食べるぽ vol.5
食べて地元を愛すルポ vol.5「玉ねぎ」
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おいしさのふるさと日本の玉ねぎ発祥地として、
伝統の種を受け継ぐ。この記事を見る地元おすすめスポット栽培して、収穫して、食べて。札幌黄を丸ごと体験。この記事を見る
地元限定アイテム旬の珍品が揃うスーパーに札幌黄が鎮座する。この記事を見る
ご当地グルメ札幌黄に恋して、
その想いは愛に変わる。この記事を見る
札幌から生まれた札幌黄(さっぽろき)、その栄枯盛衰。
カレーやハンバーグの具材としてお馴染みの玉ねぎ。日本で初めて栽培されたのが札幌であることをご存じだろうか。明治4年、アメリカから輸入した種子を、開拓使が札幌官園で試作したのが最初とされている。明治10年に札幌農学校に就任したブルックス博士は、札幌黄の原種と言われる「イエロー・グローブ・ダンバース」を持ち込み、札幌村(現在の札幌市東区)の農家に栽培指導をして回った。その結果、玉ねぎの作付量が増えて札幌村は有数の玉ねぎの産地になったのだ。
その後、品種改良が進み、北海道の風土に馴染んだ在来種・札幌黄が誕生。栽培は全道に広まり、収穫量は明治42年に全国の半数を占めるまでになる。第二次世界大戦前にはロシアやフィリピンへ輸出するほどの生産量があった。しかし、札幌黄は病気に弱く、形が不揃いで日持ちがしなかったことから、オホーツク管内を中心に大量生産向きのF1種(一代限りの雑種)の導入が加速。札幌においても札幌黄の作付面積は年々減少し、平成に入ってからは畑の宅地化が進み、札幌黄は絶滅への道をたどろうとしていた。
クラーク博士の後任として札幌農学校に就任したブルックス博士と、札幌村郷土記念館(札幌市東区)に建つ「我が国の玉葱栽培この地にはじまる」の碑。
明治末期の玉ねぎ畑の収穫風景。(札幌村郷土記念館所蔵)
札幌黄を絶やすな!産学官の連携で復活へ。
病気に強く大量生産に適したF1種が市場を席巻する一方で、「肉厚で柔らかく、熱を加えると増す甘みは他品種の比ではない」と、札幌黄の素晴らしさを知る数件の農家が、種を絶やすまいとして細々と作り続けていた。そのため、その栽培量の少なさから「幻の玉ねぎ」とまで呼ばれていた札幌黄だが、平成19年に一躍脚光をあびることになる。消えゆく食材を守る世界的プロジェクト「味の箱舟」に認定されたのだ。
さらにJAさっぽろ、事業者、消費者、有識者、札幌市などが構成員となり「札幌黄ブランド化推進協議会」を平成25年に設立。各種イベントの開催、販売先・販売機会の拡大を通して積極的なピーアールを行っている。現在、札幌黄の作付け状況は、面積約11ヘクタール、年間生産量約450トン。生産農家が、伝統の種を絶やさぬよう作り続けている。
販促等に使われる札幌黄ロゴマーク。
イベントに積極的に参加して札幌黄をピーアール(JAさっぽろ)。
- ●取材協力・写真提供:札幌黄ふぁんくらぶ/札幌村郷土記念館/JAさっぽろ
都市で農業の醍醐味を味わえる田園テーマパーク。
広大な敷地に札幌市内とは思えない、のどかな風景が広がる「サッポロさとらんど」。SLバスをはじめ、レンタサイクル、馬車、引き馬、炊事広場、パークゴルフ、手作り体験、工場見学など、一日中家族で楽しめる。
ここの醍醐味は何といっても畑にある。園内に広がる畑で野菜を栽培・収穫したり、加工もできる体験コースが多彩に用意されているのだ。そのひとつにタマネギコースがあり、札幌黄の栽培・収穫体験ができる。

