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我が町のぬくもりステーション vol.1

我が町のぬくもりステーション vol.1「道南~渡島・檜山地方」

こちらに掲載されている記事の、ポイント獲得・抽選応募期限は終了しております。

明日の活力を充電 ―我が町のぬくもりステーション―

地域の人たちに愛されている洋食店、帰省のたびに訪れたくなる食堂…そう、そこは、町の住民たちの憩いの場。明日への活力を充電できる、町の人たちのオアシスともいえる店。その町の「元気の象徴」である店を、月刊誌HO取材陣が、毎月各地域の市町村を訪ねご紹介します。


第一回目は道南。
渡島・檜山地方です。


1軒目 森町「ケルン」

森町にある「レストラン ケルン」は今年で店を開いて34年。地域の人たちに愛されているボリュームあるハンバーグや黒毛和牛のステーキが看板メニューの洋食店です。

「おまたせしましたね~」とやってきた店主の久保田一佳さん。 あ、イラストにそっくりです。

人気店の店主さんと聞いて、ちょっとドキドキしていましたが、スタッフのみなさんも、忙しい中、とても温かく迎えてくださり、ほっとしました。
今日はおじゃまします。

早速、久保田さんが始めたのは、ヒレ肉の処理。ステーキにするためにスジや脂を取り除き、きれいにしているのだそう。このお店で使用するのは全て道産牛。ステーキは黒毛和牛のみ。この日のお肉も珍しい、「とうや湖和牛」です。

久保田さんは地元の酪農農家の出身。高校を卒業後に関東の鉄工会社に勤めていたのですが、そのとき出合った郷土料理の店で料理に目覚め、札幌の調理師専門学校に入り直したそうです。

卒業後も朝は老舗の肉屋で配達、昼は地下街のお好み焼き屋、夜はススキノの割烹と3店掛け持ちで働いたそうです。
「そのときの肉屋の主人が、料理人になりたいなら配達ばかりじゃなくて、解体もするか?と言ってくれた。それがこのステーキやハンバーグの店の原点と言えますね」

さて、お肉はどんどん、ステーキらしくなってきました。処理したスジも余すことなく、ダシなどに使用されます。

「なるべくは地元大沼のものを出したいのだけど、数が少ないからね。地元の人が手をかけて育てているいい肉です。脂を手にとると溶けるほど。口溶けのいい脂がおいしいですよ」その他、近隣や道南のものをなるべく使用して、それもない時は道産の和牛を使用するそうです。
久保田さんのお兄さんは、絞りたての牛乳を使っておいしいチーズやアイスクリームを作っています。店で出すハンバーグに合わせるモッツァレラチーズもお兄さんの久保田牧場のものです。店で販売もしてますよ。

お店の入り口の手書きの看板には、店でどんなものを使用しているか、とても事細かに書かれています。できるだけ地元や近隣のものを使用することで、安心して食べられるものだけを提供しているのです。
奥さんが仕込みをしていた、付け合わせのおいしそうなジャガイモも地元のものです。
さて、いよいよ開店時間。

あっという間にお客さんがやってきて、すでに満席です。

道産牛と黒毛和牛の脂を使用した、ケルンの味を代表する、自慢のハンバーグ。鼻をくすぐる芳ばしい香りとぎっしりお肉のボリューム感がたまらないのです。

我々もいただきました!
特注のデミグラスソースたっぷり、衣をつけたランチ限定のハンバーグカツレツは950円。ドリンク付き。

ハンバーグとヒレステーキのセットは3,900円。
じっくりと熟成されたヒレ肉はとろけるよう。こんなにやわらかなお肉、初めてです。
あ~幸せ。
地元の人が、何度も来たくなる気持ち。よーくわかりました。

ケルン
茅部郡森町赤井川106−5
電話 01374-5-2628
営業時間 11:30~18:00 土・日曜・祝日~20:00

2軒目 北斗市「焼肉・ホルモン 丸亀」

函館のお隣。北斗市で地元の人が通い詰める、焼肉とホルモンのお店があると聞いて、出かけてみました。
大野新通沿いに看板が出ていますが、矢印の先は住宅街のまっただ中。ごく普通の住宅と住宅の間にポツンとお店の明かりが灯っていました。
こんなところにお店があるなんて、さすが地元住民行き付けの店!

