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我が町のぬくもりステーション vol.9

我が町のぬくもりステーション vol.9「留萌・宗谷エリア」

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明日の活力を充電 ―我が町のぬくもりステーション―

地域で愛されているカフェ、帰省のたびに訪れたくなる食堂…そう、そこは、住民たちの憩いの場。明日への活力を充電できるオアシスです。笑顔が生まれる、町の「元気の象徴」である店を、月刊誌HO取材陣が、毎月各地域の市町村を訪ねご紹介します。


第9回は、留萌・宗谷エリアです。


1軒目 稚内「サングリーン」

とうとう来ました日本最北端、そして国境の町、稚内。

海の向こうわずか43km先にはロシア・サハリンがあります。
今日は海の向こうがかすんでいて、ちょっと見えないかな。
サハリンへはフェリーが運航され、多くの人が行き交う国際的なエリアでもあります。

オホーツク海、日本海、サハリン海峡に囲まれたこのエリアは海の幸の宝庫。

日本海側に出かけると利尻富士がとてもきれいに見えました。
おいしい利尻昆布、おみやげにしたいなぁ。
でも、今日訪ねるのは海の幸の店ではないんですよね。

向かうのは内陸側。幌延方面へ行けども行けども町は無し。
牧草地や原野がどこまでも広がっています。この先本当に店はあるのかな?

ようやく辿り着いたのは小さな集落、沼川です。
公園のそばの道路沿いに、ログハウスのような趣のある建物がありました。
1982年から続く「サングリーン」
昼だけ開くラーメン店です。

麺をゆでていたのが昨年からオーナーとなった大橋真弓さん。
牧場が多い酪農地帯のこの地域で旦那さんとともに獣医師としても働いています。
見守るのは先代マスターと一緒に働いていたベテランスタッフさんです。

女性スタッフ中心の店は、ラーメンファンに大人気。

昨年の秋に83歳で亡くなった先代マスターの津田晃さんは、店の存続を考えていたころに大橋さん家族と出会いました。
大橋さんは三重出身、旦那さんも静岡出身。酪農家の共済組合専任獣医師として赴任した大橋さんの旦那さんは、2年前にこの地域が気に入り、独立開業することを決め、沼川で住む場所を探していました。ちょうどその頃、津田さんから住居兼店舗のこの店を譲るので、店をなんとか続けてほしいと頼まれたそう。
もともと客としてもこの店に来ていた大橋さん夫妻。
本業があり、3人の子供たちの子育て中で忙しいものの、「飲食店の無いこの沼川で、地元の人たちや働きに来ている人たちが不便にならぬよう、なんとか店を残したい」という津田さんの強い思いを受け止め大橋さんは店を続けることを決意したそうです。

普段店を取り仕切ってくれる、心強いベテランスタッフさんとともに、マスターが残した味を出し続けています。

ちなみに当時は飲食店はここだけでしたが、最近はもう1軒できたそうです。

さて、ラーメンができました。

宗谷岬の昆布でしっかりとだしを取った、透明できれいな塩味のスープ。
そこに中細の縮れ麵が入った「塩ワサビラーメン」は750円です。

中央にど~んと載っている白い山。
それは山わさび。
創業から続くワサビラーメンが店の名物です。

わさびを少しずつ溶いて、つるつるの麵と一緒にいただきます。
すっきりとしたスープが好評で、のど越しの良い麺によく合いますね。ほかにまろやかな醤油味もありますよ。

ちなみに…稚内ではラーメンというと塩か醤油。
最近こそ増えてきましたが、かつては味噌味を出す店はほぼ無かったのですって。

大橋さんが納屋から運んできたのは立派な山わさび。
店の裏にある畑を見せてもらいました。
まだ葉が残っています。春と秋に収穫したものを1年大事に使うそうです。

畑の下には小さくてかわいいヤギがいました。
「夫の両親が静岡で牧場を営んでいるのですが、静岡で生まれてこっちに来たコなんですよ」
春生まれの男の子、チップはお客さんのアイドル。店の周りの草をたくさん食べてきれいにしてくれるそうです。

あ、またお客さんが来ましたね。「稚内市内から自転車を走らせてきました」という男性客。

初めて来たという男性がたのんだのは、おすすめの「醤油ワサビラーメン」
真っ黒なスープ、インパクトあります。

「ほら、こうして、れんげの中で少しずつ好みの量を溶いてから、まずは食べてみて」と食べ方を教えてくれるベテランスタッフさん。
山わさびは辛いけど旨味も豊富。一度食べたらはまる人が多いそうですよ!