「5月に苗を植え、6・7月で除草と生育観察、8月下旬に自分で植えた玉ねぎの収穫。土から玉ねぎを掘り出す子どもたちは、宝探しをしているように楽しそう」と教えてくれたのは広報・講座企画担当の福島さん。9月下旬に開催された「たまねぎフェスタ」では、札幌黄を使ったカレーが大人気だったとか。植えて、育てて、収穫して、食べて、札幌黄を丸ごと楽しめる。来年、家族で農業体験してみてはどうだろう。
体験農園で収穫されたばかりの札幌黄。取材時、1kg100円(税込)で販売されていた。
広い園内の移動はSLバスやレンタサイクルが便利。
- サッポロさとらんど
(札幌市農業体験交流施設) -
【住所】北海道札幌市東区丘珠町584番地2号
【お問い合わせ】TEL 011-787-0223
【開園時間】4月29日~9月30日 9:00~18:00
10月1日~4月28日 9:00~17:00
【休園日】夏期/4月29日~11月3日 無休
冬期/11月4日~4月28日 月曜日(祝日の場合はその翌日)
年末年始(12月29日~1月3日)
【ホームページ】http://www.satoland.com/

一見普通のスーパーに揃う珍品たち。
札幌市中央区の住宅街・宮の森にひっそりと?たたずむ「フーズバラエティすぎはら」。普通のスーパーかと思いきや店内を一巡してびっくり。生鮮食品のほか、リーキ(西洋ねぎ)、ビーツといった話題の新野菜、全国各地の名産品など、有名百貨店でも取り扱いの少ない珍品が所狭しと並んでいる。しかも商品の詳しい説明が手書きされたPOP付き。このスーパーはただモノじゃない!その思いは玉ねぎコーナーを見てさらに強くなる。
全国各地の逸品を取り扱っている。
遠く離れた九州の地サイダーも手に入る。
店長が愛する伝統野菜・札幌黄。
小さなスペースに玉ねぎの競演!「紅(くれない)」、「さらさらレッド」、「ペコロス」など、7種類もの玉ねぎがひしめいている。その中でもで~んと幅を利かせているのが札幌黄だ。野菜ソムリエでもある店長の杉原俊明さんはこの店の3代目。札幌黄は先代の時から、かれこれ40年近く扱っているという。「札幌黄のような伝統野菜は個性的でおもしろい」と杉原さん。店内には「黒さんごきゅうり」、「八列とうもろこし」といった在来種も。札幌黄の手書きPOPには「炒めるととても甘みが出る。やわらかく食味良い。反面、形、大きさ不ぞろい」と、長所以外の特徴もしっかり書かれていた。そこに杉原さんの野菜への深い愛情と、お客さまに対する誠意を感じる。
「フーズバラエティすぎはら」では、“北海道でのみ販売している食べ物を贈りたい”といったリクエストオーダーにも応えている。札幌黄を札幌の旬の味覚として贈ってみてはどうだろう。
料理に合わせて選べる7種類の玉ねぎが揃う。
「接客だけでは伝えきれない場合があるので、POPで詳しく説明している」と杉原さん。
- フーズバラエティすぎはら
-
【住所】北海道札幌市中央区宮の森1条9丁目3番13号
【お問い合わせ】TEL 0120-202-447
【営業時間】10:00~19:30
【定休日】日曜(祝日不定休)
【ホームページ】http://www.f-sugihara.com/

カレーはもちろん、店の外も内も札幌黄一色。
市電通沿いに車を進めると、台車に玉ねぎを山積みしている店があった。一瞬、青果店かと思い通り過ぎてしまったが、何とそこが今回のお目当て「カリーハウス パークポイント」であった。積まれた玉ねぎは札幌黄。窓には「幻の玉葱 札幌黄をご賞味ください!!」の大文字。店内に入ると、札幌黄のロゴマーク、その日の札幌黄の配合率を伝える黒板、手作りの説明書きなどが壁のあちらこちらに。店の外も内も札幌黄に染まっているのだ。

