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我が町のぬくもりステーション vol.11

我が町のぬくもりステーション vol.11「旭川周辺エリア」

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明日の活力を充電 ―我が町のぬくもりステーション―

地域で愛されているカフェ、帰省のたびに訪れたくなる食堂…そう、そこは、住民たちの憩いの場。明日への活力を充電できるオアシスです。笑顔が生まれる、町の「元気の象徴」である店を、月刊誌HO取材陣が、毎月各地域の市町村を訪ねご紹介します。


第11回は、旭川周辺エリアです。


1軒目 旭川「お食事の店 すず」

アパートや一軒家が立ち並ぶ、普段は閑静な新旭川の住宅地。
けれど、お昼や夕食どきには、とてもにぎわう食堂があります。

店の前には車がすでにズラリ。どんどん人が入っていきますよ。
ほかにもう2カ所駐車場があり、最大30台の車を停めることができるそう。

すでに店内はぎっしり。ショーケースにおかずもぎっしり。
安くておいしくて、種類豊富なメニューがそろう1970年から続く「お食事の店 すず」
多い時で1日300人以上が訪れる、地元の人はもちろん、ちょっと足を延ばしてでも行きたくなる食堂です。

2014年にお向かいの古い店から新店に引っ越しただけで、48年この場所にあります。

入り口のカウンターで迎えてくれたのが、2代目店主の鈴木常生さん。

妻の一代さん、長女の亜夢さん、次女の美夢さんと家族4人、店を切り盛りしています。

ちなみに店の隣の1軒家で、娘さんたちの旦那さんやお孫さんと一緒に3世代で暮らす大家族なんです。

キッチンは常に大忙しで、家族のほかに8名の女性のパートさんと、阿吽の呼吸で下ごしらえや料理をこなしています。

長女の亜夢さんがさばいているのは、道産の豚バラ肉。軟らかな角煮や肉じゃがなど、いろいろな料理に使用されます。冷凍物は一切使用せず、生肉のおいしさにこだわります。
ほかにロースや鶏肉など、合計約15kgを毎日下ごしらえするというから驚きます!

一代さんは揚げ物を担当。あら、衣が付いたお肉はなんでしょう。
ずいぶん大きいですよ。

手に持つと、まさにわらじのようなサイズです。

答えはなんと豚肉で作る名物の「メンチカツ」。カリカリの衣に箸を入れると、中から肉汁があふれ出します。180gもありますが、あっさりしているので女性でもペロリ。
ごはんとみそ汁、お漬物がついて700円。一番人気のメニューです。

冬限定の創業から続く名物を次女の美夢さんが運んで来ました。

前日から大ナベでトロトロに煮込んだ、大ぶりのダイコンやニンジンなどの根菜、ちぎり豆腐やほろほろのバラ肉がたっぷり入った「豚汁」はどんぶりに入った大で350円。お椀のサイズなら200円。ごはんと合わせれば、これだけで立派なメインのおかず。冬のこのメニューを待ち望む人が多いそうです。

この豚汁は創業者で鈴木さんの母・秀さんの味。
「母が店を出した当時は僕や弟もすでに東京で働いていたころでした。このあたりは小さな町工場が多く、独身男性のひとり暮らしも多かったんですよね。東京でちゃんと食べていなさそうな、息子たちと同じ年代のお客さんたちに、おなか一杯家庭的な味を食べさせてあげたかったそうです」

「もともとは肉屋だった店を改装して、食堂を始めたと電話で聞いたときは驚きました」
木造の家に囲まれた、開店したばかりの1970年のお店の姿です。

それからわずか3年で建て替え、1973年から2014年まで自宅をかねた店が、現在の店の目の前にありました。

「娘二人が店を継ぐ意思を持ってくれていることがわかったので、4年前に新しく店を建て替えました。ちょうど母が92歳で逝ったときでした。実際の建物は見ていませんが、完成したよと報告できたことはよかったです」