「うん、来たかいがありました。おいしいですね~」

「あら久しぶり」とスタッフさんに声をかけられた、小上がりの男性客は常連さん。
ランチで食べるのはやっぱり「塩ワサビラーメン」とライス。
奥にいる男性はラーメンと一緒に持参のお弁当も食べるみたい。お店の食事が生活の一部になっているのですね。

ラーメンのほかには、手作りのふっくらと軟らかなハンバーグのセット1,000円やスパイシーなカレーも評判ですよ。

入り口には先代から店に残る、黒い招きネコ。守り神のように存在感があります。
どうぞこれからも店が続くように見守っていてね。

ワサビラーメンを食べに、また寄りますね~。

サングリーン
稚内市声問村沼川7704-4
電話 0162-74-2237
営業時間 11:00~14:00(L.O.13:30)
定休日 日曜、年末年始

2軒目 豊富「丸勝亭」

稚内からは車で40分ほど、豊富町に到着しました。
どこまでも広がるサロベツ原野があり、酪農が盛んな町です。
人口約4,000人に対して飼養する牛は約14,000頭と人口の3.5倍。搾りたての牛乳は町内で製品化され、全道各地に届けられています。豊富の乳製品、一度はコンビニで見たことありますよね。

そして、全国から注目される独特の湯が湧く「豊富温泉」があります。
大正時代末期に開かれた、歴史ある最北の温泉郷です。

どうです!日本広しともこんな湯になかなか出会うことはないでしょう。
石油のような匂いと黄濁した湯。表面に油膜や湯の花が浮かぶ、いかにも効きめがありそうな温泉です。町営の日帰り入浴施設「ふれあいセンター」は油分の濃さは豊富温泉髄一。入れば肌はしっとりマイルドで気持ちがいいのです。
これまでアトピーなどの皮膚疾患で苦しむ多くの人々を、町ぐるみで積極的に受け入れ、現代の湯治場として多くの人々を癒してきました。
センターの2階には「豊富温泉コンシェルジュ・デスク」という温泉総合案内所があり、湯治についての相談もできます。

さて、しっかり温まったら、お昼ご飯。
町の中心地にある、以前は電気屋だったというシブい建物。
「丸勝亭」にやってきました。
町内はもちろん、各地からお客さんが訪れるトンカツ好きの聖地なんですって。お昼だけ営業する食堂です。

厨房でてきぱきと働いているのは寺田勝広さんと富子さん夫妻。
だいぶ混んできましたけど二人だけだと大変そうですね。と声をかけると「2人で3人分働いてがんばるんだよ」と勝広さん。二人で一生懸命働いた後は、夕食の晩酌が楽しみなんですって!

勝広さんが準備しているトンカツ。なんて大きいんでしょう。
「300gはあるかな。最初はもう少し小さかったんだけど、どのぐらいの大きさかと聞かれたときに、うっかり300gって言っちゃったんだよ。それ以来この大きさだよ」
と笑ってます。
うっかりと言いつつも、これは大サービスですよね。
長年この町で飲食店を続けてきた寺田さん夫妻。1993年にこの店舗に移ってきて24年たつそうですが、ずっと道産の生肉しか使っていないそうです。塊肉を1本仕入れ、毎日使う分だけ手切りしているのでとってもジューシーに仕上がるのです。

大きな鍋でじっくり8分ほどかけて揚げます。
フライヤーとかではなく、鍋っていうのがまたいいな。
最大でもあげられるのは4人前までだそうです。

ザクザクと切ったトンカツでお鍋はぎゅうぎゅう。タマネギと手作りの割り下で煮込み、卵とじにしますが、ぐつぐつと煮える姿がたまりません。

ほどよく卵が固まったら、富子さんにバトンタッチしてごはんに載せます。

どんぶりからはみ出すお肉が豪快!
ステーキ並みの大きなお肉なのに、これで「カツ丼」1,050円。

東京から仕事で来ているという皆さん。
「大きなカツ丼だって、地元の方にウワサを聞いてやってきました」
写真を撮らずにはいられないですよねー。

名寄で宿を営むご夫婦、温泉帰りにこの店にやってきたそうです。
フタがしまらず帽子のように載っているカツに目が釘付け。

旦那さんは2009年に、ドラマ「坂の上の雲」の撮影にエキストラ出演で豊富に滞在したときにはまったそう。
話には聞いていた奥さん、ようやく食べに来られたんですって。

