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カンボジア「クメールの残照~神々が眠る3つの世界遺産」

バカンスのススメ 非日常の世界に遊ぶ vol.12

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インドシナ半島、カンボジア平原の密林に眠るアンコール遺跡群。かつての繁栄を物語る壮大な寺院群は、訪れたもの誰をも圧倒する。この国には人類の遺産と呼ぶにふさわしい遺跡が無数に点在するが、なかでも世界遺産の3カ所は、その石造建造物群の芸術性の高さから、いにしえの祈りの記憶を後世に残している。そんなはるか歴代の王たちが築いた夢の跡を辿る。

密林に眠る祈りの都 アンコール遺跡群

9世紀からおよそ600年にわたってインドシナ半島に栄えたクメール王朝。26代にわたる王たちが築いた700もの夢の跡がその存在を今に伝えている。その中心たるものが、世界最大の石造寺院アンコール・ワットと巨大都城アンコール・トムだろう。

12世紀前半にスーリヤヴァルマン2世によって30年余をかけて建造されたアンコール・ワットは、無数の石が複雑に積み上げられた巨大なヒンドゥー教寺院だ。当時はセメントなどの接着技術がなかったにも関わらず、石と石の間に一分の隙間もない。さらにアンコール・ワットで注目すべきはその高さ。中央には地上65mの尖塔が建つ。アンコール・ワットは王国の強大な力と人々の叡智の結晶なのだ。

またアンコール・ワットの1km北に位置するアンコール・トムは、アンコール王朝を最盛期へと導いたジャヤヴァルマン7世が築いた巨大都城。仏教に帰依した王は、中核となるバイヨン寺院に微笑みを浮かべる49塔の四面仏を建てた。巨大な観音菩薩の微笑みが林立する神秘的な空間は、同時に安らぎの灯を心にともしてくれる。

遺跡群では壮大なレリーフや緻密な彫刻にも注目したい。優美なアプサラ(天女)たちが壁を飾り、破風にはヒンドゥー教の神々が鎮座する。アンコール遺跡に点在する無数の寺院は、世の平安を願う王のメッセージが込められている。そんな往時に想いを馳せながら、一体一体をじっくり見学するのも楽しいものだ。

天空の寺院 プレアヴィヘア

アンコール遺跡の拠点となる街シェムリアップから北東へ約120km。車で3時間ほど走ったタイとの国境付近に位置するダンレク山の頂に建つプレアヴィヒアは、その立地から「天空の寺院」とも呼ばれている。寺院から眺める果てしなく広がる壮大なカンボジア平原はまさに絶景。
プレアヴィヒアは、クメール語で「神聖な寺院」を意味する。9世紀末に建設され、その後歴代の王により約300年にわたって増築されてきた。そして、かつて山を越えて行き交う人々の祈りの場として、いつの時代も大切な寺院であり続けた。カンボジアの2000リエル紙幣にも描かれる2つ目の世界遺産だ。

プレアヴィヒアの見どころは山頂から望む絶景のほかにも、千年以上前に建てられているにも関わらず、ほぼ当時の状態を保っているレリーフ群だ。山頂に向かって約800mの参道が一直線に伸び、その途中に設けられた5つの楼門の破風や柱に美しい彫刻が施されている。特にヒンドゥー教における天地創造神話「乳海攪拌」やクリシュナ神が毒蛇カーリアを退治するレリーフは、全く修復が施されていないにも関わらず、ほぼ完全に美しい姿を残している。

森に眠る古代都市 サンボールプレイクック

アンコール遺跡群から南東へ140km離れた場所にある「豊かな森」を意味するサンボールプレイクック遺跡は、7世紀初頭のクメール王朝の前身にあたるプレ・アンコール期に建設された遺跡群。常緑樹が茂る森のなかに100を超える寺院と祠が点在する。前アンコール王朝の幻の王都イシャナプラの存在を示す貴重な遺跡群は、2017年に3つ目の世界遺産に登録されている。

