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食べるぽ vol.8

食べて地元を愛すルポ vol.8「チーズ」

こちらに掲載されている記事の、ポイント獲得・抽選応募期限は終了しております。

食べて地元を愛すルポ「食べるぽ」Vol.8 ひとつの食材をテーマに、産地へ飛んでルポルタージュ。地元ならではの話題からレシピまで、おいしい情報満載!【今月のテーマ】チーズ【今月のプレゼント】」 【Mission】酪農郷の手作りチーズを探れ!安全な土と草が健康な乳牛を育み、その良質な生乳から個性豊かなナチュラルチーズが作られる。チーズ工房と酪農家の美味しい関係を探りに、酪農郷・八雲町に向かった。

星澤幸子先生の「チーズ」を食べレシピ

【おいしさのふるさと】ナチュラルチーズで、酪農のさらなる熟成をめざす。

近代酪農の発祥地として、質の高い生乳を生産。

乳牛頭数9,963頭、年間の生乳生産量37,429トン(2015年度)、八雲町は道南一の酪農郷だ。その歴史は古い。尾張徳川家の出資で1881年に設立された「野田生(のだおい)牧牛会社」が、乳牛を飼育したのが始まり。当初は馬鈴薯の生産が主だったが、牧畜も細々と行われていた。しかし第1次世界大戦により、澱粉価格が大暴落。さらに連作に次ぐ連作で地力が消耗し、馬鈴薯に代わる農業の転換を迫られる。その答えが酪農だった。1920年に「畜牛組合」を設立。すべての農家に牛を行き渡らせ、質の良い土づくりと草づくりから牛を育てた。組織的に酪農の基本を実践する町として、全国から多くの人が視察に訪れ、いつしか近代酪農の発祥地と言われるようになった。第2次世界大戦後も多くの酪農家がデンマークなどへ視察に赴き、西洋の近代農法を取り入れた。
この進取の精神は、今もなお酪農家たちに受け継がれている。牛をつながずに自由に歩き回れるようにしたフリーストール牛舎の導入や放牧飼育の実践など、高品質な生乳生産のために様々な取り組みを行っている。この生乳を使った加工品で、酪農の付加価値を高め、地域おこしができないだろうか。ナチュラルチーズ作りに立ち上がった酪農家の主婦たちがいる。

  • 八雲町育成牧場。農繁期の5月から10月の間、育成牛を町営の牧場で放牧飼育している。
  • 八雲農業の振興に貢献してきた乳牛に感謝の意を表すため1939年に建立された碑。

チーズ作りとイベントで町に活力を生む主婦グループ。

「家庭に自慢の漬物があるように、酪農家にも自慢のチーズがあってもいいじゃないか」。そんな発想から1992年に発足したのが「NPO法人八雲ハンドメイドの会」。きっかけは、農業改良普及センターの指導員だった土田千春さんとの出会いだった。当時、酪農家が丹精込めて搾った生乳が生産過剰による供給調整で廃棄されていた。その状況に心を痛めていた土田さんが「チーズを作ってみない?」と酪農家の主婦たちに呼びかけた。「その声に驚いて、振り向いちゃったのが発足時のメンバーね」と笑いながら話すのは会長の戸田美恵子さん。最初は試行錯誤の連続だったという。酪農の仕事や家事の合間を縫って町の施設に集まり、研究を重ね、満足のいくナチュラルチーズを作るまでに10年かかったという。
2004年にNPO法人に認定され、翌年、営業許可を取得。「牛乳の華(ミルクのはな)」というブランド名で、セミハードとフレッシュの2タイプ、それぞれにプレーンやとうがらしなど4種類が製品化されている。また「手作りチーズ体験講習会」や「牛乳・乳製品料理講習会」を開催。その活動と商品力は高く評価されている。 戸田さんは「量産はできないけれど、ナチュラルチーズを通して酪農の素晴らしさを発信しながら、地域の活性化につなげることができればと思っています」と意気込みを語ってくれた。

  • 手作りチーズ体験講習会(5名以上、2週間前までに予約要、一人1,300円・税込、所要時間約60分)。お申し込み・お問い合わせ 090-6216-2572(戸田)
  • 「牛乳の華」。セミハードとフレッシュそれぞれにプレーン・とうがらし・こしょう・ハーブの4種類がある。
  • ●取材協力・写真提供:八雲町役場/八雲ハンドメイドの会/渡島農業改良普及センター渡島北部支所

