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プロトーク vol.7

専門家のワンポイントアドバイス カメラ編「もっとカメラを楽しむ」③

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専門家のワンポイントアドバイス「プロトーク」

「応用撮影モード」を活用した写真の楽しみ方

撮影モードには、「かんたん撮影モード」と「応用撮影モード」があります。カメラがすべて自動的に設定してくれる「かんたん撮影モード」に対して、「応用撮影モード」は何をどのように撮りたいかで、自在に設定を変えることができます。今回は、より積極的にカメラを操作して撮影できる「応用撮影モード」について解説します。「かんたん撮影モード」に慣れてきたら、ぜひチャレンジしてみてください。

【カメラの専門家】佐藤 正浩 氏 さとうま さひろ
佐藤 正浩 氏 さとう まさひろ
1962年生まれ、札幌市在住。
専門学校札幌ビジュアルアーツ写真学科・常勤講師。
1986年、東京写真専門学校・報道写真学科卒業。
東京写真専門学校勤務を経て、1987年より(株)集英社に勤務する。
1992年に札幌に転勤。
北海道タキ・札幌シリウス・スタジオアトム・マークスタジオなどのフォトスタジオに勤務。
2008年より、現職。
日本写真芸術学会会員。
【取材・撮影協力/札幌ビジュアルアーツ写真学科】

「応用撮影モード」で表現の幅が一気に広がる!

「応用撮影モード」には、P=プログラムモード、S(Tv)=シャッタースピード優先モード、A(Av)=絞り優先モード、M=マニュアルモードなどがあります。背景のボケ味を重視したい、被写体の動きを重視したいなど、表現意図に合わせて自在に設定できます。それぞれのモードを説明する前に、まず基本を理解しておきましょう。

  • 一眼レフカメラの「応用撮影モード」セレクトダイヤル。一眼レフカメラの「応用撮影モード」セレクトダイヤル。
  • コンパクトカメラの「応用撮影モード」セレクト液晶画面。コンパクトカメラの「応用撮影モード」セレクト液晶画面。

※メーカーによって若干表記が異なります。

「応用撮影モード」を活用するための基礎知識

露出

露出とは、カメラに取り込む光の量のこと。光の量は設定したISO感度に対して、シャッタースピードと絞り値(F値)との組み合わせで決まります。光を取り入れ過ぎることを「露出オーバー」、光が少なくて暗く見えることを「露出アンダー」といいます。

露出を決める3要素
露出を決める3要素
ISO感度

ISO感度とは、光を感じ取る度合いを数値化したもので、ISO100・200・400…のように表します。数値を大きく設定すると光に対する感度が高くなるため、室内や夜景など光量の少ない場所でも明るく撮影できます。また速いシャッタースピードや大きな絞り値で撮影できます。ただし、数値を大きくし過ぎると写真が粗くなる現象「ノイズ」が発生してしまうので注意が必要です。

  • ISO感度を上げると速いシャッタースピードを選択できるので、手ブレを軽減できます。ISO感度を上げると速いシャッタースピードを選択できるので、手ブレを軽減できます。
  • 夜空・夜景などの撮影では、ISO感度を高感度に設定する必要があります。夜空・夜景などの暗い場所での撮影では、ISO感度を高感度に設定する必要があります。
シャッタースピード

シャッタースピードとは、シャッターが開いている時間(露光時間)のことで、速さによって取り込む光の量が決まります。1秒・1/2秒・1/4秒…1/250秒・1/500秒のように表します。速いシャッタースピードに設定すれば、動きの速い物を止まっているように撮影できます。遅く設定した場合は、動いている物がブレやすくなります。

  • 1/15秒で撮影1/15秒で撮影
  • 1/500秒で撮影1/500秒で撮影

同じ動きのある被写体でも、シャッタースピードを変更することで印象が変わります。

絞り値(F値)

絞り値とは、光が通る穴の大きさを数値化したもので、開き具合によってレンズを通る光の量が変わります。F1.4・F2・F2.8・F4・F5.6・F8・F11・F16のように表します。小さい数値ほど、光が通る穴が大きく開き、レンズを通る光の量が多くなるため、早いシャッタースピードを選択できます。また、数値を変更することによって、背景のボケ方、写真上のピントが合って見える範囲(被写界深度)が変わります。

  • F4で撮影F4で撮影
  • F16で撮影F16で撮影

絞り値の設定によって、背景のボケ方(被写界深度)が変わります。

「ISO感度」「シャッタースピード」「絞り値」のイメージ

それぞれの撮影モードを理解して、どんどん撮ってみよう!