敷地内には「プラサット・サンボール」、「プラサット・イェイポアン」、「プラサット・タオ」と呼ばれる3つの寺院を中心にレンガ造りの祠堂がたくさん建っている。アンコール遺跡群では見られないサンボール様式と呼ばれる八角形の祠堂やレンガの建造物に施されたフライング・パレス(空中宮殿)の装飾は、インドの影響を受けながら発展を遂げた独自の芸術性がうかがえる。また、シンハ(ライオン)も、アンコール・ワットで見られるものとはまるで容姿が異なる。ヘレニズム文化の影響と考えられる欧風の人面像や半身半獣などが彫られたレリーフなども見られ、当時を知る上での貴重な手掛かりであると同時に、古代ロマンへと誘う想像の扉ともなっている。

クメールとフランスが融合した熱帯のオアシス

3つの世界遺産への拠点となる街がシェムリアップ。世界中から観光客が集まるこの街は昼夜を問わず賑やかだ。しかし、「ソフィテル アンコール ポキットラー ゴルフ&スパ リゾート」の敷地に一歩入ると喧騒の街にいるとは思えないほど静寂に包まれた別世界が広がる。広大な敷地にはラグーン(池)が巡り、熱帯の植物が生い茂り鳥がさえずる。どこにも出掛けずに1日中プールサイドで寛ぐゲストも少なくない。スペースを贅沢に使用したゆとりあるゲストルームの専用バルコニーからはガーデン、ラグーン、プールのいずれかの美しい眺めを楽しめる。

特筆すべきはレストラン。ラグーンの上に立つ、フランス探検家アンリ・ムオの名を冠した「MOUHOTS DREAM(ムオズドリーム)」では、極上の正統フレンチ、そしてクメールのフュージョン料理を味わえる。3年連続でワールド・ラグジュアリー・レストランアワードを受賞するシェムリアップ屈指の味を楽しみたい。シェフのお勧めはロブスターのフリカッセ、エンジェルヘアーパスタとアメリケーヌソース。エキゾチックな景色を眺めながらの極上の食事は、まさに夢を見ているよう。

※メニューは変更される場合があります

より深いリラックスを求めるなら、プールエリアを抜けたガーデンに建つスパルームへ。施術にはすべて自然派コスメブランド・ロクシタンを使用する豊富なトリートメントメニューと確かな技術は、シェムリアップのスパのなかでも高い人気。伝統的なクメールのマッサージと最新技術を融合させたトリートメントが遺跡観光で歩き疲れた身体と焼けた素肌を癒やしてくれる。予約は必須だ。

乾期(10月~3月)限定となるが、中庭のロイヤルコートでは、クメール伝統料理のビュッフェとともに、煌びやかな衣装に身を包んだ女性たちが舞い踊るアプサラダンスショーが楽しめる。カンボジアの王宮古典舞踊として、ユネスコの世界無形文化遺産にも登録されている優雅なパフォーマンスと伝統料理でカンボジアの特別な夜を過ごしたい。

※雨天は屋内で公演

アンコール遺跡の見学やシェムリアップの街を楽しむのはもちろん、このリゾートで過ごすひとときは旅の思い出の1ページになるに違いない。

Sofitel Angkor Phokeethra Golf & Spa Resort
(ソフィテル アンコール ポキットラー ゴルフ&スパ リゾート)

【住所】
Vithei Charles de Gaulle Khum Svay Dang Kum Angkor 1010 Siem Reap

【ホームページ】
https://www.accorhotels.com

文/鈴木博美
撮影/Ryoichi Sato


Information about Cambodia

カンボジアへのアクセス
札幌(新千歳)から東京(羽田)で乗り継ぎ、バンコク スワンナプーム国際空港までJAL便が毎日運航。バンコクからシャムリアップ国際空港までバンコクエアウェイズとのコードシェア便が運航(2019年2月18日現在の情報です)。

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JAL & Bangkok Airwaysでアジア各国への乗り継ぎも便利に!
バンコクへは東京(羽田・成田)、中部、関西の各地からJAL直行便が毎日運航しています。バンコクからは、バンコクエアウェイズの幅広いネットワークでアジア各地へスムーズにお乗り継ぎいただけます(2019年2月18日現在の情報です)。

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