「派手さはないけど、家族を思って作るような料理を出し続けていきたいですね」と常生さん。
ショーケースに並ぶ40種類以上ものの家庭的なおかずは「すず」ならでは。常生さん手書きのカラフルなメニューも味がありますよ。

1品料理は50円から高くても400円。
それにごはんとみそ汁のセット200円を合わせれば立派な定食になります。

焼魚や煮魚も常時6種類そろいます。

ほくほくの肉じゃがやじゃがバターも長年続く定番中の定番。

冬だけの手作りのニシン漬けやデザートのプリンもわずか100円で用意しています。
600円もあれば、満腹になれるのです。

そうそう、秀さんがラーメン屋さんに聞いて勉強した本格的な「旭川ラーメン」は今も1杯350円。
豚骨で10時間以上煮込んでスープを取る本格的な味も、ぜひお試しを。

男性客の多い中、家族連れも発見。
「独身のころによく通っていて、今日は久しぶりに家族を連れて来ました。やっぱりいいですね。豚しょうが焼定食、よく食べていたんですよ」

こうやって、かつて店に通っていた人がまた子どもを連れてやって来るんですね。
子どもたちもいつか、新しい家族を連れてやってくる日が来るのかな。

地元の人にとっては、もうひとつの実家の食卓のような食堂なんですね。

お食事の店 すず
旭川市東5条2-3-8
電話 0166-24-0666
営業時間 10:00~15:30、17:00~20:30
定休日 第1・3・5日曜、第2・4日曜の翌月曜(木曜 不定休有)

2軒目 当麻町「ピザハウス ココペリ」

おいしいお米や野菜、真っ黒な「でんすけすいか」の産地として知られる当麻町ですが、最近では移住者も増え「住みたくなるまち」としても注目されています。

今日は信州から移り住んできたご夫婦が、自ら切り開いた場所で長年営んでいる店を訪ねます。

町はずれの、当麻山にある町営スキー場の目の前。
林の中の細い道を上がっていくと…
少し小高い丘の上に、三角屋根の建物が見えてきました。

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「ココペリ」の看板、雪に埋もれそう!

中に入ると、まるで山小屋のような薪ストーブが燃える温かな雰囲気のお店です。

窓の外は、晴れると白く大雪山系が青空に浮かび上がり、とても眺めがいいそうですが、今日は朝から雪。
残念ながら山は見えませんが、ふんわり木々に降り積もる雪景色がきれいです。

店を営むのは樋田守昭さんと妻の久美子さん。
守昭さんは、かつて自転車やバイクで日本各地をまわっていた旅人。当時あまり知られていない当麻町を訪れ、大雪山の眺めを気に入って移住することを決めたそうです。

樋田さん夫妻は木が生い茂る森を友人たちと開墾して、店と自宅を建てました。
2001年に簡素な小屋で店を始め、2年後に現在の店が完成したそうです。
「伐採したカラ松の木も、できるだけ生かしたかったので、テーブルやこの家の内壁に使っているんですよ」と久美子さん。

メニューをはじめ、店内のあちらこちらで見かけるのが店名にもなっているアメリカ・インディアンの豊穣の精霊「ココペリ」
笛を吹くと土地を肥沃にして背中のコブからは幸せの種子をまくといわれています。
木を切ってしまった場所が、もう一度豊かになるように。
人々の出会いがある楽しい場所になるように。
そんな思いが込められた店名でもあるのです。

店の顔的存在のピザはハルユタカをブレンドした道産小麦100%。
生地はじっくり寝かせ、オーダーが入ってから伸ばします。

オーダーが入ったのはトマトやキュウリ、セロリなどのピザ「野菜」918円。
具材を載せたら、ゴーダチーズを全面に覆うように載せます。
トマトの味わいがフレッシュなピザソースはもちろん自家製。
手作りにこだわり、ほかのパスタソースやホワイトソースなどもすべて砂糖や化学調味料などは使用しません。