P プログラムモード

シャッタースピードと絞り値をカメラが自動で設定します。「かんたん撮影モード」のオートモードの場合も、シャッタースピードと絞り値をカメラが決定しますが、ISO感度やホワイトバランスも自動設定され、暗い場所では強制的にストロボ発光を行います。ストロボ発光をしたくない場合、例えば、カメラ正面にストロボの光が写り込む反射物がある場合や、ストロボ発光が禁止されている水族館や動物園などで撮影する場合は、「応用撮影モード」のプログラムモードを活用しましょう。

  • 「かんたん撮影モード」のオートモードで撮影。ストロボ発光で反射物に光が写り込んでいる。「かんたん撮影モード」のオートモードで撮影。ストロボ発光で反射物に光が写り込んでいる。
  • 「応用撮影モード」のプログラムモードで撮影。ストロボ発光を止め、反射物への光の写り込みを防いでいる。「応用撮影モード」のプログラムモードで撮影。ストロボ発光を止め、反射物への光の写り込みを防いでいる。
S(Tv) シャッタースピード優先モード

撮影者が設定したシャッタースピードに対して、カメラが自動で絞り値を決定します。動きの速い物を写すときに、ブレを抑えたい場合は速いシャッタースピードに設定します(暗くなる場合はISO感度を上げると効果的です)。逆に動きを表現したい場合は、遅いシャッタースピードに設定します。

  • 速いシャッタースピードで撮影。水しぶきの一瞬が写っていて、滝の力強さを感じさせます。速いシャッタースピードで撮影。水しぶきの一瞬が写っていて、滝の力強さを感じさせます。
  • 遅いシャッタースピードで撮影。滝が長時間露光によって帯のように写り、時間の流れを感じさせます。遅いシャッタースピードで撮影。滝が長時間露光によって帯のように写り、時間の流れを感じさせます。
A(Av) 絞り優先モード

撮影者が設定した絞り値に対して、カメラが自動でシャッタースピードを決定します。絞り値を変更することによって、背景のボケ味が変化します。

  • 絞り値を小さな数値に設定し、背景のボケ味を強調した作品。絞り値を小さな数値に設定し、背景のボケ味を強調した作品。
  • 絞り値を大きな数値に設定し、手前から奥行までピントがあっている作品。風景写真などでは、絞り値を絞って撮影されることが多い。絞り値を大きな数値に設定し、手前から奥行までピントがあっている作品。風景写真などでは、絞り値を絞って撮影されることが多い。
M マニュアルモード

シャッタースピードや絞り値を自由に設定できます。より意図した表現が可能になりますが、組み合わせを誤ると、明る過ぎる写真、暗過ぎる写真になってしまいます。この場合は、カメラの露出計表示を見ながら、シャッタースピードと絞り値の組み合わせを決めると良いでしょう。さまざまな知識が必要となるため上級者向けのモードといえます。

露出計表示の例。中心が基準露出でプラスが露出オーバー、マイナスが露出アンダー。
露出計表示の例。中心が基準露出でプラスが露出オーバー、マイナスが露出アンダー。
応用撮影モード
撮影モード シャッタースピード 絞り値 POINT!!
P
(プログラムモード)
AUTO AUTO シャッタースピードも絞り値もカメラが決める。
S(Tv)
(シャッタースピード優先モード)
撮影者が決める AUTO 撮影者が決めたシャッタースピードに対して、絞り値はカメラが決める。
A(Av)
(絞り優先モード)
AUTO 撮影者が決める 撮影者が決めた絞り値に対して、シャッタースピードはカメラが決める。
M
(マニュアルモード)
撮影者が決める 撮影者が決める 露出計の表示に対して、すべて撮影者が決める。(上級者向け)

※ISO感度・WB(ホワイトバランス)の設定は、撮影環境や撮影意図によって、撮影者が設定します。

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