この店は七重浜で昭和39年に創業。半世紀も地元で愛されている店です。店主の清田茂人さんのおばあさんが店を始め清田さんは3代目。現在、清田さんと母のときみさんとで店を切り盛りしています。

見てください。このふわふわと雪のように白くてきれいな丸亀名物のホルモン。道南産の豚100%の生ホルモンです。これでもか!というほど丁寧に洗い、臭みは一切ありません。

「まずは洗濯機で2度洗い。その後脂や膜、ゴミを一つ一つ手作業で時間をかけて水洗いしています。少しでも手を抜くと臭みが残り食感も悪くなる。このきれいなホルモンには絶対的な自信があります。何しろ熟練の従業員が、とても丁寧に作業してくれていますので」

ホルモンはガツ、大腸、コブクロと3種類のミックス。
この店に来たら、まずはホルモン。となるのもあたりまえですね。
なんと1週間で130kgも出るそうです!
ホルモンは1人前390円なり。手間暇かけてこの値段。安いですよね。

さて、時刻は午後6時半。どんどんお客さんがやってきます。この日は平日、木曜日なのにもう満席です。

我々取材班もいただきました!
この特製のたれがまた格別。
青森産のニンニクなど20種ほどの材料を合わせた、清田さんのおばあさんとお母さんが作り上げた秘伝のたれ。醤油の香りとともに、どこかフルーティーでさっぱりとした味わいです。添えられた辛味噌をちょいちょいとつけると、またたまりません!

こんなお肉も名物です。

肉好きにはたまらない、カルビ3人前はある「はみだせ!!丸亀ステーキ」2,380円。
この日は北斗の「おぐに和牛」のリブロース。

一度食べたら忘れられないと、各地からお取り寄せの注文が来るのがわかります。
いさりび鉄道の七重浜駅からなら徒歩3分。車を置いて出掛けるのもありですな。

焼肉・ホルモン 丸亀
北海道北斗市七重浜3-15-30
電話 0138-49-2718
営業時間 16:30~23:00
定休日 月曜
※地方発送あり

3軒目 厚沢部町「お食事処 前井食堂」

車を走らせていると、あちらこちらで見かける道南杉の木立。
厚沢部町は杉の人口造林の北限の町。杉のある風景を見ていると、まるで北海道を離れて旅に来ているような気分になります。
国道277号線沿いにあるのが、黄色い暖簾はためく前井食堂。
創業は明治30年。なんと、平成29年の今年でちょうど120年目を迎えるそうです。

現在店を切り盛りするのは、5代目の店主 前井敏弘さんと妻のみきさん。「初代店主は、母にとっては曾祖母で、その頃から今も自家製麺です。大変ですけどね(笑)今もうどんはもちろん、そばとラーメンも自家製麺にしています」とにこやかに話す前井さんは、子どもの頃から父を手伝い、製麺を覚えたそう。

この日は土曜日の昼、あっという間に席はうまってしまいました。麺の他にもカツ丼にカレーライス、チャーハン、何でもあってメニューが豊富。まさに町の食堂です。

 

この日来店していた旭川から帰省中のお孫さん連れの娘さんと、久々の水入らずという奥さんは味噌ラーメン。地元の野菜やニンニクたっぷりで仕上げたスープがたまらないのです。
そして娘さんとお孫さんがおいしそうに食べるのは、40年続く名物の黄色いカレー。札幌など遠くからこれを目当てに来る人も多いのだそう。