【地元おすすめスポット】ここにしかない!が、いっぱいある特産品の宝庫。

八雲町のナチュラルチーズが、すべて揃うアンテナショップ。

八雲町のナチュラルチーズを買って食べてみたいという方に、おすすめの場所がある。道央自動車道の八雲パーキングエリアに隣接する道立公園「噴火湾パノラマパーク」。その敷地内にある八雲町情報交流物産館「丘の駅」だ。八雲町をはじめ近隣市町村の特産品を常時600~700アイテムほど揃えている。「アンテナショップとして、色々な商品をお試しいただきたいので、できるだけ小口に分けて買いやすいように販売しています」と話すのは物産コーディネーターの岸田望さん。売れ筋は噴火湾で獲れたホタテの燻製、チーズ、牛乳など。乳製品コーナーを見ると、八雲町にある3つのチーズ工房すべてのナチュラルチーズが揃っていた。お気に入りを数種類買って、食べ比べできるのがうれしい。道南随一の酪農郷であり、日本海と太平洋という二つの海に面している八雲町ならではの「食」に出会うことができる。また隣接する「パノラマ館」ではカフェから噴火湾を一望でき、天候に左右されずに子どもたちが遊べるキッズアリーナもあるので、ぜひ立ち寄っていただきたい。

  • 八雲町をはじめ道南エリアのチーズや牛乳、ヨーグルトなどが並ぶ乳製品コーナー。
  • 豊富な商品アイテム。魅力ある特産品を、常に発掘して販売する努力をしている。

八雲町情報交流物産館「丘の駅」

【住所】
北海道二海郡八雲町字浜松368-8
【お問い合わせ】
TEL 0137-65-6100
【営業時間】
10:00~18:00
【定休日】
月曜日(祝日の場合は次の平日)
【ホームページ】
http://www.yakumo-okanoeki.com
八雲町情報交流物産館「丘の駅」

【地元限定アイテム】おいしいチーズは、良質な生乳と人の情熱で作られる。

自らの牧場で搾った生乳にこだわる「チーズ工房小栗」。

乳牛の放牧飼育で知られる小栗牧場のチーズ工房。小栗牧場は1906年の創業で、3代目の隆さんが就農した頃は牛舎内に牛をつなぎ留め、栄養素を多く含む飼料で育てていた。そうすることで乳量が格段に増えた。しかし、牛の病気が多発する。「これが本当の酪農なの?」という妻・美笑子さんの言葉で目が覚めたと隆さん。1997年から、牛は草食動物であるという原点に立ち返る。つなぎ飼いから放牧飼育に切り替え、牛の排泄物を草地に還して牧草を育て、それを牛がはむという循環型酪農を実践。放牧地に化学肥料を一切入れず、飼料は安全な少量の配合飼料と牧草だけ。その努力が実って、2007年には農林水産祭で天皇杯(畜産部門)を受賞している。

のびのびと放牧されている牛たち。

この安全でおいしい生乳をチーズという形で消費者に味わってもらいたいと、2005年に「チーズ工房小栗」を立ち上げたのが美笑子さん。フレッシュからハードまで各種のナチュラルチーズを作っている。牧草地でのびのびと草をはんだ牛の生乳で作るチーズはカロチンがいっぱいで、夏は黄色味が強くなるという。取材の最後に美笑子さんは「自然や人に優しくて未来につながる農業を願って、これからもチーズを作っていきたい」と語ってくれた。

  • 梅酒で洗って熟成させた「ウメ」750円(税別)。
  • そのままでも焼いてもおいしい「ヤクモ」600円(税別)。

チーズ工房小栗

【住所】
北海道二海郡八雲町春日164-8
【お問い合わせ】
TEL 0137-64-3436
【定休日】
不定休
チーズ工房小栗

地元産の高品質乳100%を使った「八雲チーズ工房」。

八雲町の市街地から道道42号線を進むと、ほどなく雑木林の中に木造りの工房が見える。高橋静さん、由美子さんご夫婦が営む「八雲チーズ工房」だ。ご主人は八雲町酪農業の先駆者と言われる故太田正治氏の取り組みに感銘を受け、1970年に岩手県から八雲町に移住。その後、3年半のノルウェー生活でチーズの魅力を知り、1995年に現在の地に工房を開設した。
放牧による健康な牛から搾られ、検査で安全が保障された八雲町産生乳を100%使用。無調整、無添加(保存料・着色料等)にこだわったチーズづくりを行っている。白カビタイプのカマンベール、さけるチーズのペンケル、ミルクの風味を閉じ込めたミルクボール(モッツァレラ)、吊り下げて熟成させるスカルモルツァなど、少量多品種の製品ラインアップ。あくまでもじっくりと丁寧にがモットーだ。「今後はハードタイプのチーズを充実させたい」とご主人。オオワシやシマリス、モモンガも顔を見せる豊かな環境のもと、「八雲チーズ工房」の自然体かつ熱いナチュラルチーズ作りは続く。

  • 少量多品種の製品ラインアップ。3年前から飲むヨーグルトも商品化。
  • 「カマンベール・遊楽部(ゆうらっぷ)」1,000円(税別)

八雲チーズ工房

【住所】
北海道二海郡八雲町上八雲461-6
【お問い合わせ】
TEL 0137-62-4653
【営業時間】
10:00~17:00
【定休日】
不定休
八雲チーズ工房

