我が町のぬくもりステーション vol.6
我が町のぬくもりステーション vol.6「後志地方」
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地域で愛されているカフェ、帰省のたびに訪れたくなる食堂…そう、そこは、住民たちの憩いの場。明日への活力を充電できるオアシスです。笑顔が生まれる、町の「元気の象徴」である店を、月刊誌HO取材陣が、毎月各地域の市町村を訪ねご紹介します。
第六回は、後志地方です。

赤井川から倶知安に入ると、どんどん大きく見えてくる。

好きなんです、この形。色づく穂が揺れる麦畑の向こう、頭にリングの雲を載せて、なんだかかわいらしい本日の羊蹄山です。

倶知安の町中に、昨年オープンした「喫茶東屋」は、きりっと白い暖簾に白木の清潔感ある外装に目がひかれます。
以前は駅前にあったのですが、「お茶と珈琲とおやつの喫茶店」をコンセプトに、2年ぶりに開店したのです。

迎えてくれたのはオーナーの井原寛公さん。
「ようやく良い場所が見つかって。できる限り手作業で改装しました」。もとは釣り具屋さんだったそうですよ。これから2階部分の改装の続きを始めるんですって。
親しみやすい笑顔が印象的な井原さんは、冬の間だけニセコマウンテンリゾート グラン・ヒラフのウェルカムセンター横で開く人気のコーヒースタンド「Mountain Kiosk Coffee Stand(マウンテンキオスクコーヒースタンド)」も営み、雪が降る前までの間はちょくちょくイベントでエスプレッソを出しているので、どこかの町で会うかもしれませんよ。
井原さんは、実はもとプロボーダー。世界中の街で過ごしてきました。今、倶知安で暮らし、しみじみと感じる日本の良さ、北海道の良さを店づくりにも生かしているそうです。
なるほど、それでジャパネスクな雰囲気なんですね。

広々とした明るい空間はバリアフリー。大きな1枚板のテーブルや木のカウンターは温かみがあり、リラックスした雰囲気に満ちています。

店を切り盛りする女性3人。
「地元の人が長居できて、ゆっくりとくつろげる、町の喫茶店にしたかったんです」と、中央の井原さんの奥さんの佳奈さん。左がパティシェの福山晶子さん、右がバリスタの富士未奈子さん。
店の空気そのままの和やかな笑顔が素敵です。

小上がりもあって、お子さん連れでも安心。小さな子どもからお年寄りまで、とても幅広い年齢のお客さんがやってくる喫茶店なんですよ。「店のグリーンや季節のお花も、近所のお客さんがいつも届けてくれるんです。この場所に来て、地元の方との交流が増えてとてもうれしく思っています」

そろそろシーズンも終わりのかき氷に、常連さんも思わず感激!
「この前友人が食べてる姿を見て、次は絶対私も~と思っていたので、うれしい」

思わずスマホで撮りたくなっちゃうフォトジェニックさです。
キーンとこない、とってもふんわりとしたかき氷なんですよ。
もうそろそろ、来年までお別れ…と思うと、さみしくなるそうです。

こちらの男性も完食!と思ったら、トーストを届けに来たご近所のパン屋さん、「麦風」のご主人もくつろぎ中です。

店で出すのはパフェや抹茶のクリームあんみつ、カスタードプリン、トーストなど、シンプル且つほっとできる「おやつ」です。

飲み物で一番の人気、店の顔的存在の「東屋―ほうじ茶ラテ」500円。
きめ細かなパウダー状に挽いた香ばしいほうじ茶に、あたたかなミルクと甘さを加えたやさしい味わいです。
お茶の種類も豊富です。八女の抹茶や煎茶、ほうじ茶。それに紋別のハマナスやラベンダー、大豆の黒千石など北海道らしい花や実をブレンドしたお茶がユニークです。バナナジュースがあるところも、純喫茶っぽくていいな。

さて、おすすめの「ハニーシナモントーストとコーヒーのセット」980円をいただきました。
銀のトレーがレトロでいい感じ。道産小麦などの安全な食材と自家製酵母のパンは、先ほどの「麦風」のご主人作ですよ。

