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ハンガリー「ブダペストのグルメ事情」

バカンスのススメ 非日常の世界に遊ぶ vol.8

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時代が交錯する首都ブダペストの魅力

「ドナウの真珠」と讃えられ、ヨーロッパ屈指の美しさを誇るハンガリーの首都、ブダペスト。ゆったりとしたドナウ川の水辺に広がる街には、多彩な様式の建築が立ち並び、中欧ならではのエキゾチックな趣も漂う。
はるか紀元前の時代から、この地では東洋と西洋が出合い、異なる民族や文化が交錯してきた。波乱に富む歴史の足跡は今も、いたるところに遺されている。
街を歩けば、古代ローマの遺跡やオスマン・トルコがもたらした温泉施設が現れる。その先に続くのは、威風堂々としたオーストリア=ハンガリー帝国の館。華麗な世紀末建築、社会主義時代の建築群。さまざまな時代と文化が織りなす街の姿は劇的で、どこか秘密めいた雰囲気さえ感じられる。

美食巡りのスタートは華麗な市場から

いくつもの物語を秘める風景と響き合うように、ここに息づく食文化も多様で奥深い。ブダペストは美食の都としても知られるところ。街中には常設市場が点在し、日常の食卓からスター・レストランまでを支えている。
まだ見ぬ食の世界を求めて、まずは19世紀末に開業した中央市場へ。芸術的なモザイクタイルに彩られた建物に入ると、日差しに満ちた吹き抜けの館内が開けて、整然とした店舗の列を見渡せる。
店先には世界中の美食家が追い求めるハンガリーの逸品が並ぶ。色とりどりのパプリカに始まり、最高級フォアグラもふんだんに。国宝認定された希少在来種「マンガリツァ豚」のサラミ、黄金に輝く貴腐ワイン「トカイ・アスー」も豊富にそろう。まさに美食の宝庫。通路を歩くだけで、この国の豊饒が身に染みてくる。

伝統料理に込められた民族のルーツ

市場でも特別な存在感を放つパプリカは、ハンガリー料理に欠かせない主役級の食材。伝統料理の多くがパプリカをベースとするためだ。種類は豊富で、甘みのあるものや辛いもの、形も丸型や細長などがある。
代表的なパプリカ風味の料理は牛肉と野菜を煮込んだスープ「グヤーシュ」。鯉や川魚を使ったスープ「ハラースレー」や肉のシチュー「ブルクルト」、鶏肉のパプリカ煮込み「パプリカーシュ・チルケ」といった名物料理でも、まろやかなパプリカの香味が肉や魚の旨みを引き立てている。添えられるサワークリームとの味のコントラストも絶妙。
国民的スープのグヤーシュは店ごとに味わいが異なり、食べ比べも興味深い。グヤーシュとはハンガリー語で「牛飼い」。大平原に暮らす牛飼いたちは大鍋で煮立てたスープを分け合う。そのスープに由来する名前だ。東方からの騎馬民族がルーツとも言われるハンガリー人にとって、グヤーシュは祖先から受け継いだ魂を潤す滋味なのかもしれない。

フォアグラとワイン三昧の至福に浸る

特産として名高いフォアグラも、忘れることができないご馳走だ。ハンガリーでは「リバーマイ」と呼ばれ、上質ながら値段は驚くほど控えめ。ブダペストのレストランでならば、贅沢なフォアグラ尽くしのコースも身近になる。
たとえば前菜にはパテやテリーヌ、メインは香ばしく焼き上げられたローストを。ローストは一皿に厚切りが何枚も重なり、圧巻のボリューム。供されたテーブルからは歓声が上がることも。
フォアグラに合わせるワインはトカイ地方の芳醇な貴腐ワイン、トカイ・アスーが最高とされる。ロシアのピョートル大帝やフランスのルイ14世をも虜にして、「王のワイン、ワインの王」と称賛を受けた名酒だ。
ワイン大国ハンガリーには約22のワイン生産地があり、生産地ごとに個性豊かなワイン造りが行われている。最近では革新的なスタイルのワインも次々と登場。知られざるワインへの注目は高まるばかりだという。

高貴なるカフェに安らぐひととき

ブダペストを訪れるなら、カフェ巡りも見逃せない。19世紀、この都市ではウィーンと同様に華やかなカフェ文化が興り、数多くのカフェが誕生した。当時のカフェのいくつかは時代を越え、現在でも伝統の味を守り続けている。
1858年開業の「ジェルボー」は皇妃エリザベートにも愛された名店。帝国時代と変わることのない佇まいのまま、訪れる者を魅了する。店内は宮廷の薫りをしのばせ、優雅。皇妃好みのチョコレートも洗練された味わいだ。
1827年、ブダ地区の王宮の丘に開かれた「ルスヴルム」も揺るぎない。こちらはケーキの美味しさで評判が高く、ミルフィーユにも似た中欧の伝統ケーキ「クレーメシェ」は絶品。繊細な甘さのクリームとパイ生地が口の中でホロリと溶け、街歩きの疲れをほぐしてくれる。
ブダペストでの食の愉しみは尽きることがない。遠い時代へと通じる物語にも導かれながら、心ゆくまで美麗なる都に酔いしれてみたい。

文/上保雅美
撮影/山口規子


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