この黄色いカレーのレトルトは店や道の駅などで販売しており、おみやげとして大人気。

さて、私はそば定食をいただきます。
このたまらないダシの香り。厚沢部のおいしい水におしげもなくカツオ節を使い、3種類の醤油をブレンドした伝統の味です。「なると」もいい感じ。魚のフライに季節によっては山菜の小鉢もついて、とても満足できます。

老いも若きも厚沢部に帰省する人たちに「何食べたい?」と聞くと「前井食堂に行きたい」と答えるのがあたりまえ。
この食堂の味が大好きというみなさんのためにも、どうぞ前井さん、みきさん。これからものんびりとでいいのでお店を続けてくださいね。

お食事処 前井食堂
檜山郡厚沢部町本町45−7
電話 0139-64-3053
営業時間 11:00~15:00、17:00~19:30
※毎週木曜日はお昼のみの営業となります。
定休日 日曜日

4軒目 乙部町「キッチンcafe のどか」

乙部岳の懐に抱かれた乙部町は、豊かな自然に包まれ山の幸も日本海の海の幸も自慢です。それに源泉かけ流しの名湯もありますよ。 そんな町の中心部で見つけた隠れ家風の一軒家がキッチンcafeのどかです。

靴を脱いで中へ入ると、迎えてくれたのは店主の門野明美さんと相棒の田村純子さんです。
とっても元気でこちらまで明るい気持ちにしてくれる、笑顔がすてきなふたりです。
このカフェは土木事務所だったところを、門野さんの大工のご主人が事務所として使い、その後お店に改装したそう。

「サークルや会合などで集まる場所もないし、何か作ってよという声に押されて始めてもう8年経ちました。最初はコーヒーとケーキだけにしようと思っていたのに、だんだん自分達が食べたいものを作っていたらメニューが増えちゃって」
こちらは今では食事メニューが充実している、女性にも男性にも人気のお店なんです。

お昼ちょっと前、早速やって来たのは、家族のバースデイケーキを取りに来た地元の人。
「シフォンケーキをデコレーションしたものなんですよ」と門野さん。
お店で人気は乙部の黒豆、黒千石のきな粉が風味豊かなシフォンケーキです。

手作りの山ブドウやイチゴのジャム、そしてハチミツをそえることも。

すっきりとした甘さのトチとアカシヤのハチミツは、お店でも販売していて評判だそう。
「店には町外の方もたくさん来てくれるので、そんなお客さんには味見用にこれを出すのよ」

なんと、ハチの巣です。とろりとハチミツで潤んでいておいしいそう。
でも「巣の部分はガムのように口に残るので出してね」…とのことです!残念ながら全部は食べられませんでした。

さて、お昼の準備です。
近所の建築現場の方や役場の若い男性たちもやってきてキッチンも忙しくなってきました。ランチはうれしいフリードリンク。人気はパスタやとろとろ卵のオムライス、牛肉とタマネギをじっくり煮込んだカレーや、大きなモモ肉を丸ごと1枚揚げる唐揚げのプレートなど。なかでも名物はウニとシーフードたっぷりのパスタ。

うわ~っ、すんごい量のウニを入れてますよ。なんとも贅沢ですね!
「ふふふ、カフェの向かいがウニの加工場なんですよ。ちょっと形が崩れたものなどを特別に分けてもらっているんです。お向かいさんのおかげで、地物が採れない時期でも道内各地からおいしいウニが集まってきているので、1年中このパスタが出せるんです」

ジャ~ン!!どうです、この太っ腹な「海の仲間うにクリームパスタ」これで1,200円とは驚きです。

開店以来ずっと継ぎ足している自家製デミグラスソースがたまらない、卵3個のとろとろ卵のオムライスもこれで850円。

食後にはコーヒーもどうぞ!
奥には個室も2つあるので、お子さん連れのママさんやファミリーも周りを気にせず過ごせます。

ちなみに…のどかって。
あぁ、「かどの」さんの逆でしたか!

