯広の人気店「ランチョ・エルパソ」です。

ツタのからまる看板にも歴史が感じられますが、この店はなんと、創業から40年を迎える帯広の老舗レストランなのです。

時々ライブも行われる、広々とした空間です。
「ランチョ・エルパソ」は、幕別町忠類の広大な敷地で育てられる十勝のブランド豚「どろぶた」のソーセージやトンテキなど、さまざまな豚料理が味わえる店です。
「どろぶた」は一般の豚に比べて、旨みのもとと言われるオレイン酸の数値が高く、とてもおいしいのです。

こちらは地元・帯広のご家族。もう30年ほどこの店に通っているそうです。
「お肉もいいけど、この焼きめしも昔からみんな好きなのよね。必ずたのみます」
今日は帰省した息子さん夫婦と一緒だそうです。

創業者の平林英明さんがお客さんを連れてやってきました。
見えるかな?「どろぶた」のサロペットがトレードマークです。

平林さんは、2014年にレストランを現オーナーの三苫大志さんにゆずり、現在は放牧豚の生産と加工に専念しているそうです。
けれど、同じ敷地内に住んでいらっしゃるので、お客さんを招いて、よく食事にやってくるそうです。

牧場は東京ドーム6個分の敷地の中、自由にのびのびと生活ができる環境を整えています。名前の通り泥まみれでよく遊び、ストレスが無い豚が育ちます。
豚舎で育てている豚は人を怖がることが多いのですが、人間への恐怖心がなく、とても人懐っこく近づいてくることが多いそう。

豚がストレスから仲間の豚の尻尾を噛んで病気になるようなこともないので、通常の養豚事業のように尻尾をカットしたり、抜歯をすることもないそうです。

この健康などろぶたの料理と最高の組み合わせがこちらです。

ビールを差し出すマネージャーの河原崎卓也さん。「料理とよく合い、本当においしいんですよ」。同じ敷地内で醸造している、十勝唯一のクラフトビール工房「帯広ビール」を一緒に味わえます。

日高山脈の清流と一部地元の大麦を原料の一部として使用するなど、十勝らしいビールを、フリーのビール醸造家、十河文英さんを中心に常時8種類ほど作っています。

少量生産なので、その日何のビールがあるかは来てのお楽しみです!
ビールは右から香り良い「麦日和」、ほろ苦い「玄人」、フルーティーな「小麦」各600円。
「自慢の自家製ソーセージの盛り合わせ(2~3人分)」1,400円と一緒にぜひ、どうぞ!

「どろぶた300gリブロースステーキ」、これで1,880円。すごいボリューム!
低温でじっくりと火を入れてから、カリっとオーブンで仕上げるので、外は香ばしく中はしっとりやわらか。食べ応えがあり、ビールにもばっちり合いますよ。

接客も調理の手伝いもこなす、マネージャーの河原崎さん。もともとは敷地内にあるソーセージなどの加工品を担当していたそうです。以前は音楽の仕事をしていたのですが、ここで何度かライブの仕事をしているうちに、「どろぶたを育て、十勝からヨーロッパにも匹敵する食文化を作りたい」という平林さんにほれ込み、この世界に入ったそうです。
「生き物を加工して、食べるということはとてもキツイことでもあります。けれどその命の重さをしっかりと受け止め、どろぶたを喜んで食べてもらえるようにしていきたいですね」

店内では、本格的な白カビで熟成させる「白サラミ」を始め「ボロニアソーセージ」「ウインナー」など、種類豊富に加工品がそろっていますので、おみやげにもいいですね。

ちなみにソーセージに張られたシール、AWFC(アニマルウェルフェア)とは、どろぶたのような家畜を人間と共存する生命体として考え、一緒に生きている喜び、そして自由な行動をできるかぎりさせてあげたうえで、十分なごはんや水を与えられて幸せに育った家畜たちの証です。これから、このような考えはもっと広がりそうですね。

あ、ランチも人気なのでぜひどうぞ。
日替わりの「どろぶたワンプレート」1,280円は、この日はふっくらとしたハンバーグとソーセージ。地元の農家から直接仕入れる、こだわりのおいしい野菜と一緒にどうぞ。

ランチョ・エルパソ
帯広市西十六条南6-13-20
電話 0155-34-3418
営業時間 11:00~15:00、17:00~24:00(L.O.23:00)
定休日 水曜(祝日の場合は翌日)

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