オーブンで焼き上げるアツアツのピザ。
ちょっと小ぶりに思えるかもしれませんが、もちもちと密度が高い生地がおいしくて食べ応えがあります。

生地をオリーブオイルと塩だけで焼いた「フォカッチャ」も定番の味。

一番人気は「ミックス」918円。
ベーコンやサラミなどを乗せた定番の味。
生地と具材とピザソースのバランスが絶妙です!
「ブラッドオレンジジュース」と一緒にどうぞ。

美瑛からランチにやってきたトマト農家のご家族。
「畑があるのでお出かけは冬だけの楽しみです。前回気に入ってまた来ました」
ハウスでトマトの苗を育てる作業はもう始まっているのですって。
ゆったりとした家族との食事の時間、どうぞ楽しんでくださいね。

守昭さんがパスタマシーンで打っているのは緑鮮やかな、ほうれん草を練り込んだ「ラザニア」

ほかにもイカ墨を練り込んだ「イカ墨パスタ」などパスタのメニューもいろいろあるんですよ。

あ、「ラザニア」を久美子さんが運んで来ました。

クツクツと煮えるまろやかなホワイトソースとトマトソースを重ねた「ラザニア」
たまらないおいしさです。
「子供からお年寄りまで、かしこまらずにいろいろ食べられるイタリアンの食堂のイメージでやってきました」と守昭さん。
当麻町にしっかりと根を張り、開店から17年。
今では町の人がお客さんを連れてきたり帰省の時には立ち寄る、町になくてはならない店になりました。

看板には本場イタリアの食材を使った特別メニューもありますが…
息子さんは、なんと10代から5年、イタリアのクロスカントリーのチームに所属しており、現地のおいしいものの情報を教えてもらって、いろいろ取り入れているそうです。

笑顔が可愛いアルバイトの女の子は、地元のクロスカントリー少年団に所属していた息子さんの後輩なんですって。

ちなみに、ピザはテイクアウトもOK!
「家族の休みの楽しみなんです」と、隣町からいつもピザを買いにくる常連さん。
冬道の帰り、どうぞお気を付けて!

さて、私たちもこちらで教えてもらった、新しく当麻にできたという店にちょっと寄り道して帰ります。

また来ますね!

ちょうど帰りの道沿いにあった、「MOONLOID(ムーンロイド)」は昨年の10月に旭川市内から移転してきたセレクトショップ。

幌加内の製材工場を移築した建物だそうです。
国内外のブランドと組み、北海道らしいオリジナルウェアに力を入れています。

中でも人気は店の中心にディスプレイされている、滋賀県のダウンメーカー「ナンガ」に別注した、スタイリッシュかつ高機能なダウンジャケット「NANGA WHITE LABEL(ナンガ ホワイトレーベル)」
全国からのネット注文が多いそうですが「当麻の景色と気候のなかでこそ、ぜひ手に取って見ていただければ。気軽に寄ってください」と、笑顔のおふたり。
各地からいろいろな方が来てくれるといいですね。

ピザハウス ココペリ
上川郡当麻町中央6区 当麻町スキー場向かい
(※カーナビは「当麻スキー場」で検索してください)
電話 0166-84-5938
営業時間 11:00~15:00、17:00~22:00(L.O.21:00)
定休日 火曜
※夏はテラス席あり

MOONLOID
上川郡当麻町6条東4丁目1-7
電話 0166-58-8008
http://moonloid.jp

3軒目 美瑛「MERLE(メルル)」

ゆるやかな丘陵地帯が雪景色で一層きわだつ、丘のまち美瑛町。
夏は観光客が行き交うパッチワークの丘周辺も、冬はとても静かです。

ほんとうにこの先に店があるのかな?と思ってしまう、畑や牧草地帯のさらに奥。

ありました、ありました。
「MERLE(メルル)」の小さな看板。
木々の奥に佇む木造の小さな建物を見つけました。

ここは古い民家を改装した、カフェ併設の町はずれの小さなお菓子屋さんです。

迎えてくれたのは店主でパティシエの涌嶋佐代子さん。
夫の慎二さんとともに北海道の自然の中で暮らしたいと東京から移住してきました。店を開いて4月で9年目。
涌嶋さんは早くから北海道で店を開くことを決め、お菓子はもちろんコーヒーの焙煎などを勉強しながら、時間をかけ準備したそう。

