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ストレッチングと筋トレ
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第4回目は「ストレッチングと筋トレ」についてお伝えします。体の柔軟性と筋肉量・筋力がなぜ健康にとって重要なのか、また効果的で簡単な実践方法などを、酪農学園大学でトレーニング科学を研究テーマにしている、山口太一教授(ストレッチング)と柴田啓介講師(筋トレ)に伺いました。


山口 太一氏
酪農学園大学
農食環境学群 食と健康学類
食・健康スポーツ科学研究室教授
博士(教育学)

柴田 啓介氏
酪農学園大学
農食環境学群 食と健康学類
食・健康スポーツ科学研究室講師
博士(教育学)
ストレッチングと筋トレ
健康のために体を動かしたい!でも、毎日となるとちょっと大変……なんて方も多いのではないでしょうか。
室内で手軽にできるストレッチングと筋トレで、健康増進に役立ててみませんか?
今回は「ストレッチングと筋トレ」についてお伝えします。
ストレッチング
体が硬いと良いことなし!
柔軟性を保って、いつでも元気に
まずは体の柔軟性についてお話します。加齢によって体の柔軟性は低下し、年を取るにつれ体は硬くなっていきます。加齢による柔軟性の低下は、健康にさまざまな影響を及ぼします。
特に、高齢の方であれば股関節周辺や足首などの柔軟性と、歩く速度に関連性があるとされています。体が硬い人ほど歩く速度が遅く、柔らかい人ほどご自身が快適だと思える速度で歩けるというデータがあります。また転倒経験がある方とない方では、転倒経験がある方の多くが、体が硬いと言われています。歩く、座るといった行動は、日常生活の中で重要な動作ですので、こういった生活動作を良好に保つためにも、柔軟性を高める「ストレッチング」を行うことが大切です。
体も心も柔らかくするには
ストレッチングが最適
ストレッチングには、体を柔らかくする効果以外にも、血管の柔軟性を高め動脈硬化予防につながる場合や、食後のストレッチングで血糖値を下げたり、副交感神経活動を高め、心のリラックスにつながるといった効果があります。また、年齢に関係なく(専門的な筋力トレーニングよりは効果が落ちますが)継続的にストレッチングをすることで、ある程度筋肉量を保てることも分かっています。
今回ご紹介するストレッチングは一例ですが、高齢の方であれば部位ごとに60秒、若年や中年であれば30秒程度伸ばし、1項目3セット、週3回以上、5週間以上継続すると効果的です。
手軽にできる「ストレッチング」で、体と心の柔軟性を高め、健康増進につなげてください。
肩と腕の筋肉

体幹の筋肉

太もも裏の筋肉

太もも前の筋肉

※左右それぞれで30~60秒ずつ行う
筋トレ
筋肉は年々衰える。
抗ってこそ、健康増進への第一歩
続いて、筋力トレーニングについてご説明します。適度な運動は健康増進に効果的というのは、多くの方がご存じだと思います。2023年度に厚生労働省から発表された「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨事項一覧」でも、年齢を問わず「週2~3日、筋力トレーニングを行うことが望ましい」と記載されています。実際に国内外研究データでは、脚力が弱い方ほど死亡リスクが高い、握力が強い方だと死亡リスクは低いなど、筋力と健康状態の関連性について、さまざまな報告がされています。
ただし、知っておいていただきたのが、筋肉量・筋力は加齢にともなって確実に低下するということです。上肢(腕)であれば男女ともに50代を境に低下し、下肢(脚)だと、10代後半をピークに年々低下します。
筋トレを通じて、筋肉量・筋力の低下にいかに抗えるかがポイントになるのでしょう。
エキセントリック筋トレで
手軽に筋力アップを目指そう
「筋トレはつらい」とか、「年だからやっても意味がない」と思う方もいるようですが、今回ご紹介するのは、どんな方でも手軽にできる内容です。
筋トレの際の筋活動は、例えば物を上げ下げする動作の場合、持ち上げる時に筋肉が縮む「コンセントリック(短縮性筋活動)」と、下げる時に筋肉が伸びる「エキセントリック(伸張性筋活動)」に分かれます。一般的には、コンセントリックがきつく、疲れやすいとされ、エキセントリックは楽で疲れにくいとされます。この「エキセントリック」に、近年多くの研究者が注目しており、実際に筋トレはエキセントリックのほうが効果的だというデータも多数報告されています。
エキセントリック筋トレのメニューをご紹介しますので、下記①~④を意識し、ぜひ実践してみてください。
➀下ろす動作に3~5秒程度かける
②上げる動作はできるだけ力を使わない
③10回を1セットとして、できれば2セット以上行う
④8週間以上継続して行う
※矢印の方向に動く時にエキセントリック運動が起きています。3~5秒程度かけてゆっくり下ろしていくのがポイントです
腕立て伏せ(通常)/腕・胸


腕立て伏せ(椅子を使った場合)/腕・胸


クランチ/腹筋


スクワット/脚・臀部


ストレッチングも筋トレも、毎日コツコツ、継続することが大切です。
ちょっとしたすき間時間に手軽にできる内容なので、ぜひチャレンジしてみてください。
次回は北海道民に多いとされる「がん」についてお伝えします。
※掲載情報は2024年7月19日時点のものです。