「ウワサ通りの、笑っちゃうぐらいの大きさでした!」

こちらはよくランチに来るという二人連れ。
初めてという職場の後輩を連れてきたそう。「大満足です」とこの笑顔。

そうそう、この巨大トンカツのカツカレーも、働く男性たちに大人気なんだそうです!

う~ん、お肉はとても軟らかで至福のひと口。
それにしても、一切れがこんなに大きくて箸が震えるほど重いとは…初めての経験です。
衣は薄めで、甘すぎないタレがほどよいので思いのほかパクパク食べられちゃう。

食堂のメニューはほかにカレーや丼もの、ラーメンやうどんもあります。
「丸勝ラーメン」というのは、実は勝広さんが間違えてすでに醤油のスープを入れたどんぶりに味噌のスープを入れてしまい、試しに食べたら案外おいしかったという…
珍しい醤油と味噌のミックスラーメンもぜひお試しあれ。

そばもありますよ。旭川と深川のそば粉をブレンドした手打ちの十割そばです。

そばを打つのは、なんと富子さん。「今は打つのはなかなかの重労働なので1日に作れる数は限られていますけどね。青森出身の母が代々母親から受け継いできた手打ちそばを教えてもらいました。つゆもそうですよ」

「かしわそば」670円。鶏肉がたくさん入ってます。そばも一人前で200gも入るので、かなりのボリューム。おいしいつゆは玉ねぎや昆布のだしがたっぷり入ってまろやかです。

そばもおすすめです!

それにしても富子さんの後ろのダルマ、存在感ありますよね。地元の方が作ったもので、この店ができて間もない頃にプレゼントされたそうです。
お店のちょっと昭和な雰囲気にも心和みました。
今度は湯治と合わせてまた来たいな。

丸勝亭
天塩郡豊富町大通り4
電話 0162-82-1074
営業時間 11:00~15:00
定休日 不定休、12月31日~1月5日

豊富町営温泉入浴施設 ふれあいセンター
電話 0162-82-1777
営業時間 8:30~21:00(最終受付20:30)
定休日 元日、整備日(詳細はHPをご覧ください)
http://toyotomi-onsen.com/hotspring

3軒目 天塩「てしお温泉 夕映」

まるで湖かと思うほど、広々と雄大な天塩川。
日本で4番目に長い、最北の大河です。
ゆったりとした流れを見つめていると、時を忘れてしまいそう。

長い長い川の旅もこの町で終わりを迎えます。
天塩川が日本海へと注ぐ、河口のある天塩町に来ました。

河口近くの港と鏡沼の前に、ロケーションバツグンの公共の湯「てしお温泉 夕映」がありました。
昼間の眺めもきれいですが、その名前の通り、夕ぐれ時の眺めも最高なのですよ。

この施設の前身は1984年に落成した「林業研修センター」で、当時は温泉がありませんでした。その後住民の強い要望もあり、1999年に掘削し温泉を掘り当てることに成功。
「てしお温泉 夕映」は2000年にオープン。
住民のオアシスとして愛される温泉は、今年で18年目を迎えました。
現在隣接する宿泊施設もリニューアル工事中で、春には新しい姿をお披露目する予定です。

まだ少し早い時間ですが、入ってみようと思っていたら…
「日本一週」の旅の途中の青年もやってきました。
昨年の夏から北海道をまわっているという学生さんだそうです。
以前にこの施設に来たことがあるんですって。
「懐かしかったので今日はここによりました、ゆっくりさせてもらいます」
そっか~。じゃあまた館内で会いそうですね。