店を開いたときは、こんなところに…と驚かれたそうですが、今では夏場は混雑する人気店。

店内には季節の焼き菓子やコンフィチュール、紅茶やオーガニック食材などが並んでいます。
お菓子はフランスの伝統菓子が中心。
上富良野の小麦や旭川の牛乳など上川の食材や、涌嶋さん夫妻が育てている無農薬のベリー類や野菜など、できるだけ安心できる食材で作っています。

お菓子のほかに、植物や動物にとても詳しい涌嶋さん。
おしゃべりが楽しいのです。
「今は忙しくてあまり行けない」そうですが、趣味はフライフィッシング。

広々とした敷地は森やきれいな小川があり、東京ドーム半分ほどもあるそう。
500種以上の植物を植えたガーデンもあります。
「リスやイイズナ、野鳥も小さなキクイタダキから立派なフクロウやオジロワシまで。ここは生き物にたくさん出会えるので面白いです」
ちなみに店名「MERLE」はフランス語でクロツグミのこと。

店の奥には15席ほどのカフェスペース。
ここでティータイムを楽しめます。
白壁と木のシンプルな作りは、まるで教会みたい。

アンティークのような味わいのあるテーブルと椅子は、美瑛の家具工房「slope(スロープ)」の作品です。

ケーキは日に寄りますが常時5~8種類ほど。
カフェで食べると、定番の「クラッシック・チーズケーキ」500円にもベリーのソースとキノコの形がかわいいメレンゲなど焼き菓子が添えられます。

季節限定のケーキも楽しみ。今は「マロンとイチジクケーキ」550円があります。
ビスキュイで包んだ、軽い口溶けのムースとクリームブリュレの凝ったケーキです。
マスカットのワインでコンポートした、香り良いイチジクも添えられています。
手間暇惜しまず作られたケーキに目移りしてしまいます。

そういえば…シンプルな店内ですが、梁に飾られた、唯一カラフルなお菓子の型の焼物がアクセントになって、すてきです。

涌嶋さんが好きな鳥がモチーフのリサ・ラーソンの壁掛けも。

ほかにもかわいい雑貨がさりげなく飾られているので探してみてください。

さて、有名なフランスの紅茶メーカー「クスミ」から独立したモンテベロの紅茶も気になりますが、今日は日替わりの自家焙煎のコーヒー、エルサルバドルの「ブルボン」種をお願いしました。

涌嶋さんがコーヒー講座に通い、後にスタッフとして働いたのは、コーノ式コーヒードリッパーやサイフォンなどコーヒー器具の老舗として知られる「珈琲サイフォン株式会社」。社長さんはフライフィッシングの師匠でもあったそうです。

使用するのは、もちろんコーノ式の円錐ドリッパー。
コーヒー好きなら、本場の淹れ方、興味ありますよね。

それがもう、本当に驚くほど丁寧に、一滴一滴静かにお湯を落としコーヒーを抽出します。
漂う香りに期待も高まります。

「メルルセット」1,500円は好みのケーキと焼き菓子2種、飲み物のセット。
焼き菓子の代わりに、冬限定のチョコレート菓子「オランジェット」でもOK。
今回はシンプルな「メルルのプリン」を選びました。
東川の自然卵と、旭川の農場に直接購入に出かける低温殺菌牛乳と生クリームのプレミアムなプリン。驚くほどまろやかなコーヒーと、クリーミーなプリンがよく合います。