【ご当地グルメ】温もりの中で、スイスの伝統的な家庭料理を堪能する。

地産地消で異国の味を提供する「アルポン」。

八雲町のナチュラルチーズをはじめ地元の食材を使った、おいしい料理を出すレストランがある。スイス料理の店「アルポン」。フィンランド直輸入の角ログハウスが周囲の牧草地に溶け込んで、異国にいるような錯覚にとらわれる。ドアを開けると看板犬が出迎えてくれた。最初に目に入ったのは、スイス製のオーブン付き薪ストーヴ。とにかく大きい。取材当日は寒い日だったが、店内は心地よい温もりに満たされていた。

ブルーチーズの塩味を楽しめる「ゴルゴンゾォーラのピッツァ」1,380円(税込)。

早速、スイスの伝統的な家庭料理をいただきながら、オーナーの佐藤渥子さんにお話を伺った。食材は道産の肉や噴火湾で獲れた海産物、地元近郊の野菜が中心。「スイスという国は土地が狭いので、地産地消が料理の基本的な考え方なんです」と佐藤さん。ピザやドリアなどに使うナチュラルチーズは「チーズ工房小栗」のものだ。牛本来の力を引き出した生乳で作るチーズは、味わいがまったく違うという。メニューを見ると品数の豊富さに驚くが、メニューになくても要望に合わせて料理を作ってくれるとのこと。八雲町に来た際には、ちょっと足を伸ばしてみてはどうだろう。

  • 濃厚な味わいの「オグリさんのチーズづくしドリア」1,380円(税込)。
  • フレーバーを感じる「あたたかいチーズトマトのサラダ」680円(税込)。

スイスレストラン アルポン

【住所】
北海道二海郡八雲町立岩403
【お問い合わせ】
TEL 0137-62-4344
【営業時間】
11:00~22:30
【定休日】
月曜 ※月曜が祝日及び振替休日の場合は営業
【ホームページ】
http://alphorn1.com
スイスレストラン アルポン

星澤幸子先生の「チーズ」を食べレシピ

さんま蒲焼き缶を使った簡単ピザ。ヘルシーさんまピザ

ヘルシーさんまピザ
材料(1枚分)
じゃがいも 2個
塩、コショウ 各少々
大さじ1杯
さんま蒲焼き缶 1缶
ピーマン 1個
シュレッドチーズ 60g
トマトケチャップ 大さじ4杯
  1. じゃがいもは皮をむいてスライサーなどで千切りにし、塩、コショウをします。さんま蒲焼き缶は粗くほぐし、ピーマンは輪切りにします。
  2. フライパンに油を熱し、じゃがいもを平らに広げて押さえて、きつね色になったら返します。
  3. トマトケチャップを塗り、さんま、ピーマン、シュレッドチーズの順に全体に散らし、フタをして蒸し焼きにします。
  4. チーズが溶けたら切り分けていただきます。
星澤先生のココがポイント!
ポイント1千切りにしたじゃがいもを平らに広げます。
ポイント2フタをして蒸し焼きにします。

チーズの風味と野菜のベストマッチ。カマンベールグラチネ

カマンベールグラチネ
材料(4~6人分)
カマンベールチーズ 1個
しょうゆ 適量
青のり、粗みじん切り唐辛子 各少々
大根、にんじん、セロリ、クラッカーなど 各適量
  1. カマンベールチーズは、冷蔵庫から出してすぐに上の皮を包丁で削ぎ取ります。削ぎ取った皮は底に敷きます。
  2. オーブントースターでチーズの中心が溶けるまで焼きます。
  3. しょうゆ、青のり、粗みじん切り唐辛子を振り、食べやすく切った野菜やクラッカーを添え、つけていただきます。
星澤先生のココがポイント!
ポイント1
上面の皮を包丁で切り落とします。

チーズと長いもの食感は相性抜群。長いもとチーズのサラダ

長いもとチーズのサラダ
材料(4人分)
長いも 400g
ナチュラルチーズ 50g
ミニトマト 4個
三つ葉 20g
ドレッシング
しょうゆ 大さじ2杯
酢、ごま油 各大さじ1杯
  1. 長いもは皮をむいて1cm厚に切ってポリ袋に入れてたたき、粗く砕きます。チーズは小さめに切り、ミニトマトは4つ切り、三つ葉は3cm幅に切ります。ドレッシングの調味料を合わせます。
  2. 材料を合わせて器に盛り、ドレッシングをかけていただきます。
星澤先生のココがポイント!
ポイント1
長いもはポリ袋に入れてめん棒などで粗めに砕きます。
星澤幸子先生 プロフィール
北海道南富良野町生まれ。星澤クッキングスタジオ 主宰。
札幌テレビ初の夕方のワイド番組の放送開始から毎日生出演し、料理を紹介して26年。
紹介数は6,300品にのぼる。それによるギネス記録保持者であり、自己の記録を更新中。
北海道の食材にこだわり、誰にでも作れる手軽な料理を紹介して、独自のスタイルを確立し中高年の主婦を中心に、幅広い世代から支持を得ている。
星澤幸子先生
【今月のプレゼント】

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