売店や受付があるロビーは広々。副支配人の太田圭祐さんたちが迎えてくれました。温泉の大浴場は2階に上がって行くそうで、エレベーターもあるバリアフリーなんですよ。

1階にはレストランもあり、眺めの良い無料休憩所もあります。
お茶やお水が用意され、マンガもたくさん。
お風呂あがりに、ついつい長居してしまいそうです。

内湯からは鏡沼が眺められます。
気泡湯がある洋風浴場と露天風呂がある和風浴場の2種類があり、日替わりで男女が入れ替わります。ほかに家族風呂やサウナもありますよ。
お湯は循環ろ過のかけ流しなのですがとても濃い色。温泉の表面が虹色に輝いていますよ。
日によって状態は変わりますが、油が浮いている珍しい温泉です。

番茶のような色、そして独特の香り。なんだっけなぁ…この香り。
夏の虫刺されの時にぬるツーンとしたあの香りに油が混じったような匂いがします。
ちょっと目にしみるほど。
この温泉はナトリウム-塩化物強温泉。ぽかぽかと温まる塩分の濃い泉質ですが、国内では珍しいアンモニアを多く含む湯。それにメタケイ酸も多く肌がつるつるになる美肌の湯です。炭酸水素イオンも豊富で、美肌効果やマッサージ効果も期待できるのです。これはじっくりと湯を楽しみたくなりますね。

夕方、ロビーは地元の人でにぎわってきました。
今日はお天気なのでお目当てがあります。

どうです、施設の名前の通り、見事な夕映を眺められるのです。

実は撮影日の露天風呂からの眺めは見事でした。
日本海と水平線に青く浮かぶ利尻富士のシルエットがとても美しかったのですが、現在は冬季閉鎖中。5月から露天は再開しますので、しばし、この画像のみで絶景をお楽しみください!

ふ~、面白くていいお湯でした。眺めも最高。
天塩で1970年から作っている「マスカットサイダー」でちょっと一服。
そろそろレストランに行こうかな。

天塩名物、天塩川で捕れる自然繁殖のシジミは高級品。
この貴重な緑がかった色がきれいな「青シジミ」を使った料理をレストランで食べられるのです。

岩木料理長が作っていたのは、この日地元の人から予約が入ったお弁当。おいしいととても評判なんですよ。
もちろんシジミ料理も監修していますよ。

作っているのは「夕映特製しじみラーメン」1,100円。

惜しげもなく入ったシジミのエキスがとっても濃い。
しっかりとシジミの味わいが楽しめるスープがたまりません。

焼きホタテやお刺身、日替わりの一品料理がセットになった夜限定の「天塩川定食」1,350円もおすすめです。もちろん、シジミ汁がついています。

昼間はかなり混雑するレストランですが、夜はゆったりくつろげる雰囲気です。
地元のご夫婦は入浴前にお食事中。二人でよく温泉に入りに来るそうです。
奥さんのリウマチの痛みをかなり和らげてくれたそうですよ。

あ、日本一周の青年。懐かしの思い出の地で、たまには贅沢もいいよね。
「しじみパスタおいしいですね」

帰りは売店をチェック。酪農も盛んなので、チーズやミルクドリンク、それにここで生まれて全国的に知られる「てしお Chu Chu プリン」などの乳製品、おみやげにしようかな。

シジミモチーフの地元のゆるキャラもかわいい!

温泉よかったな…またゆっくりと湯につかりにきたいな。
今度は春の利尻富士を眺めにきます。

てしお温泉 夕映
天塩郡天塩町サラキシ5807
電話 01632-2-3111
営業時間 9:00~22:00(土日祝10:00~・最終入場21:00)
入浴料/大人500円、小学生250円、小学生未満無料
休館日 4月、11月に点検のため各2日間臨時休業あり
※11月~4月30日までの冬季期間は露天風呂利用不可

レストラン営業時間
11:30~15:00、17:30~20:00(L.O.19:30)
土日祝は11:00~15:00、17:00~20:00(L.O.19:30)

4軒目 留萌「大判焼」

「眺めがいいですよ」と、地元の人に教えてもらってやってきた千望台。
今日は留萌にやってきました。

お天気が良ければ北の水平線には天売島・焼尻島、条件がいいと利尻島のシルエットが浮かぶときもあるそうですが、本日は残念ながら曇り。 けれど港を中心に広がる市街地を一望できていい眺め。

これから行くところは駅のそば。駅に寄ってみると、なんと大きな木彫りの数の子。そして、まちのキャラクター、KAZUMO(かずも)ちゃんもいました。
かつてニシンの千石場所として栄えた留萌市は現在「塩数の子」の生産量日本一なんですよ。