和風のおやつもあります。
「黒豆と白玉」700円は定番ですが、軟らかに煮た丹波黒豆は今だけの贅沢なとびきり大きなサイズ。

ほかにも美瑛の小豆を炊いた、あんをサンドする「アンケーキ」も好評なのだそう。

「おばあちゃんと一緒に2世代でいらっしゃる方もいるので、年配の方にも食べやすいものを、と用意しています。北海道の人は親孝行だなぁと、いつも感心しますね。お母さんを連れてドライブがてら来る方、本当に多いです」

ゆっくりと窓の雪景色を眺めながら、おいしいお菓子とコーヒーの香りでとてもくつろげました。
私も今度、ここに母を誘ってみようかな。

気が付けばもう夕暮れの時間。
初めて来たけれど、冬の静かな美瑛が好きになりました。

また来ますね。

MERLE(メルル)
上川郡美瑛町美田第3
電話 0166-92-5317
営業時間 13:00~18:00
土・日曜、祝祭日は11:00~18:00
定休日 火曜、水曜日(祝日は営業)
※土日、祝祭日、混み合う時間帯は電話に出られないことがあります。
※一部お菓子の通販あり。
http://www.merle-de-biei.com

4軒目 東川「ROASTER COASTER(ロ―スターコースター)」

本日やってきたのは大雪山国立公園の麓にある東川町。
1985年に世界的にも珍しい「写真の町」宣言をして、長年「写真写りの良い町づくり」をしてきた町です。

確かに…自然豊かで個性的な人々に出会える東川町はフォトジェニック。
オリジナリティのある町づくりですよね。

1994年から町内で行われている写真甲子園は映画化もされ、2017年に全国公開されています。

そんな東川の町の中心部で、常時写真展を行っているカフェ「ROASTER COASTER(ロースターコースター)」があります。

入り口には写真展の案内があり、窓ガラスに自家焙煎珈琲と描かれています。
かつてはお菓子屋さんだった古い建物を改装したそうです。

外国製の赤い焙煎機の横にいたのが日本語がペラペラのイギリス人店主カールさん。
「東川は、故郷のヨークシャーと気候が似ているから住みやすいですよ。大雪山も近いしね」
カールさん、スノーボードなどアウトドアスポーツも大好きなんですって。

コーヒーはダークローストを中心としたブレンドと、農園ごとのシングルオリジンを含め、常時6種類。
店内やテイクアウトで、挽きたての新鮮なコーヒーを味わえます。もちろん豆も販売しており、100g400円~と手頃でおいしいと評判です。
ブレンドには「大雪」「旭岳」、旭岳の標高「2291」など東川の山にちなんだ名前がついています。

カールさんが、アウトドアで楽しめるようにと作った「ドリップコーヒー」は、挽いた豆1杯分のパック。イラストは300種以上のデザインがあるそうです。
最近はプレゼントや結婚式の引き出物などギフトに大人気。20袋以上からオリジナルのイラストでオーダーできます。カラーも先日新発売しました。

ちなみにこのパックは、「ナショナルジオグラフィック」の2016年旅行写真家コンテストで自然部門1位に輝いた、東川町在住の写真家・井上浩輝さん撮影のキタキツネ。写真集が大ヒットしている「時の人」ですが、有名になる前から、このカフェで作品展を開いているんですよ。

娘さんとカフェラテをテイクアウトにやってきたのも、千葉県から移住してきた写真家でアウトドアガイドの大塚友記憲さん。
旭岳ビジターセンターでガイドとして働きながら、大雪山の自然を撮影しています。カフェの奥の部屋には、朱色に染まる美しいヌタプカウシペ(旭岳)の写真が飾られていますので、ぜひ見てみてね。

