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食べるぽ vol.9

食べて地元を愛すルポ vol.9「ゆり根」

こちらに掲載されている記事の、ポイント獲得・抽選応募期限は終了しております。

食べて地元を愛すルポ「食べるぽ」Vol.9 ひとつの食材をテーマに、産地へ飛んでルポルタージュ。地元ならではの話題からレシピまで、おいしい情報満載!【今月のテーマ】ゆり根【今月のプレゼント】」 【Mission】ゆり根王国の魅力を掘り出せ!演歌歌手・細川たかし氏の出身地として有名な真狩村(まっかりむら)。実は、日本一のゆり根生産地であることをご存じだろうか。ゆり根王国に潜入すべく、羊蹄山の南山麓に向かった。

星澤幸子先生の「ゆり根」を食べレシピ

【おいしさのふるさと】出荷まで6年。ゆり根日本一は、手間ひまのたまもの。

生産農家とJAが二人三脚で育て上げる逸品。

冷涼な気候を好むゆり根は、国内生産の99%が北海道。その中でも真狩村は道内作付の約4割を占める、全国最大の生産地だ。村でゆり根の栽培が始まったのは1961年で、本格的に栽培されたのはゆり根生産組合が設立された1966年から。今では生産量ばかりでなく、色・形・味の三拍子揃った品質が高く評価されている。
この質と量を下支えしているのが、JAようていの茎頂点培養施設だ。ゆり根はウイルスに弱く、感染すると生育不良になる。品質の高いゆり根を安定供給するために、ウイルスのいる可能性が少ない成長点を採取して、無菌状態の施設内で1年かけて種苗を育成。それを生産農家に提供するのだが、ここから気の遠くなるような作業が始まる。

茎頂点培養施設で試験管栽培される種苗。
  • 根に栄養が行くように蕾を摘み取る。
  • 6年目の秋の収穫。一つ一つ手作業で行われる。

病気から守るために掘り起こしと植え替えを幾度も繰り返さなければならない。栄養を根に行き渡らせるために蕾をすべて摘み取り、収穫もデリケートなゆり根を傷つけないように一つ一つ手掘りで行われる。種苗作りから出荷まで、なんと6年もの歳月が費やされるのだ。
手間ひまがかかるゆり根だけに、京料理やおせち料理の高級食材として使われることが多いのも納得がいく。しかも、その栄養価は高く、良質なでんぷんや食物繊維を多く含んでいる。JAようていの松山丈晴課長は「ぜひ、ご家庭で試していただきたい。ピザのトッピングなど手軽に使える食材です」と、ゆり根の普段使いをピーアールする。

ゆり根は村を元気にしてくれる宝物。

真狩村では特産物のゆり根を起爆剤に、さまざまな村おこしを行っている。道の駅「真狩フラワーセンター」には、ゆり根をはじめ、その加工品が一堂に集められており、20年以上のロングセラー「パイリリィ」(ゆり根餡入りパイ)をはじめ、カステラ、最中、スイートコロッケ、ドレッシング、焼酎など多彩な品々が揃っている。2015年には、道の駅内にパティシエを目指す真狩高校の生徒がカフェ「La mikka(ラ・ミッカ)」をオープン。ゆり根モンブランやゆり根酵母を使ったパンが好評だ。
さらに同年、開基120周年を記念して、ジャガイモの花とともにユリの花が村の花として指定され、村のキャラクター「ゆり姉さん」は道内のイベントで大活躍。「ゆり根王国・真狩村」を積極的に発信している。

道の駅で販売されているゆり根。取材当日はLサイズ・1球 220円(税込)。
  • 道の駅に設けられた、ゆり根のスイーツコーナー。
  • 真狩村のキャラクター「ゆり姉さん」。女子高生をモチーフにしている。
  • ●取材協力・写真提供:JAようてい/真狩村役場

道の駅 真狩フラワーセンター

【場所】
北海道虻田郡真狩村字光8番地3
【お問い合わせ】
TEL 0136-48-2007
【開館時間】
4月下旬~10月31日/9:00~18:00、11月1日~4月下旬/9:30~16:30
(レストラン:4月下旬~10月31日/10:00~17:00、11月1日~4月下旬/10:00~15:00)
【休館日】
年末年始(12月31日~1月3日)