札幌黄を使い始めたのは10年ほど前。「知人に農家さんを紹介されて、試食してみたら、その甘みと旨みに惚れ込んだ」と語るのはオーナーシェフの高瀬昭則さん。水も油も使わず2日間じっくり炒めると、糖度が30度になりコクのあるペーストができあがるという。高瀬さんが年間に使う札幌黄は約500kg。冷凍保存したペーストやジャムなど、札幌黄を使った商品も販売している。高瀬さんは「とにかく札幌黄ファンを増やしたいから、何でもします。もう愛ですね」と笑って話してくれた。
コクの深い「ヨーロピアンカリー ハンバーグ…980円(税込)」。インドカリーとともに札幌黄を使った人気メニュー。
取材時の札幌黄配合率は100%。
- カリーハウス パークポイント
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【住所】北海道札幌市中央区南13条西7丁目2番6号 第二7Kビル
【お問い合わせ】TEL 011-211-6383
【営業時間】11:00~21:00
【定休日】不定休
【ホームページ】http://www12.plala.or.jp/parkpoint/

トロトロ玉ねぎ1個完食スープ。丸ごと玉ねぎのバター醤油煮

玉ねぎ | 小4個 |
---|---|
にんじん | 1本 |
昆布 | 10cm |
水 | カップ4~5杯 |
バター | 大さじ4杯 |
しょうゆ | 大さじ2杯 |
酒 | 大さじ1杯 |
コショウ | 少々 |
- 玉ねぎは皮をむき、にんじん、昆布は4等分にします。
- 鍋に玉ねぎとにんじんを入れ、浸る程度の水とバター大さじ3杯、しょうゆ、酒、昆布を入れて沸騰させます。沸騰したら弱火にしてゆっくり火を通します。
- 器にスープごと盛り、昆布と残りのバターをあしらい、コショウを振っていただきます。
根元に切れ目を入れたあと、スッと引っ張ると綺麗に皮がむけます。
なるべく遊びが少なく、口径が小さい鍋で煮るのがポイントです。
- ★玉ねぎの綺麗なむき方は、ほかのレシピにも共通です。
簡単!あと一品欲しいときに。玉ねぎの味噌田楽

玉ねぎ | 大1個 |
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油 | 大さじ1杯 |
味噌 | 大さじ2杯 |
みりん、てんさい糖 | 各小さじ1杯 |
鮭節 | ひとつかみ |
青のり | 適量 |
- 玉ねぎの側面から同じ幅でつまようじを4本刺して実を固定し、輪切りにします。
- フライパンに油を熱して玉ねぎを入れ、両面を焼いて中まで火を通します。
- 調味料を混ぜて玉ねぎの上全体に塗り、オーブントースターの高温で味噌に軽く焼き色が付くまで焼きます。
- お皿にのせてつまようじをはずし、細かく揉んだ鮭節と青のりを振っていただきます。
- 4本のつまようじを等分に刺し、その間を切り分けるのがポイントです。(写真は串を使用しています。)
お手軽なのに食卓が華やかに。玉ねぎパエリア

米 | 1.5合 |
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玉ねぎ | 小2個 |
にんにく | 2片 |
油 | 大さじ1杯 |
パセリのみじん切り | 少々 |
米の浸し汁 | カップ1・1/4杯 |
塩 | 小さじ2/3杯 |
コショウ | 少々 |
- 米を研いで30分水に浸してから、ザルに上げます。
(米の浸し汁はとっておきます) - 玉ねぎは千切り、にんにくは薄切りにします。フライパンに油を熱して玉ねぎを炒め、フタをして蒸し焼きします。玉ねぎがしんなりしたら、フタを取ってきつね色になるまで炒めます。
- にんにくと米を加えて更に炒め、米の浸し汁、調味料を加えて時々混ぜます。米が水分を吸ったらフタをして極弱火で20分、火を止めて10分そのまま蒸らします。パセリのみじん切りをかけ、取り分けていただきます。
玉ねぎは根とヘタ、芯を取り、中心に向かって包丁を入れると綺麗な千切りになります。
写真のようなきつね色になるまで炒めてから、にんにく、米を加えます。
- 星澤幸子先生 プロフィール
- 北海道南富良野町生まれ。星澤クッキングスタジオ 主宰。
札幌テレビ初の夕方のワイド番組の放送開始から毎日生出演し、料理を紹介して25年。
紹介数は6,300品にのぼる。それによるギネス記録保持者であり、自己の記録を更新中。
北海道の食材にこだわり、誰にでも作れる手軽な料理を紹介して、独自のスタイルを確立し中高年の主婦を中心に、幅広い世代から支持を得ている。