キッチンcafe のどか
爾志郡乙部町館浦499
電話 0139-62-2510
営業時間 11:30~14:00、17:30~22:00
日曜・祝日は21:00まで
定休日 水曜

5軒目 江差町「そば蔵 やまげん」

かつて、「江差の5月は江戸にもない」と謳われるほど、春のニシン漁で賑わいを見せた江差の町。
なんと今年、104年ぶりに群来(くき)が訪れたと、町の人々の間でも話題となっていました。群来とはニシンの群れが海岸に押し寄せ、産卵で海が白濁する現象。
そんな江差町は江戸時代から明治時代にかけ、ニシン場や交易の場として繁栄を築いた町です。

立ち並ぶ旧家や蔵など、町の貴重な歴史や文化を感じられる、約1.1㎞の「いにしえ街道」

その通り沿いにあるのが、地元の人も大好きな手打ち蕎麦屋「やまげん」
お昼ともなると客足が途切れない店です。
地元のそばを朝から挽いて、打ちたてを食べられる、まさに挽きたて・打ちたて・ゆでたての三たての店なのです。

朝一番に、早速おじゃましました。
迎えてくれたのは紺谷元章さんとにこやかな妻の恵子さん。2人のあたたかな雰囲気もこの店の魅力です。
店は、かつて紺谷さんが営んでいた靴屋の倉庫で、明治後期に建てられた蔵を改装した趣きある建物です。

朝一番の作業は玄蕎麦を選別して磨き、脱皮すること。そばの香りを生かすために、1日に使う分だけを脱皮し石臼で挽いているのだそう。
使うのは江差産のみ。
「目の届く材料を使いたくて、近所でそばをやってくれる農家さんを探していたら、7年前から鯎川(うぐいかわ)地区の農家さんが一緒にやってくれて。倉庫で温度管理もしてくれるので、そばもいい状態でうれしいですね」

これが玄蕎麦を脱穀した状態のぬき実。
このぬき実を少量ずつ石臼の製粉機に入れ、ゆっくりきめ細かく挽くので、粉ができるのは1時間にわずか2㎏ほど。さらに手作業で粉を何度かふるいにかけるという、とても手のかかる作業に驚きます。

季節や湿度によっても挽き具合を調整し、風味を出す甘皮のブレンドの割合も変えるそう。
甘皮は入れすぎると粘りが出て食感が悪くなるので、ブレンド具合いの見極めが肝心なのだそうです。
ぎゅっと握って、ほどよく固まるのがきめ細かく良い粉。この粉で紺谷さんが打つのは、そば粉10に対して小麦2という割合の、いわゆる外二そば。

「温かいそばは太く、冷たいそばは細く切るので、天気で量を調節します。今日は肌寒いから温かい方が多いかな」…なんて考えながら、営業中にも何度か打つ作業を行うそうです。

「こんな風にやっているから、1日にできる数は限られています。正直もうかりません(笑)」。本当に大変!

私たち取材班が再び訪れたのは午後1時頃。お昼のピークは過ぎたはずですが、客足は絶えません。

そして…名物のにしんそば930円です。2日間かけてふっくらと炊き上げ、ほろほろと軟らかな甘辛いニシンのコクと、あっさりとしたそばつゆがとけあい、徐々に変化していく味わいも魅力。肌寒い春によく合うにしんそば。実は生まれてはじめて口にしたのですが、ニシンゆかりの地で、思わずはまるおいしさです。

それにしても、店の雰囲気がいいですよね。「やまげん」の屋号のタペストリーと家紋の暖簾は紺谷さんのお母さんの手作り。
偶然、お母さんがいらっしゃいました。あらら、そっくり。

お母さんは隣の隣にある古民家の店「遊工房 紺屋」の店主、紺谷捷子さん。手作り雑貨の販売や観光案内もしています。「江差に来る人との交流が何よりも楽しみ」と笑顔がチャーミング。もっと江差のいいところ、教えてもらいたいと思いました。

