バカンスのススメ 非日常の世界に遊ぶ vol.4
バカンスのススメ 非日常の世界に遊ぶ vol.4
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インドやバングラデシュなど、数か国と国境を接するミャンマーには、100以上の民族が暮らしている。多くが仏教徒である彼らの心の拠り所が、寺院や仏塔であるパゴダだ。広大な平原に3000以上のそれらが建つ街、バガンを旅した。
3000もの寺院やパゴダが立つ古都、バガン



ミャンマーの中央を南北に流れる大河、交通の要でもあるエーヤワディー川の沿岸には、古来より都が栄えてきた。そのミャンマー人の母なる大河の中流域に位置するバガンは、1044年ビルマ族による最初の王朝が開かれた土地でもある。およそ40k㎡のエリアに現存する3000ほどの寺院やパゴダは、ほとんどが11世紀から13世紀に造られたという。ミャンマー屈指の仏教の聖地とも称されるバガンの、最大の見どころとされるのがアーナンダ寺院だ。
傍に足を運べば、優しい顔で迎えてくれる仏像

バガンのほとんどの寺院やパゴダが赤茶色の姿をしているのに対し、アーナンダ寺院は黄金色に輝く塔を持つ。1090年、時の王により建てられた寺院で、一辺が約63mの正方形の本堂があり、その中心に東西南北それぞれに向いた巨大な黄金の仏像が4体立っているという。さぞや美しいお姿を拝見できると、さっそくアーナンダ寺院へ向かったが、仏像のあまりの背の高さにおどろいた。日本では坐像の仏像が多いため、どっしりとした印象なのだが、この仏像たちは立像でなんと約10mの高さ。上から見下ろされているような威圧感を感じさせる。圧倒されていると、地元の男性ミンミン・トゥンさんが「仏像に少しずつ近づいてみて」と声かけてくれた。言われるままにゆっくり歩を進めると「近づくにつれ、仏陀の顔が優しくなってくるでしょう」と言う。なるほど、確かに仏像の顔がやわらかくなってくる。しかも、近づくにつれ、まとっているケープで包まれるような、そんな温かい気持ちにさせてくれた。
5層のパゴダに上り眺める夕日
「仏陀はその慈悲深い姿と心で、ボクたちをいつも見守ってくれているんだ」というミンミンさんに教えてもらい、絶景の夕日が見られるというシュエサンドー・パヤーとケイミンガー・パヤーに足を運ぶ。途中、土埃が舞うベージュ色の道を馬車が行きかう。観光に人気の馬車だが、地元の人々の足にもなっているという。シュエサンドー・パヤーが見えてきた。5層のテラスを持つ仏塔で、到着したときには見事な夕日をひと目見ようと、観光客はもちろん地元の人々も仏塔に登っていた。夕日を受け陰を作る周囲の仏塔の姿が幻想的で、時間が経つのを忘れてしまいそうになる。前方の仏塔に太陽がかかる、あるいは隠れていたのが姿を現すと、観光客が歓声をあげる。仏陀の遺髪が収められているというシェエサンドー・パヤーの南側には、全長18mの寝仏が安置されていた。周囲には、立ち姿の仏陀と同じように、地元の人々が手を合わせていた。



バガンの夕日は世界的にもファンが多く、人々はシュエサンドー・パヤーに登って夕日を眺めるそう。対し、ケイミンガー・パヤーは地元の人々が愛する穴場の夕日スポットだ。シュエサンドー・パヤーとは違い、みな静かに太陽が地平線に落ちるのを見守っている。その視線は、まるで慕う仏陀を敬い見るようだ。同じ夕日が場所によって静と動のイメージに変化する。地元の人々の自然に対する心に触れられる瞬間だった。
熱気球で空の散歩、仏教の聖地を眺める


地上、あるいは地上数メートルからのパゴダの姿もいいが、熱気球に乗れば上空からその姿を楽しめる。翌早朝は、熱気球に乗ってバガンを楽しむことにする。まだ夜が明けきらない時間に気球は準備開始。空が白々し始めたころ、熱気球に乗船した。ぐんぐん上昇する熱気球から、五角形のパゴダが見える。操縦者のエリー・サントスさんが「あれはダマヤッズィカ・パヤー」と教えてくれた。1196年に建てられたという仏塔だ。当時上空から見ることなどできないはずなのに、美しい五角形を描いている。古の人々の知恵と技術、想像力に驚いてしまう。数え切れない数の寺院や仏塔の姿を目に、1時間ほどで空中散歩は終了。ミャンマー人の仏陀を愛する心に触れた空の旅だった。
自然を刻んだ漆器を旅の思い出に


バガンは漆の街としても有名だと聞き、漆細工の工房『ミャシットサー ラッカーウエア ワークショップ』を訪ねた。バガンの漆器作りは分業制で、この工房はすべて職人の手で作られているという。漆器の多くは竹を細く割いて作る。器を作る、漆を塗る、メインの柄を描く、細かなディティールを描く、描いた柄を彫る、彫った線に色を入れる。工程はこれだけではない。漆は木から採取したら2週間の発酵が必要。さらに、器に漆を塗る工程は、塗って1週間乾かして塗って、これを18回繰り返す。1つのカップが完成するまで、約6ヵ月かかるという。植物の葉や花が描かれたタンブラーを手に取ってみる。繊細な紋様、職人の手の込んだ技術と、軽さのギャップに息を飲む。アイスティーが合う? それともビール? 自宅で使う姿を想像し、お土産に購入した。

信仰心の厚さ、夕日を見守る姿、漆器に自然を刻む伝統。ふと、アーナンダ寺院で出会ったミンミンさんの「仏陀はボクたちのココ(胸)にいる。心を落ち着けて仏陀と話したいときには、寺院やパゴダに行くんだ」という言葉を思い出す。仏陀を、自然を敬うミャンマーの人々の心に触れた旅だった。
Information on Myanmar
ミャンマーへのアクセス
札幌(新千歳)から東京(成田・羽田)または大阪(関西)で乗り継ぎ、バンコク・スワンナプーム国際空港へ。東京(成田・羽田)名古屋(中部)大阪(関西)からJAL便が毎日運航。
バンコクからバンコク・エアウェイズとのコードシェア便がヤンゴンまで運航。ヤンゴンからミャンマー国内線でバガンへ。
Information about JAL
バンコク経由でミャンマーへ!2019年3月30日まで、東京(成田)―バンコク線の増便を継続で1日2便運航いたします。増便のJL717/718 便は『JAL SKYSUITE787』で運航。また、東京(羽田)―バンコク線は8月より2便ともに『JAL SKY SUITE 777』で好評運航中です。機内で、上質で快適なひとときをお過ごしください。
https://www.jal.co.jp/inter/route/network/asia.html