もちろん、ハチミツは躊躇なく。
カリッと外は香ばしく、中はもっちりとしたシナモントーストに染み込んで、とてもおいしいのです。

「カスタードプリン」400円もぜひ。
「私は神戸の出身なのですが、神戸は喫茶店文化のある町です。卵と牛乳とお砂糖だけの、シンプルなちょっと固めのカスタードプリンも定番だったので、この店でも出したかったんですよ」と佳奈さん。
安全な地元の卵で作られたプリンに、きりっとしたオリジナルブレンドのエスプレッソは380円。東屋で出すエスプレッソはすべてWショット。久谷焼きのモダンなぐい飲みが器なんて素敵ですね。

バリスタの富士さんは札幌からの移住者。コーヒーの勉強がしたくて転職したそうです。冬はマウンテンキオスクで気が遠くなるほどのたくさんのエスプレッソを淹れていたんですって。その手際の良さ、ベテランの風格です。

オリジナルブレンドは、季節ごとにおいしく感じられるものを、オーナー井原さんとニセコの高野珈琲さんが一緒に設計したものです。高野さんは、エスプレッソのローストは初めてだからと、1シーズン、マウンテンキオスクで一緒に働きながらブレンドを完成させたそうです。
どうりで、おいしいはずです。

豆は店内で購入することもできます。手軽なドリップパックもあり、おみやげにいいですね。
ちなみに、このロゴは羊蹄山に見えますが…「山々に囲まれた町に東屋があり、人と人が混じり合う場所を水引きで表しているんですよ」。そうなんですか~。お店の志が込められた印象的なロゴです。一度見たら忘れません。

あ、木彫り熊がこんなところに…。そういえば、テーブルのニングルもかわいかった。
この雰囲気大好きです。
倶知安に来たら、寄り道するしかありません。
どうぞこれからも町の人々の癒し処であってくださいね。
- 喫茶東屋
- 虻田郡倶知安町北4条東1丁目−63
電話 0136-25-4339
営業時間 10:00~19:00(おやつL.O. 18:00)※冬期は時間変更の予定
定休日 火・水曜ほか不定休あり
https://www.azmaya.co

きらめく海がきれいな日本海沿いにある寿都町にやってきました。
江戸時代から明治にかけては北前船が活発に行き交い、良質のナマコやアワビ、ニシンなどの漁場として松前藩の文献にも記録が残る歴史ある町です。


寿都港に面した道の駅「みなとま~れ寿都」にちょっと寄り道。

コーヒーと、そば粉のワッフルでちょっと休憩。
町に、こんなに港が近くてくつろげる道の駅があるのはいいですね。

名物「生炊きしらす佃煮」など特産品の売店があり、しらすのホットサンドなどユニークな軽食もそろっていますが、今回は我慢。目的の店があるんです。

道の駅から歩いて2~3分。大磯商店街の一角にあるのが、開店から80年以上という老舗「ダイマル大谷会館」です。

「港前庵」の屋号で宿も営み、その名の通り建物の裏は寿都港。

部屋や食堂からも港が見下ろせます。
宿に泊まると朝は港の活気が感じられ、春の夜はコウナゴの漁の温かなオレンジ色の明かり、夏はイカ釣り船など風情が感じられる眺めを楽しめます。

この日は土曜日、午後1時を過ぎても人でいっぱい。

「お気に入りでちょくちょく来ます」と、1時間ほど車を走らせて伊達から来ているというご夫婦。とても大きなサケの切り身、それにイカ刺しもおいしそう!ご主人は日替わりの海鮮丼をほおばっていました。

秋は「イクラ丼とサケフライセット」1,300円(変動の場合あり)が人気です。今シーズン初、つやつやで口に入れるとはじけて旨みがあふれ出る自家製のイクラ、それに肉厚のサケフライでごはんもがっつり食べてしまいます。食欲の秋、抑えきれません!
冬になればアンコウやタラ、カニ、春はコウナゴや牡蠣、夏はナマコやウニなど。
地元の魚介を中心とした、シンプルな料理から手の込んだ会席料理まで、寿都町の季節ごとの浜料理を楽しみに食堂に通う人、ゆったりと宿に泊まる人も多いのです。