そば蔵 やまげん
桧山郡江差町字中歌町70-1
電話 0139-52-0357
営業時間 11:00~15:00 ※売り切れ次第終了
定休日 水曜日

6軒目 松前町「温泉旅館矢野/レストラン矢野」

松前といえば、やっぱり桜とお城。
桜にはまだ少し早い時期でしたが、そのお城のすぐそばにある「温泉旅館矢野」を訪ねました。
日暮れとともに、旅館の向こうにお城がライトアップで見事に浮かび上がっています。

本マグロなど松前を代表する食材を使ったおいしい食事と疲れを癒す天然温泉。
心をこめたおもてなしが評判の宿です。

現在、社長業をこなすおかみの工藤冴子さんと地域を盛り上げる活動も行う若おかみ杉本夏子さん、2人のおかみが旅館の顔です。

昭和26年から松前で一番長く続くこの旅館には、ロビーに甲冑など松前藩ゆかりの品々とともにかつて旅館で使用されていた道具も飾られています。キセルの道具入れに、結婚式のお膳や三々九度の盃。
「実は…私もその盃で結婚式を挙げました。うふふふ」と笑うフロントのベテランスタッフさん。そうだったのですね!ここで結婚式を挙げた方もたくさんいるのですね。

この日の厨房では、宿泊のお客さんの食事とともに、地元の人々の宴会のための料理の準備が進められていました。
「観光の方には松前の味を。地元の方には予算や料理のリクエストに応えて、和洋中織り交ぜて喜んでもらえる料理を用意します」と料理長の辻廣裕輝さん。

そんな旅館に併設する「レストラン矢野」
町の人たちが家族はもちろん、遠くから訪れる大切な知人や友人を連れて訪れます。

人気料理は松前産本マグロの御膳や、お正月の定番郷土料理「くじら汁」をアレンジした、「くじら汁ラーメン」
豚骨ベースのごま油が効いた醤油味のスープがおいしくて、また食べたくなります。

そんな郷土料理のイメージが強いレストランですが地元の人の隠れた定番料理があります。

それがこちら、ハンバーグ定食1,100円です!

「昔はこの店は喫茶店でもあったので、その名残でナポリタンやハンバーグなどの洋食も人気があります。ハンバーグは私も子どものころからの大好物!祖母の代からの定番の味です」と笑顔の夏子さん。
運動会や学芸会など、学校行事の後にこのハンバーグを子どもたちのご褒美にと、立ち寄る家族も多いそうです。

さて、この日ロビーでは若女将の杉本夏子さんと北川聖治さんが、宿での桜案内の打ち合わせをしていました。松前の桜について詳しい北川さんは、松前の桜の花守と言われる方です。日本で350種類ある里桜の品種のうち、松前には250種類、1万本もあるそうです。HO 114号「桜ドライブ」でも北川さんの紹介をしていますので、ぜひ本誌も合わせてご覧くださいね。

温泉旅館矢野/レストラン矢野
松前郡松前町福山123
電話 0139-42-2525
レストラン営業時間 11:00~21:00(L.O.20:30)
部屋数 28室
チェックイン15:00/アウト10:00
1泊2食(2人1室)/お1人10,800円~

7軒目 木古内「スーパーサンメイト」

北海道新幹線が開通してから、3月26日で1周年を迎え、北海道の玄関口である木古内町はいさりび鉄道も走る鉄道好きにはたまらない町です。

隣接する道の駅「みそぎの郷きこない」は平日でも多くの人が訪れ賑わっています。
道南の食材を味わえるレストラン「どうなんde’s」やファストフードコーナー、特産品も取り揃えるおみやげコーナーもとても充実しているのです。

そんな大人気の道の駅のセンター長の浅利さんによると…
「地元で作っている、はこだて和牛コロッケが売り上げNO.1です」
おみやげ用の冷凍の他に、飲食コーナーでは揚げたてのアツアツサクサクが食べられます。

道の駅入り口にいた町のキャラクター、木古内駅新幹線観光駅長のキーコくん。このコロッケに使用されている木古内の特産品で、赤毛が特徴の「はこだて和牛」がモチーフなんです。