薪ストーブの炎が揺らめくカフェスペースでは、コーヒーを味わいながら、ゆっくりと展示された写真を楽しむことができます。

ちなみに日本地図の模様がユニークな店内の壁は東神楽のモルタル造形専門の工房「モルタル工房morzo」によるものです。

コーヒーや食べものはカウンターでオーダーします。
ずらりと並んでいるのはフレンチプレスのサーバー。
こちらのコーヒーはフレンチプレスで提供されます。

少し粗目に挽いた粉をサーバーに入れて、お湯を注いだら砂時計が落ちるまで4~5分待ちます。
時間が来たら取っ手をゆっくり下におろし、粉と分けたら完成です。
ペーパーフィルターだとしみ込んでしまうコーヒーオイルを余すことなく抽出できるので、力強い香りが楽しめます。

コーヒーにぴったりの甘いものもいろいろありますよ。
冬限定の「ホットチョコプディング」650円は、モチっとしたアツアツのスフレタイプで今まで食べたことがないくせになる食感。
毎年楽しみにしているファンが多いのです。

ほかにも大きな「ベルギーワッフル」やカールさんの実家のレシピで作る「スコーン」も好評です。
安全な食材で作っている東川の菓子工房「tekago」の焼き菓子などもそろっています。

ぜひ「プレスコーヒー」390円~と一緒にどうぞ。
コーヒーが飲めない人のためのドリンクも充実しているのでご安心を!

さて、料理上手のカールさんがレシピを作るランチも大人気。
定番の江丹別・伊勢ファームのソーセージのパニーニをはじめ、季節ごとのメニューもあります。
「東川近辺の食材を味わってほしい」と始めた新作もあるのです。

それは東川のおいしいお米を、生から炊き上げる本格リゾット。
「ポルチーニのリゾット」800円。
平日限定でコーヒーとデザートが付いたお得なセット950円もあります。
春になればアスパラなどを入れて、季節ごとのリゾットメニューが登場します。

「ゆっくり長居してほしい」というカールさんの言う通り、カフェはとてもくつろいだ雰囲気です。
町の地域おこし協力隊の野川葵さんが、知り合いの方を連れてお茶に来ていました。
実はこの方もドローン映像撮影のプロカメラマン。

最近ドローンでの自然の撮影に凝っているカールさんと初めて会ったけれど、しばし撮影の話で盛り上がっていました!

ROASTER COASTER
(ロースターコースター)
上川郡東川町西町1丁目1-13
電話 0166-73-7665
営業時間 9:30~17:30(11:30までモーニングメニュー)
営業日 月曜 ※イベントなどで不定休もあり
https://www.facebook.com/roastercoaster.jp
http://taisetsucoffee.com/(通販)

5軒目 鷹栖「Bistro Piece(ビストロピース)」

旭川市と隣接しながらも、豊かな自然に囲まれた鷹栖町は子育てしながら暮らしやすい町です。
町の中心部は住宅地が占め、飲食店の数はあまり多くありません。

そんな鷹栖町に待望の新店ができました。町に10年以上暮らすご夫婦が、地元に開いた評判のお店を訪ねます。

表通りから北野地区の静かな住宅地へ入ると「Bistro Piece(ビストロピース)」がありました。
ひときわ窓の明かりが暖かく心惹かれます。

「ほぼ自分たちでリノベーションしました」と聞いていましたが、想像よりも大きな邸宅。これは大変な作業だったでしょうね。

正面は階段で上がって行きますが、左側にある駐車場側からは車イス用のスロープもありバリアフリーを意識したお店です。

店を営むのは、料理人でちょっとシャイな野原宗平さんと、ほがらかな妻の桜子さん。

町内で数年前から探し始め、ようやく見つけた空き家は、しっかりとした作りでキッチンがとても広く、お店を開くために理想的な物件だったそう。

でも大変なのは決まってから。

店内は重厚な柱や梁と、清潔感のある白壁のコントラストが素敵です。
大きなメニューの看板もおしゃれですね。
「斜めにつけたらカッコいいしお客さんも見やすくていいよね…なんて、軽い気持ちで作りましたが、取り付けに苦労しました。ほかにも壁を張り替えたり塗ったり、バリアフリーのスロープや台を作ったり。5か月以上かかりました。店を設計してくれた方も手伝ってくれて。ありがたかったです」と当時を振り返る宗平さん。