その日入った一番良いものでもてなすことをモットーに、店を営むのは2代目女将の大谷冨美子さんと娘の奈緒子さん、夫の榎本英一さんです。社長は現在療養中ですが、3人でしっかりと店を守っています。

榎本さんは青森県出身。学生時代、海洋学の実習で寿都町に滞在したときに、人情あふれる町の人々とこの店の味に感動したそうです。寿都町に移り住み、店の一人娘の奈緒子さんと結婚して16年。3代目の跡継ぎとなるために経験を積み重ねています。

おや?奈緒子さんが揚げているとんかつ、すごく立派ですね!洋食店が無いこの町では、「ダイマルさん」の洋食が大好きという地元の人も多いのです。

その時々で登場する洋食は、ハンバーグやカレー、ハヤシライスなどどれも丁寧な手作りの味。特に人気があるのが、この「シーフードドリア」900円。ケチャップライスの上にはエビやイカなどその時に手に入る魚介、そしてまろやかなホワイトソースとチーズがたっぷり。男性でも満腹になるボリュームです。
昭和初期に、冷えた体で海から戻った漁師さんを気遣い、もっきり酒と一杯の温かい鍋焼きうどんを出したことが店の始まり。その思いは平成の今も変わりません。磯のりが入った鍋焼きうどんは今でも冬の人気の品。
町の人が食べたいものを出そうと、気遣う心があるからこそ地元の人に長く親しまれている店なのですね。

あ、女将さん。「これから仕込むんですよ」と手に持ったもの…何かな?

ハイ、びっくりしました?そろそろ漁のシーズンも終わりのナマコです。右の大きなサイズを下ゆですると左のように小さくなります。長く火を通しても、この背中のトゲトゲがしっかりと残るのは、品質の良く新鮮な証拠。寿都のナマコ、ちょっと姿はコワいけど、おもに中国などに輸出される最高級品です。

女将さんが受け継いだ秘伝の15の工程を経て、じっくりと時間をかけて完成するのがナマコの甘露煮。最終的には箸でつまめるミニサイズになるのです。トゲトゲも残るきれいな姿。口に入れるとプルプルと驚きの柔らかさです。コラーゲンやコンドロイチンなど近年注目されている成分が含まれ、美容と健康にもよいのです。一つ時価1,500円前後で食べるには予約が必要ですよ。今もファンが多い伝統の味ですが、かつては札幌からヘリコプターで食べに来ていた人がいるという豪快伝説も残る伝統の味、ぜひ体験してみませんか?
- ダイマル大谷会館・港前庵
- 寿都郡寿都町大磯町12
電話 0136-62-2034
営業時間11:30~14:00、17:30~19:00
定休日 月曜(不定休あり)
1泊2食付/8,640円(1名)クーラー・ユニットバス付き
https://www.facebook.com/daimaru.otani

江戸時代から明治にかけて、ニシンの千石場所として栄えた、岩内町にやってきました。
積丹半島のちょうど付け根に位置し、海の幸に恵まれた町です。
ユニークな史実も残る町で、日本のアスパラガス栽培の発祥の地であるって…ご存知ですか!?
後志にゆかりある小説家・有島武郎の小説「生まれ出づる悩み」の主人公のモデルとなった、画家・木田金次郎が生涯暮らした町でもあります。
なんと、夏目漱石が籍を置いていたときもあったそうです。


そんな町の、港にもほど近い人気店を訪れてみることにしました。

国道229号線から1本港側に入ると、緑に囲まれた雰囲気のあるお店がありました。「カフェレストラン 鈴や」です。

扉を開くと、食事をしている人、パフェを食べている人など…、それぞれくつろいだ時間を過ごしています。
あ、ふわふわ卵のオムライスがおいしそうですね。札幌からバイクのツーリングで岩内まで来たのですって。