木古内町は道内でも数か所しかない貴重な褐毛和種、通称「あか牛」の産地。町内の4戸の生産者が、自家産の稲わらや地元産の牧草などを中心に安全な飼料で健康的に肥育しています。生産量は年間220頭程度と希少なお肉ですが、旨みを豊富に含むやわらかで上品な赤身の味わいが特徴です。

このはこだて和牛コロッケを作っているのは、駅から徒歩5分ほどの地元で3代続くスーパーサンメイト。
店主の稗貫達郎さんと妻の美希子さんが営む店です。

「以前は、地元の製品を持ってイベントに参加していたのですが、北海道新幹線の開業にともない、うちでも何か木古内をPRできる製品を作れないかと思って考えました。うちではもともと惣菜や弁当を作っていたので、何か地元の素材を生かしたものを作ってみようと8年前に作ったんです。まさかこんなにみなさんに喜んでもらえるようになるとは想像していなかったです」
今や全道はもちろん、全国の催事やイベントで大人気の製品となりました。

今では観光シーズンともなると、イベントでコロッケを知った各地域のファンが直接店に買いにくることもあるそう。もちろん、地元の人もおかずやおやつにと買って行くそうです。その場でも食べられます。

はこだて和牛の外モモ肉だけを使用したコクのあるコロッケは、塩加減もまろやか。地元の海水をじっくり炊いた「みそぎの塩」を使用しているそうです。
さっそく揚げたてをいただきましたが、たまりません!

「コロッケは地元や北海道の素材を使って新しい種類を開発しています。今年からチーズやヒジキなど全部で5種類になりました」
その新作の中のひとつ、鮭のちゃんちゃんコロッケをいただきました。
さっくり香ばしい衣の中は、まろやかな味噌味ベースのジャガイモ、サケの旨みが効いてます。これまたおいしいですよ!

「うちのコロッケをきっかけに、たくさんの人に、もっと木古内のことを知ってもらえたらいいなと思っています。微力ながら訪ねてくれる人が増えるように、これからもがんばっていきたいですね」

町の活気に一役買っている小さなスーパー。みなさんも、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

スーパーサンメイト
上磯郡木古内町本町229
電話 01392-2-4054
営業時間 8:30~19:00
定休日 不定休

8軒目 鹿部町「太田食堂」

やってきました鹿部町。あ、たらこ!鹿部のたらこ、本当においしいですよね。

訪れた日はまだ、駒ヶ岳に雪がたくさん残っていましたが、
春の鹿部はエビやツブ、ホタテやカレイなどが旬。海の幸が豊かな町です。
それに…温泉も名物ですよね。

決して大型ではないけれど、工夫がいっぱいの道の駅も人気です。ちょっと寄り道。

道の駅で地元食材のセットを購入すると、外にある「温泉蒸し処」で、温泉の蒸気で蒸し料理が楽しめます。この日は寒かったので、蒸気も前が見えなくなるほどすごかった。
我々も挑戦しました。温泉卵ならぬ、温泉蒸卵!? たった8分で半熟卵が完成。ふわふわ食感でおいしくてビックリ。旬の魚介でも蒸し料理が楽しめますので皆さんもぜひ立ち寄ってみてください。

さて、そんな道の駅からもすぐ近く。恵山国道沿いにある太田食堂
鮨政という看板と太田食堂。二つの看板が上がっています。
営むのは太田幸子さんと中華を担当する長男の光将さん、主に和食を担当する次男の応啓さん。

亡くなった幸子さんの夫、仁司さんは寿司職人で、鹿部町初の寿司店の2代目でした。以前は食堂を幸子さん、寿司店を仁司さんが切り盛りし繁盛していましたが、仁司さんを亡くしたとき、今までのお客さんをこれからも大切にしたいと、次男の応啓さんと店を続ける決意をしたそうです。
今でも店の大切な一部として、鮨のカウンターを残しています。

その後地元のホテルで、中華料理の腕を磨いた長男の光将さんも戻り、今は家族3人で店を営んでいます。

隣町からいつも来るという家族は「みんな、ここのあんかけ焼きそばが大好きなんですよ」

長男・光将さんが腕をふるう、具だくさんのあんかけ焼きそばは食堂おすすめのメニュー。
カリッと焼きつけた麺に、エビやホタテ、イカなどたっぷりと海の幸が入っています。まろやかな醤油あんに食欲は止まりません!