さて、向かったのは駅から徒歩3分ほどの「大判焼」。ラーメンなどの食事もできるので、隣にあるバスターミナルでバスを待つ人も寄っていきます。

店を営むのは三代目店主にあたる坂本淳一さんと父・賢治さん、母のチヨ子さんです。
賢治さん85歳、チヨ子さん80歳と聞いて驚いてしまうけど、ふたりともとっても若々しく働いているんです。

お父さんが大きなハサミでチョキチョキとカットしているのは、この店の名物。
いやいや…留萌名物といっても過言ではありません。
年季は入っているけれど、磨かれた焼き台には何やら「豚まん焼」の文字が!?

独特の型に次々と投入しているのは、挽き肉とタマネギのほんのりスパイシーな香りのあんです。

焼きあがったのは「豚(ぶた)ちゃん焼」1個130円。留萌で愛され40年以上。ソウルフードと呼ぶ人もいるんですよ。
カレー風味の独特の味わいの具がたっぷりと入っています。
焼き上がりは4体ずつくっついていますが、お父さんがきれいにハサミでカットして切り離しています。

なるほど…確かに豚まんの具みたいでしたものね。
「以前、東京からやってきたお客さんが、似たようなものが昔から売っていたとおっしゃってました。うちは両親が先代からこの店を譲りうけ、しかも先代は当時すでに高齢で、引き継いだ後にルーツは聞けないままで亡くなってしまったんですよね。だからよくわからないんです」と淳一さん。もしかしたら以前の経営者の前から留萌で販売していたのかもしれないそう。
中の具のレシピも受け継ぎながら「父が当時よく豚ちゃん焼を食べてくれていた学生さんたちに試食してもらい、味を近づけました」

そんな、ちょっとミステリアスな豚ちゃん焼なのです。

「東京の機械のメーカーももうなくなっちゃってね。部品もないのよ」
豚の模様もだいぶ薄くなってきたそうです。
この独特の形がいい味出しているので、何とか長く焼き続けてほしいですよね!

そんな豚ちゃん焼の横で、お母さんが焼いているのが「大判焼」
甘さ控えめのあんで、しっとり軟らかな生地によく合います。
もう1種類、クリームもあります。

「たい焼」もあるんですよ。このたい焼も何だかいい顔してますよね。
どれも130円です。

ほかにうどんや牛丼、ラーメンなどもあります。
お母さんが作るカレーも人気なのですが、ただいまお休み中なのだそう。

食事を作っているのはお父さんです。ラーメンのスープは、トンコツや鶏、昆布、ニンジンや玉ねぎなどの野菜をたっぷりと入れて、アクを取りながらコトコトと4時間以上煮込みます。

あっさりとした醤油のスープに地元のコシのある中太麵。これはおいしい!
昔風のちょっと懐かしい味わいがいい味です。

こちらの常連さん、石狩のお孫さんに、豚ちゃん焼を買いにきたところですが「俺もラーメン!ここの味が大好きなんだよね」と、ちょっとお母さんとおしゃべりしながら一杯。

それにしても、この日は日曜日とはいえ、お客さんは途切れることなくやってきます。

さて、この豚ちゃんたちは、どこに行くのかな?
留萌を懐かしむ人のもとに行くのかもしれませんね。
帰省時に自宅でストックするために大量買いする人もいるそうです。

豚ちゃん焼よフォーエバー。

いつまでも留萌の人々のおやつとして、続いてくれますように。
また、寄りますね。

大判焼
留萌市栄町1丁目4番3号
電話 0164-42-5944
営業時間 9:00~19:00
定休日 火曜、12月31日~1月3日

5軒目 増毛「Cafe 海猿舎」

江戸時代に漁場が開かれて以来、増毛は漁業を中心に栄えた、道北で一番歴史あるまちです。
増毛駅前通りには、最北の酒蔵「国稀酒造」をはじめ明治から昭和初期にかけての建物が多く残っています。

まるでタイムトリップをしたような気分になれる、歴史的な街並みを歩いて楽しむことができます。

そんな歴史的建造物の中でも1932年に建てられた老舗旅館を、平戸一休さんと純子さん夫妻自分たちの手で改修し宿「ぼちぼちいこか増毛館」として営み、18年が経つそう。
趣ある建物の横、ちょこんと寄り添うように「Cafe 海猿舎(うみざるや)」がありました。