奥を見ると、小さな厨房の入り口が見えます。

決して広いとは言えない、カウンター越しにも見える厨房に立つ3人は、店の2代目である鈴木喜久さんを中心に、妻の輝子さん、娘さんで後継者の小田亜希さんです。

言葉はなくとも、それぞれ場所を入れ替わり立ち替わり、絶妙のタイミングで料理を仕上げていきます。
すごい連携プレーで、驚いてしまいます。
「カフェレストラン 鈴や」はもともとは鈴木さんの母・栄子さんが始めた店。ぜんざいなどを出す甘味どころでしたが、大阪で洋食の修業を積んで戻ってきた鈴木さんが2代目を継ぎ、洋食店となったそうです。「祖父も満州鉄道の食堂のコック長だったんですよ」。そうなんですか~。娘の亜希さんも札幌で修業を積んで戻ってきた料理人で、代々食に携わる仕事をしてきた家族なんですね。

なーんて話しをしながらも、料理の手は決して止まりません!ほぼ常連客しか座らないというカウンターには、何やら銀色の手づくりの台が。何に使うのかな~と思ったら、次の料理に取り掛かるためにフライパンと具材がセッティングされました。なるほどなるほど。

鈴木さんの目の前にあるボトルには、オリジナルのステーキのたれが入っています。焼肉やステーキなどいろいろな料理に使います。醤油ベースでほどよい辛みがある味わいは鈴やオリジナル。
とにかく驚くほどメニューが豊富で、味付けの工夫も多彩なのです。
人気のオムライスだけでも、ビーフシチュー、クリームソース、チキントマト、夏は生ウニなどなど、14種類もあるのです。
オムライスが食べたいけど、迷ってしまう。

「ボリュームがあるステーキのオムライスがおすすめです」と亜希さん。120gもある本格的な牛ロースステーキを載せています。これで1,150円。
とろふわな卵3個分もあるオムレツの下には、野菜をたっぷりと入れて、オリジナルのステーキたれで味をつけたライスが隠れています。
盛りよくボリューム満点ですが、女性でもペロリと食べられるおいしさです。

もうひとつのおすすめは、40年以上続くナポリタン。自家製ケチャップを使用し、3段階で秘密の味付けをしているんですよ。ちょっと辛さがあってクセになる味なんです。

アツアツの鉄板に載せた「ナポリタン」680円。添えられたパンでくるくると巻いて食べるとまたおいしいのですよ。
鈴木さんが地元素材に目を向け作ったメニューもまだまだあります。地元岩内の海洋深層水を使ったラーメンや、深層水で淹れるすっきりとしたエスプレッソコーヒー。そのコーヒーを合わせた大人向けのほろ苦いパフェなど。1度店に来ただけじゃ、鈴やさんの味を分かった気がしません!

とりあえず、フルーツたっぷりでソーダも飲めちゃう「フルーツスペシャルパフェ」680円でひと息。店を開いたおばあちゃんにちなんだ、小倉パフェなど、あんこのスイーツも人気です。パフェを食べにくるオトナの人もけっこういましたよ。

鈴木家のみなさん、どうぞこれからもミラクルな連携プレイで、おいしい料理を作ってくださいね。 また食べにきますね!
- カフェレストラン 鈴や
- 岩内郡岩内町万代29−15
電話 0135-62-0649
営業時間 11:00~22:00
定休日 水曜(祝日のぞく)

余市町にやってきました。ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝が蒸留所を開いた町です。
ワインブドウの生産地としての歴史もあり、ここ数年ではワイン特区となり個性的なワイナリーが次々と産声をあげています。


そんなウイスキーにもワインにもよく合い、呑まない人もおいしく味わえるものがあるんですよね。
海沿いにある、とあるお店へと向かいます。
余市港のすぐそばにある、昔ながらの製法で丁寧に作る燻製の名店、南保留太郎商店(なんぽとめたろうしょうてん)。おいしい燻製ってお酒に合いますよね。その隣には古民家を改装した燻製料理や燻製コーヒーを出す「燻製茶房 燻香廊(けむかろう)」が隣接しています。