天ぷらなど和食を担当する次男の応啓さん。応啓さんが鹿部商工会青年部と共同開発した、たらこを贅沢に使用したメニューも観光客に大人気で、鹿部のアピールに一役買っているのです。

鹿部素材の天ぷらと、たらこの天ぷらをのせた鹿部たらこ天丼は950円。真ん中はレアで、ふわふわプチプチとした食感のたらこ天ぷらが、新感覚のおいしさなんですよ。たらこラーメンも評判の味で、質の高いたらこを贅沢に味わえます。どうぞお試しあれ!

頼もしい太田兄弟。これからも、どうぞお母さんを支えて、おいしい料理で鹿部町を盛り上げてくださいね!

太田食堂
茅部郡鹿部町鹿部76
電話 01372-7-2035
営業時間 11:00~20:00
定休日 火曜

9軒目 七飯町「らーめん屋 まつ笠」

函館から大沼に向かう国道5号線沿いに続く赤松街道は七飯町名物。明治初期、約150年ほど前に、箱館奉行支配頭である栗本瀬兵衛が、故郷の佐渡から取り寄せた赤松の種子を七重官園で育成し、道路沿いの一部に植栽したのがはじまりと言われているそうです。

高速が開通してから、地方からの車はなかなか通ることは無くなりました。
けれど、地元の乗用車が激しく行き交い、なんと交通量の多いこと。
この活気溢れる赤松街道、実は「麺ロード」と言われるラーメン激戦区。
その中心となる人気店が「らーめん屋 まつ笠」。行列のできる店なのです。

私たちが取材に訪れたこの日、土曜日ということもあるせいか…午後3時を過ぎても、まだまだお客さんがひっきりなしに暖簾をくぐって行きます。驚いた!すごい繁盛店だな~。時には11時の開店前から人が並び、早めに店を開けることもあるそうです。

そんなとても忙しい中、私たちを快く迎えてくれたのが店主の白田義治さんです。
本業は一級建築施工管理技士で、店舗設計をはじめ社寺など伝統建築も手掛けてきたそうです。

「私は工務店に勤めるサラリーマンで、今もですが(笑)、この店の中のリフォーム設計をしたことが縁で、先代が辞めると聞いたときに自分でやってみようと引き継ぎました。もう9年目になりますね。食べることが大好きで、関東の寺建築の担当をしているときなど、よくおいしい店を食べ歩いていました。背脂がたっぷり山盛りの、いわゆる家系ラーメンとか。横浜の中華街にもよく行きましたね。そんな経験をお店にも取り入れてみようと思いました」

「ほとんどお客さんは地元の人。ファミリーレストランの感覚で来てくれます。持ち帰りの人も多いので、あんかけ焼きそばやチャーハン、ギョーザなどよく出ます。近所の会社の方たちなど定期的に来てくれますので、何か目新しいメニューも用意して差し上げたいと思っています」

あ、オーダー表。とても細かい書き込みがされていますよ。上の2つの塩チャーシュー麺はモモ肉で、麺はやわらかく。年配の方のオーダーだそう。味の好みも聞いてくれるそうです。それにしても忙しいのに、こんなに細やかなオーダーを喜んで受けてくれるなんてすごいなぁ。

スープはあっさりとした鶏ガラスープと、白濁したこってりトンコツスープの2湯類から選べますが、人気はやはりトンコツスープ。
丁寧に下処理した大量のトンコツを8時間ほど、特殊な焦げ付きにくい鍋で、強火でグラグラ炊き続けるそうです。

