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パリ「プラザ・アテネ、ワインカーヴに眠る秘密」

バカンスのススメ 非日常の世界に遊ぶ vol.6

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フランスが世界に誇るアール・ド・ヴィーヴルの殿堂がパリにある名門ホテル、プラザ・アテネだ。ここに秘密のワイン貯蔵庫があるという。
今回はホテル内のミシュラン三つ星レストラン「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」と、併設されたワインカーヴの知られざる秘密を訪ねてみよう。


ホテル最上位の格付け
〝パラス〟に輝くプラザ・アテネ

1913年、パリのアヴェニュー・モンテーニュに創業したプラザ・アテネ。2014年に大規模な改装を終え、リニューアル・オープンした。
エッフェル塔を一枚の絵のように眺めることのできるスイートルームや赤いひさしが印象的なコートヤード(中庭)、パリの華やかさを象徴するこのホテルは数々の映画やテレビの舞台にもなっている。
2011年にはフランス政府による独自のホテル格付け制度の最上級位〝パラス〟認定を受け、2013年に100周年を迎えた。
豪華絢爛なインテリアは、イタリアンマーブルを多用したルイ16世様式。まさにフランス語で宮殿を意味する〝パラス〟に相応しい。家具や調度品、使っている食器、カトラリーといった細部に至るまで、パリの宮殿とその中にある生活と芸術を体験できるのがこのホテルなのだ。


肉を提供しない、新世代の美食
「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」

プラザ・アテネでは「伝統とモダニティの融合」をテーマにしている。このモダニティを象徴するのがミシュラン三つ星を持つメインダイニング「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」だ。
数多くのミシュランの星を持ち、フランス料理界を代表するシェフ、アラン・デュカス氏の名を冠したこのレストランのインテリアは実にモダンで斬新。天井からクリスタルが無数に降り注いでくるようなシャンデリア、店内の中央には料理をサーブする時に使うシルバーの巨大なクロッシュを模したオブジェ、随所に配された小物はデュカス氏が個人的にコレクションしていたものだと言う。
レストランのエグゼクティブシェフ、ロマン・メデ氏によるフランス料理はインテリア以上に斬新なもの。肉を一切使用せず、魚、野菜、穀物の3つを使用したメニューは、キリスト教の「三位一体」の教え、神が三つの姿で現れることを意味している。
自然と大地を重んじ、新鮮なものを健康的に食べることがテーマだ。例えば、前菜の「ブルターニュ産ラングスティーヌ(手長海老)の冷製と黄金のキャビア添え」は、フレッシュで弾力のある冷たいラングスティーヌの甘みが、上に豪快に載せられたキャビアのほのかな塩気でより強調されている。「ラングスティーヌとキャビア、共に最高の素材を使用している。だから敢えてこれ以上の手をかける必要はない」とメデ氏は語った。
ラングスティーヌの旨味が凝縮されたソースも一切乳製品を使用せず、ラングスティーヌの茹で汁を煮詰めて作られているというから、細部に至るまで「三位一体」の哲学は徹底されている。


レストラン併設、開かれたワインカーヴ

地下にあるワインカーヴは数年前にリノベーションされたもの。伝統的なレストランに多い、狭い穴蔵のようなワインカーヴとは異なり、充分なスペースを取って整然とワインが並んでいる。まるでここ自体が瀟洒なレストランの一角のようだ。
ここではシャンパーニュや各種ワインなど、リクエストに応じてオーダーメイドのテイスティングが開催されている。今までワインカーヴの役割はレストランの舞台裏に過ぎなかったが、ここは新しいスタイルの開かれたワインカーヴなのだ。
シェフソムリエを勤めるローラン・ルケロル氏は1996年にアラン・デュカス・グループに加わった。長年にわたりアラン・デュカスのレストランでソムリエを経験し、彼らのガストロノミー(美食学)に相応しいワインを知り尽くしている。
「貯蔵されているワインはほとんどがフランスワインです。(肉を提供しない)ここの料理に合わせてブルゴーニュが主体となっています。意外に思われるかもしれませんが、ここにはあまり古いものは置いてありません。最近ではお客さまの要望がバラエティに富んでいるので、カーヴもそれに応えるバラエティが必要です。そのため、ヴィンテージよりはバラエティを重視したセレクションとなっているのです」
ブルゴーニュの中でも特にメゾン・ルロワ、ラフォンなどを取り扱っている。


秘密のワイン貯蔵庫

この広大なワインカーヴの奥、その暗がりに鎮座している分厚いドアがあった。それは人間の背よりも高い。
あれは何かとルケロル氏に尋ねると、にこやかに答えてくれた。「これはここで最も重要な意味を持つワイン貯蔵庫です。中をご覧になりますか?」
銀行の金庫を思わせる厳重なロックを開けて中を見せてもらう。その広い庫内には、ロワールのトゥーレーヌ地区のAOCジャスニエールやボルドーのサン・ジュリアンのシャトー・レオヴィル・ポワフェレ、ジャン・カーヴのアルマニャックなど、わずか8本の、しかし希少なワインが貯蔵されていた。
その中でもこれはと言うワインを見せてもらう。ルケロル氏が恭しく差し出した手の中には、ボルドーワインを代表する王者、理想とするボルドーワインの特性をすべて兼ねそなえた偉大なシャトー・ムートン・ロートシルト、1911年のボトルがあった。
創業年の1913年でないのが意外な気がしたので、その理由を尋ねてみる。
「プラザ・アテネの建設が始まった年が1911年なのです。1913年に建設は終了して、同年にホテルは開業しました。プラザ・アテネには100年を超える歴史がありますが、ホテルの全てが始まった年に因んで、この貯蔵庫には1911年のヴィンテージのものが集められているのです」
こう語るルケロル氏の穏やかな笑顔には、長年のホテルの歴史に対する敬意と、その歴史を今も日々共に重ねている喜びが滲んでいた。
もしパリのプラザ・アテネを訪れる機会があったら、思い出してほしい。地下のワイン貯蔵庫では、8本のワインがこのパリのパラス同様に今も熟成を重ねていることを。


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