時が止まったような築70年以上の建物は、吹き抜けの2階もあり、広々と開放的な空間が広がっていました。かすかに流れるジャズも心地いいのです。

以前の家の持ち主が置いていったという、古いプレイヤーやレコード、モノクロの写真が自然にディスプレイされていました。

店主の南保敬二さんはかつて札幌・すすきので、ジャズを聴かせるビストロを開いていたそうです。そんなカッコイイお店を閉める決心をして、よく余市に戻ってきましたね。
「私が何よりも父の燻製のファンでしたから、迷いはなかったですね」。初代、留太郎さんは、戦後・樺太から余市に引き揚げ、魚の行商の合間にニシンやホッケの薫製をつくったのが店の始まりだったそうです。敬二さんは35歳で父・留太郎さんから燻製の技術を引き継ぎ2代目となり、燻製専門店にしました。
現在、燻製店は長男の憲亨さんにまかせ、札幌の洋食店で腕を磨いてきた次男の雄大さんと共にオリジナルの燻製料理や自社製品を生かした料理を出すこの店に専念しているそうです。

さて、スタッフの山崎さんがお料理を運んで行ったのは、マダムのグループ。

札幌からやってきたというみなさんは、実は余市出身の同級生。今日はプチ同窓会だそう。「このお店はおいしくて、とても落ち着くので好きなんです。みんなでよく来るのよね。最近の余市はいいところがたくさんできて、行くところが多くて困っちゃうぐらい」

お料理、ちょっと見せてもらいました。大きなお肉がごろんと入った、店の代表的なメニュー「スモークビーフの赤ワイン煮」1,680円。ナイフなんていらないくらい、すっとフォークが入る柔らかさです。パンとスモークニシンとサワークリームのサラダもついていますよ。

キッチンにある小型のスモーカーでさまざまなお肉を燻製にしてお料理するそうです。

おすすめは「スモークチキンとベーコンのカスレ」1,360円
豆がたっぷりと入った、トマト味がベースのフランス南部の煮込み料理。骨離れもよいチキンと厚切りのベーコンがたまりません。「ゆっくりランチを楽しんでほしいから」とボリュームも満点。

この枝豆も燻製されているのですよ。

食後に「カボチャ燻製のチーズケーキ」480円、「スモークブレンドコーヒー」480円もぜひ。函館美鈴とのコラボレーションの豆で、コーヒーのインストラクターと一緒に何度も燻製をかけテイスティングを重ねて生まれた、まろやかな味わいです。豆はおみやげに購入することもできます。

14時からのカフェタイムでは、贅沢にスモークサーモンや野菜などを入れたスモークキッシュ3種類から1点を選べる「ドリンクセット」960円もあります。もちろん単品でもOKです。

帰りは隣の店でおみやげを買っていこうと思います。3代目の、長男・憲亨さん、お父さんにそっくりですね。

種類豊富な燻製は、前浜の魚介を中心に、料理にも使用されていたニシンや野菜の燻製なども販売しています。
燻製料理、挑戦してみたいな!
試食もいろいろできますけど…「おいしすぎてかえって迷っちゃうかも」
- 燻製茶房 燻香廊(けむかろう)
- 余市郡余市町港町88
電話 0135-48-5100
営業時間 11:00~17:00(ランチL.O.14:30、カフェタイム14:00~)
定休日 水曜


小樽に来ると、歴史を感じられる街並みや、やっぱり運河を見たくなります。駅からは少し離れているけど、これから取材する人気店に行く前に、ちょっと腹ごなし。
小樽運河って、実は「船の駐車場」であり、水路として作られた運河ではなかったのですって! 1915(大正4)年に着工し、1923(大正12)年完成時の小樽に、25もの銀行があり、北日本髄一の経済都市と言われた時代でした。大量の物流があり活気溢れる港には多くの船を停泊させ、その荷物を運ぶ小船を行き来させる場所が必要でした。「小樽運河」は長い工事の間に市民からの呼び名が定着した名前だったのです。
1986(昭和61)年に一部埋め立てを行い、散策路などが整備されましたが、北運河は今でも昔の広い運河の面影をそのまま残しています。
昔ながらの倉庫が立ち並び、小さなボートや船が繋がれ、活気に溢れた当時の面影を感じられるディープなエリア。せっかくの小樽、北運河まで足をのばして良かった!