白田さんの代になって、トッピングも手作りするようになったそう。鍋一杯のメンマがおいしそう。函館ワインの赤を使って炊いているやわらかな豚バラのチャーシューや塩ダレで煮る半熟煮卵も評判です。

さて、運ばれてきたのは一番人気のこってり味噌ネギラーメン。わぁ~っネギがすごいことになってます!
これで930円ですか。シャキシャキのネギがスープによく合う!なんと1週間で80㎏ほどのネギをあっという間に使ってしまうそうです。ネギの下にはチャーシューや煮卵も隠れてかなりのボリューム。

特注の合わせ味噌がマイルドで、あれれ?思ったよりもスッキリ。ほどよいコクがたまりません。老若男女に幅広く愛されるワケがよくわかります。この味が食べたくて、帰省のたびにやってくる人の気持ちがよくわかります!

ジャ~ン!
そしてもうひとつの人気メニューは、白田さんが店を引き継いでからはじめたあんかけやきそば。これまた驚きの、このボリュームで830円。香ばしく焼きつけた麺は一人前で200gもあるそう。でも女性でもペロリといけるそうです。

うーん、おいしいかった。また来たい。
もう高速で素通りできないな、七飯町。

らーめん屋 まつ笠
亀田郡七飯町大川1丁目49-1
電話 0138-65-0550
営業時間 11:00~22:00(L.O.21:30)
定休日 無し ※年末年始のみ

10軒目 函館市「丸善 瀧澤商店」

函館駅前にそびえたつのは、真新しいビル「キラリス函館」
そのちょうど裏の通り。知る人ぞ知る店があるのです。
ハイ。酒屋さんです。どうして酒屋さんかって?

カウンターには店主の瀧澤博さん。酒屋の中にカウンター!?そうです。こちらはお酒が飲める酒屋さんなのです。瀧澤さんの後ろに並ぶのはおつまみや缶詰など。そう、函館には店先で立ち飲みができる、「角打ち」文化が残っていて、中でもこの店は地元客はもちろん、観光客にも人気の店なのです。開店の午前10時から飲めますよ。

「漁師町の函館には朝から酒屋でお酒を飲む文化あるんです。漁師や船の乗組員、夜の仕事を終えた労働者が朝から一杯飲んでいくのが酒屋の店先だったんです」店が開店した昭和初期から、もうずっとこのスタイルは変わらないのだそう。もちろん、お酒の通常販売もしています。

夜になると、人がギッシリ。裏路地の店で、ひときわ賑わっているじゃないですか。

もう一人カウンターに立つ瀧澤真理子さんは、みんなに「真理ちゃん、真理ちゃん」と呼ばれる、瀧澤商店の3代目の永遠の看板娘。夫の博さんと一緒に店を盛り立てています。

瀧澤商店の最大の特徴は、このメニューの豊富さ。普通なら立ち飲みの店は乾きものが中心ですけれど、ここでは温かいものもたくさんあります。

あつあつの揚げ焼きは、せたなのもので250円。特製の生姜醤油で。
シャキシャキ食感がほどよいニラ玉とじは350円。

卵がびっしり、子持ちキュウリ魚は400円。
立派ですな~。こんな今だけの旬の味にも出合えます。

そしてなんと、締めのラーメンまで。
鶏ガラで取るスープがおいしい味噌ラーメン!これが300円なんてびっくりですね。

みなさん、この店で元気を充電して、また明日からそれぞれがんばるのですね。
さて…閉店の22時。これがみなスパッと気持ちいいほどすぐに帰っていくのです。長っちりじゃありません。

さっき会ったばかりだけど、この店ですっかり打ち解けちゃった近所のママさん。
「大丈夫?宿までちゃんと帰れる?」と優しく声を掛けてくれた。
また函館に来たら、ここで会いたいですね。

丸善 瀧澤商店
函館市若松町19-7
電話 0138-22-3623
営業時間 10:00~22:00
定休日 日曜

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