【地元おすすめスポット】真狩には食べるゆりもあれば、見るユリもある。

4万株の花ユリが咲く、夏の風物詩「フラワーロード」。

毎年、8月上旬になると真狩村に“黄色い花街道”が現れる。場所は留寿都村との境界線から真狩村に向かう道道岩内洞爺湖線沿い。全長2kmわたって約4万株の花ユリ(パピア)が2列(一部4列)で咲き乱れる「フラワーロード」だ。お盆前後に満開を迎え、多くの観光客が美しい花ユリの風景と香りを楽しんでいる。
初めて「フラワーロード」が現れたのは、開基100年を迎えた1994年のこと。村を訪れる人たちを真狩らしく歓迎しよう!と、住民有志でつくる「まっかり村づくり研究会」が始めたものだ。同会は“村のために夢を語り合う場を持ちたい”という思いから、1990年に発足。当時は花ユリ球根の出荷量が全国一を誇っており、特産物の花ユリで村をピーアールしたいという志が「フラワーロード」という形で花開いたのだ。花ユリと羊蹄山が重なり合う絶景を楽しんでもらうために、視界に入っていた電柱と電線を道路の南側に移設したという。そんなエピソードからも、メンバーの村に対する思いが伝わってくる。

  • 黄色の花ユリと秀峰・羊蹄山が織りなす、美しい風景。
  • 6月初旬に行われる花ユリ球根の植え付け作業風景。

花ユリの球根4万個の植え付けは、毎年6月初旬に100人ほどで行われる。ほとんどが募集によるボランティアで、札幌や室蘭からの参加者もいるとか。同会の野村秀幸会長は「"見る"から"参加する"イベントへと育ってくれたらうれしい」と抱負を語ってくれた。今年の花ユリの植え付けに参加して、この夏、自分で植えた花ユリを鑑賞しに、真狩村へ遊びに行ってみてはどうだろう。

フラワーロード

【場所】
道道岩内洞爺湖線沿道
【お問い合わせ】
TEL 0136-45-3613(真狩村役場 総務企画課内~村づくり研究会事務局)
【開花時期】
8月初旬から下旬 ※フェイスブックでご確認ください。
【フェイスブック】
https://www.facebook.com/makkarimuraken/

【地元限定アイテム】「もったいない」の気持ちから生まれたスイートコロッケ。

規格外品でゆり根のおいしさを広める「まっかりまんま」。

村の中心部にある真狩村農産物加工研究会「まっかりまんま」を訪れると、現会長の鈴木智晴さんと元会長の板敷タカ子さんが笑顔で迎えてくれた。まず板敷さんに同会設立の経緯を尋ねた。活動を始めたのは2003年。当時、ゆり根の生産農家だった板敷さんは、丹精込めて育てたゆり根の規格外品が廃棄されるのを見て「なんてもったいないんだろう。何とかできないものか」と考えた。ある日、ふと思いついたのがコロッケ。これなら子どものおやつとしても食べてもらえる!そこから悪戦苦闘の日々が始まる。肉を入れてみたり、つなぎに小麦粉や卵を使ってみたが、納得のいくものにはならなかった。

試行錯誤を重ねて、レシピが完成したのは2007年のこと。裏ごししたゆり根の中に甘く煮たりん片を入れた「ゆりねのスイートコロッケ」だ。もちろん真狩産の規格外ゆり根を100%使用。上品な甘さと適度な塩味が好評で、2008年の洞爺湖サミットで試食した首脳夫人がおかわりをしたというエピソードも。
鈴木会長は「今後は取り扱い店や契約農家を増やし、より多くの人に食べてもらって、ゆり根のおいしさを広めていきたい」と意気込みを語ってくれた。「ゆりねのスイートコロッケ」は道の駅「真狩フラワーセンター」で販売しているほか、道の駅キッチンカー(営業は4月下旬~10月中旬/土・日・祝のみ)、まっかり温泉内「お食事処 まきば」で揚げたてを味わうことができる。

グラニュー糖で煮たゆり根のりん片が上品な甘さを生み出す。
  • キズや汚れの除去から衣付けまで、手作業で丁寧に行われる。
  • 真狩産ゆり根を100%使用した「ゆりねのスイートコロッケ(冷凍6個入り)」1,296円(税込)

真狩村農産物加工研究会
「まっかりまんま」

【住所】
北海道虻田郡真狩村字真狩29番地8
【お問い合わせ】
TEL 090-7687-4476
真狩村農産物加工研究会「まっかりまんま」

【ご当地グルメ】ゆり根とハーブ豚のおいしい出会いに舌つづみ。

地元の食材にこだわる老舗食堂「小川屋」。

地元で長年愛されてきた老舗食堂がある。1957年に開業した「小川屋」だ。店を切り盛りするのは三代目の高見順子さん。気さくな笑顔が、初対面であることを忘れさせてくれる。昨年から、栄養士をしていた次男の秀志さんが、四代目として店のスタッフに加わった。
店のモットーは地産地消。「真狩産は肉にしても野菜にしても品質がいいし、何よりも知り合いの農家のものだから安心感が違うね」と順子さん。店の一番人気は豚丼(1,100円、税込)だ。くさみがなくジューシーな真狩産ハーブ豚のバラ肉を秘伝のタレとからめてご飯にのせ、最後にゆり根をたっぷりと盛りつける。「ゆり根はハーブ豚と相性がいい。甘じょっぱいタレにも合いますね」と話すのは秀志さん。ゆり根は揚げても、煮ても、蒸してもおいしいことから、多くのメニューに使っているという。
秀志さんは「若いお客さんにもっと来てもらいたいので、これから新しいメニューづくりにも挑戦したい」と熱く語ってくれた。近い将来、ゆり根を使った新真狩名物が老舗食堂から誕生するかもしれない。