宗平さんは元会社員で、29歳で料理の世界に入りました。
当時すでに結婚してお子さんもいて…桜子さんは反対しなかったのですか?
「昔からとてもおいしい料理を作ってくれて。私から見ても向いていると思っていました。店を開くことが二人の共通の夢になりましたしね。遅く料理の世界に入ったので寝る間も惜しんで修業してくれました」

宗平さんは桜子さんに支えられ旭川のホテルのフレンチレストランで5年間働き、その間、ジュニア野菜ソムリエの資格も取り、食材の勉強にも余念がなかったそう。
料理の技術も北海道全調理部洋食部門 北海道知事賞3位、北海道IHコンクールフランス料理 金賞を受賞するなど腕を磨きました。
ホテルの次に旭川のスペイン料理の店で料理長を務め、計画通り昨年35歳で独立しました。

そんな夢を叶えた二人のお店の料理、楽しみです!

ランチは洋食中心で、季節や日替わりで変わるパスタ2種類。
この日は人気の「エビとホタテのトマトクリームのパスタ」でした。
パンとサラダ付きで各1,100円。
野菜ソムリエのお店らしく、たっぷりのサラダを自家製ドレッシングで。道産小麦のしっとりとしたパンは桜子さん担当。

そして定番の、自家製ポン酢で食べる希少な鷹栖牛を使った「ハンバーグセット」1,300円。
「できる限り地元のおいしい食材を使いたい」と始めたもの。
アツアツの肉汁がじゅわ~っと溢れる、人気の逸品です。

さて、日が暮れてにぎわう店内。
夜の料理は何が出てくるのかな?

この日は「散歩中に見つけて、来てみました」という近所の女性二人組。
もう一組は町内の常連さん。お友達を連れて来てくれました。

オーブンから取り出したのは「魚介のパエリア」
立派だな!
2人前2,680円~です。

スペイン米で炊き上げるパエリアは大好評!
夜はフレンチをベースとしたネオスパニッシュ料理が味わえます。

ちなみに、宗平さんの夜のおすすめは、ぐつぐつとオイルで煮えている「海老のアヒージョ」880円、真っ黒でインパクトのある「イカ墨のパエリア」2,480円~。
「グラスワイン」500円と合わせてぜひ!

自家製の魚介の3種類のブイヨンで炊き上げた、とても旨味の濃いパエリアはくせになるおいしさ。
添えられたニンニクのアリオリソースやレモンを絞れば、また違った味わいで楽しめます。

定番の「ピースサラダ」780円もぜひ。ランチの大盛り版です。

「子供たち、ここでごはんを食べさせていいですか?」と桜子さん。

お、いいね!焼きたてピザ。

店の2階は、5歳の男の子と10歳のお姉ちゃん二人のお子さんが過ごすスペースになっているので安心して働けるそうです。
今日は同じく働くママ友のお子さん二人も一緒。

「おいしい!」

家族のための料理から始め、今では地域の人にも喜んでもらえる丁寧な料理を生み出す宗平さんと、和やかな雰囲気を生み出す桜子さん。

「お店で過ごす時間が、お客さんにとっての大切なひとつのPieceになってほしい」
そう願って名付けた店名の通り、どうぞ二人三脚で町の人に欠かせないオアシスになってくださいね。

また、おいしいパエリア食べにきます!

Bistro Piece(ビストロピース)
上川郡鷹栖町北野東2条1丁目8−1
営業時間 11:00〜14:00(L.O.13:30)
17:00〜20:30(L.O.20:00)
定休日 日曜・祝日
※予約がおすすめ
https://www.facebook.com/pg/BistroPiece

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