板ぶきのウッドシェイクの外壁に、懐かしいライト。そして何よりもこの“海猿舎”のロゴがいいですよね。猿の字にはスルッとしたお猿さんのしっぽかな?
思わず扉に手をかけたくなります。

そっとカフェにお邪魔してみると、中でくつろいでいるのは、地元の常連さんと宿主の一休さん。
「海猿舎」は宿のカフェ部門です。カウンター中心の9席だけの小さな空間ですが、店主の純子さんの思いがつまったすてきな空間です。

純子さんがここにカフェを開いたのは2005年。三人のお子さんを育てつつ、無理せずこれまで続けてきました。ドリンク中心ですが、イチゴや洋ナシをはじめ、地元の旬の果物をふんだんに使ったスムージー、自家製ジンジャーエールなど、凝ったものが多いのです。

店の顔である2種類のブレンドも、もともと好きだったという滝川の「高田珈琲店」が作ったオリジナル。

丁寧にネルドリップで一杯ずつ淹れてくれます。

う~んいい香り。
深煎りでほろ苦い「ぼちぼちブレンド」と、浅煎りですっきりとした「海猿舎ブレンド」があります。
どちらも400円です。
カフェオレもありますよ。

実は使っている水が特別です。歩いて5分のところにある「国稀酒造」の仕込み水を汲んで、コーヒーを淹れているんですよ。
暑寒別岳連峰のおいしい水で、増毛だけの特別なコーヒーが味わえます。

地元のパン屋さん「スカンピン」がカフェのオリジナルにと焼いてくれている、「チョコレートとくるみのパウンドケーキ」
アイスクリームも添えてコーヒーとセットで750円。

素朴な小鹿田焼のお皿にはえる濃厚なチョコレートケーキはコーヒーにぴったり。
おいしいコーヒーとケーキで、まったりとした気分になります。

紺と白のカップは旭川の大雪窯のものだそう。
白いシュガーポットは江別のやきもの市で出会い、一目惚れして以来ファンだという作家さんの作品。

器が大好きな純子さんに、コーヒーを飲みながらいろいろお気に入りを見せてもらうのも楽しいですよ。

ふわふわに泡立った「ココア」も冬の人気メニュー。
地元の奥さまたちに評判なんですって。
カフェオレカップでたっぷりといただけます。

ふとひし形の窓を見てみると…あれは木のイカかな?

ほわんと見ているだけで力が抜ける焼き物はイヌかな?
店にあるもの、ひとつひとつにほっとしたりニヤリとしたり。
小物からも目がはなせないなぁ。

さて、とてもフランクであたたかい雰囲気の宿主、一休さん。
プロの手を借りつつ、ほとんど自分たちでリノベーションしたという、お隣りの築80年以上の宿。どんどん興味がわいてくるので、見せてもらうことにしました。

深い色に歴史を感じる立派な木造の階段。結構急だなぁ!
でも登りたくなります。

2階から見るとこんな作りになっているんですよ。

「もう亡くなってしまったけど、知り合いの看板屋さんが書いてくれた、日本海の夕日です」と2階の共用スペースの壁画が見事でした。古道具の机も味があって、ここでゆっくり過ごしてみたくなります。

部屋は個室とドミトリーがあり、とてもリーズナブル。
この雰囲気と一休さん夫妻の人柄に引かれて、繰り返し増毛を訪れるお客さんも多いそう。

カフェで一緒だった女性は、ふたりがいるから…と増毛に移住してきたとはなしてくれました。

たとえ旅人でも、この二人を介して地元の人と楽しいひとときを過ごすことができます。

増毛、いいところですねー。
「増毛は海のものも山のものもおいしくて、この町だけで独立してもOKなぐらい食べ物おいしいよ~」と一休さん。

今度はひとりで増毛を旅してみようかな!

Cafe 海猿舎
増毛町弁天町1丁目21-1
電話 0164-53-1176(宿と同じ)
営業時間 11:00~17:00(変動あり)
定休日 木曜、年末年始、不定休もあり

ぼちぼちいこか増毛館
http://www10.plala.or.jp/botiboti

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