  • 「生姜焼き定食…1,350円(税込)」。ハーブ豚とゆり根が焦げない程度に鉄板を熱するのがミソ。
  • 「自家製チャーシュー麺…980円(税込)」。ハーブ豚の厚切りチャーシューにゆり根をトッピング。

小川屋

【住所】
北海道虻田郡真狩村真狩44番地27
【お問い合わせ】
TEL 0136-45-2638
【営業時間】
11:00~20:00
【定休日】
不定休
【フェイスブック】
https://www.facebook.com/小川屋-160911314031184/
小川屋

星澤幸子先生の「ゆり根」を食べレシピ

ほのかな甘味とホクホクした食感。ゆり根おこわ

ゆり根おこわ
材料(4枚分)
もち米 1・1/2合
うるち米 1/2合
ゆり根 大1玉
小揚げ 1枚
しょうゆ、酒 各大さじ1杯
小さじ1/2杯
鮭節 ひとつまみ
季節の野菜(菜の花・ふきのとうなど) 適量
  1. もち米とうるち米は炊く15分前に合わせてといで炊飯器に入れ、おこわ2合の水に浸しておきます。
  2. ゆり根は根をくり抜いてほぐし、黒い部分を処理してよく洗います。小揚げは湯通しして、横半分の薄切りにします。
  3. 米にしょうゆ、酒、塩、細かく揉んだ鮭節を加え、小揚げとゆり根をのせて炊きます。
  4. 炊き上がったらすぐにへら返しして器に盛り、季節の野菜を添えます。
星澤先生のココがポイント!
ポイント1ゆり根の根は、刃先でくり抜きます。
ポイント2黒いところはこすって洗い、フチを切り落とします。

ゆり根の歯ざわりを楽しめる。ゆり根の卵焼き

ゆり根の卵焼き
材料(4人分)
ゆり根 1玉
少々
3個
大さじ2杯
みりん 大さじ1杯
小さじ1/4杯
大さじ1杯
大根おろし 適量
  1. ゆり根は根をくり抜いてほぐし、黒い部分を処理してよく洗い、沸騰させた湯に塩を入れて透き通るまで茹でます。
  2. 卵を割りほぐし、水と調味料、ゆり根を加えて混ぜます。
  3. 熱した卵焼き鍋に油をしいて1/3量を流して箸でつつくように焼き、手前の方に巻きます。巻き終わったら、奥の方に寄せて同様に油をしいて残りの卵液を2回に分けて焼きます。
  4. すだれで形を整えて巻き、少し冷めてから切り分けて大根おろしを添えていただきます。
ポイント1塩を入れ、白色が少し透明になるまで茹でます。
ポイント2卵液は3回に分け、中火で焼きます。

サクサクほっこりがおいしい。ゆり根のかき揚げ

ゆり根のかき揚げ
材料(4人分)
ゆり根 1玉
薄塩鮭 1切れ
三つ葉 20g
小麦粉 大さじ2杯
 
1個
水、小麦粉、片栗粉 各大さじ3杯
揚げ油 適量
少々
  1. ゆり根は根をくり抜いてほぐし、黒い部分を処理してよく洗います。鮭は骨を取って細かく切り、三つ葉は3cm長さに切り、ポリ袋で小麦粉をまぶします。
  2. 衣の卵を割りほぐし、水、小麦粉、片栗粉を加えて軽く混ぜ、材料を絡めます。
  3. 木べらでタネを薄く広げて油に落とし、油が静かになるまでゆっくりカリッとなるまで両面を揚げ、塩を振っていただきます。
星澤先生のココがポイント!
ポイント1材料を袋に入れ、小麦粉と混ぜ合わせます。
ポイント2木べらの上でタネを均等にならし、すべらせるように油へ入れます。
星澤幸子先生 プロフィール
北海道南富良野町生まれ。星澤クッキングスタジオ 主宰。
札幌テレビ初の夕方のワイド番組の放送開始から毎日生出演し、料理を紹介して26年。
紹介数は6,300品にのぼる。それによるギネス記録保持者であり、自己の記録を更新中。
北海道の食材にこだわり、誰にでも作れる手軽な料理を紹介して、独自のスタイルを確立し中高年の主婦を中心に、幅広い世代から支持を得ている。
星澤幸子先生
【今月のプレゼント】

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