さて、小樽駅前からすぐそばにある梁川商店街にやってきました。
目的の店はこの商店街にありますよ。
タバコ屋さんや銭湯、市場などがあり、ちょっと懐かしい雰囲気。
ぶらぶら歩くのも楽しいですよ。

「若鶏時代なると 本店」に到着。小樽の人が大好きな、若鶏の半身揚げの店です。
クリスマスには行列ができるんですって! でも、何もない日だって混んでいるのです。

おぉ、入り口にはテイクアウトの窓口。地方発送も人気なんですよ。

ほほー。そういえば、ザンギもおいしいって地元の人が言ってたな。
紙袋を持っているのは店長さんかな…

あ、ご本人登場!本店店長の阿部哲也さんです。
「じいちゃん、ばあちゃんが残してくれた味を守っていきたいですね」
そうです、阿部さんはこの店の3代目です。

創業は1957(昭和32)年。淡路島から北海道に移住した阿部さんの祖父・寅男さんと祖母のたみ子さんが始めた店で、「なると」は鳴門海峡にちなんだ名前です。
写真に写る3姉妹、一番上のお姉さんはのれん分けした「ニューなると」を経営。下の姉妹がこの店を継ぎました。
一番下のみどりさんが、阿部さんのお母さん。今でも午前中はレジを担当していらっしゃるそうです。
ちなみに、初めはお祖父さんの地元の味、関西風のお好み焼き屋さんだったそうです。お好み焼きの鉄板で、地元の魚介や鶏モモ肉を焼いて評判になりましたが、なにしろ鉄板でモモ肉を焼くには30分以上ととても時間がかかりました。いっそ油で揚げてしまおうと天ぷら鍋で半身揚げにしたところ、さらに人気が出て繁盛するようになったそうです。

ほどなくして、「当時はまだ誰も使っていなかった」というフライヤーを導入。現在多い時は、一日に2,000人前以上も出るため、厨房では4台のフライヤーがフル稼働するそうです。
180~190℃の高温で5分ほど揚げ、一度油から上げて切込みを入れてからもう一度油に戻し、さらに5分ほど揚げると完成です。

パリッパリの黄金色の皮がたまりません!「若鶏半身揚げ」は980円。ごはんやみそ汁をつけた定食は1,200円で、小樽の人々の定番メニュー。

東京からやってきたというお客さんも、がぶりと一口。「うまい!」

私たちも揚げたてをいただきました。中はしっとりジューシー。胸肉部分だってパサパサしていません。300gはあるボリュームですが、あっさりとした程よい塩味で、飽きのこない味わいです。食べきれないときはお持ち帰りもできるのでご安心を!

それにしても、とうにお昼は過ぎた時間だというのに大変なにぎわい。

あ、隣のカップルにおすそ分けしているグループがいますよ。栃木県から来た観光客の方たちです。カップルのお2人は岩見沢市から来たんだって。そんなやりとりが、ほのぼのイイ感じ。

手頃な若鶏・寿司セット1,800円も人気です。
寿司は海鮮丼にも替えられますよ。

そして、ショウガが効いた大ぶりのざんぎ700円もぜひ。一口噛めば肉汁がじゅわ~っと、溢れます。ほかにもご飯ものや、お酒に合う一品料理などもありますよ。

韓国からきた大学生が記念撮影してました。最近は国際的で海外のお客さんも多くなってきたそうです。
顔出しのボード、みなさんも記念にぜひどうぞ!
- 若鶏時代なると 本店
- 小樽市稲穂3丁目16−13
電話 0134-32-3280
営業時間 11:00~21:00(L.O.20:30)、日曜 ~20:00(L.O.19:00)
定休日 なし
http://otaru-naruto.jp

※協力 小樽市総合博物館