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チェコ共和国「ビールもワインも美味しい街」

バカンスのススメ 非日常の世界に遊ぶ vol.13

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泡だけを楽しむ「ミルク」という名のビール?

ヨーロッパ世界の中心に位置するチェコ共和国は、北海道と同じくらいの面積の国土にギュッと魅力が詰まった国。その中心である首都プラハは「百塔の街」「黄金の街」「欧州の心臓」などの異名を持つ。美しくも古めかしいイメージがあるが、世界の他の都市と同様にこの街も確実に新陳代謝を繰り返し、新たなカルチャーを発信し続けている。そんなプラハの最新食事情をレポートしよう。

チェコは国民一人当たりのビール消費量が世界一というお国柄。最高のビールが飲めるのは、プラハ市内に5店舗あるビアレストラン「ロカール」だ。インテリアはクラシックなビアホールそのものだが、それもコンセプトの一部。実際は開店してまだほんの10年だ。板壁に描かれたグラフィティー(落書き)に見えるのは実は透過光を用いた間接照明だったりするなど、細部に現代性が覗く。

ビールはピルスナー発祥の地、プルゼニュ(=ピルゼン。プラハの南西約70kmに位置する)の大手ビール会社、ピルスナー・ウルケル社の工場から専用タンクで直送される。苦味、酸味、旨味……味わいの要素は普段飲んでいるビールと同じなのだが、そのすべてに透明感がある。つまりは鮮度が桁違いにいいのだろう。普段飲んでいるビールの記憶が霞んでしまうほどの鮮烈な美味しさ。

ピルスナー、無濾過の黒ビール、さらにはムリーコ(Mlíko =ミルク)という珍メニューもある。ムリーコはピルスナーの泡だけがグラスに注がれたもの。滑らかな泡に不快な苦味はない。本来のビールの味わいとはこういうものなのかと認識を新たにする。鮮度に自信があるからこそのメニューだ。

ぜひ言い添えておきたいのは、ここのフードメニューが秀逸であることだ。グラーシュ(シチュー)やクネドリーキ(小麦粉で作るダンプリングの一種。蒸しパンに似ている)、さらにはチェコハムにホースラディッシュ+サワークリームを添えたものといった伝統的で一見古色蒼然とした料理がメニューに並ぶのだが、どれを頼んでも、滋味溢れ、ビールとの相性も完璧。素材を選び、手間を惜しまずにちゃんと作られた郷土料理は文句なく美味い、という世界共通の法則はチェコでも通用するのだ。

今世紀に入ってから、美食のトレンドは分子調理に代表される「新奇」の方向に一気に向かった。それがここ数年は、伝統に立ち返る「揺り戻し」が見られる。「ロカール」の料理はまさにその線上に位置している。


知られざるチェコ・ワインと出合えるワインバー

ビール大国の話題の後では意外に聞こえるかもしれないが、プラハっ子たちはワインもよく飲む。チェコ産のワインもちゃんとある。その多くはチェコ東部のモラヴィア地方で造られ、なかには国際的なコンペティションで賞を獲得するような逸品もある。そんなチェコ・ワインがなかなか我々の目に触れないのは、自国消費が約8割を占めるせいだ。

プラハには国産の良質なワインを集めたこだわりのワインバーが何軒かある。なかでも評判がいいのが「ヴィノグラフ」。チェコ産だけでも130アイテムが揃う。マネージャー兼ソムリエのオンジェイ・ヴェネラさんはチェコ・ワインの生き字引的な存在だ。

彼のススメでチェコの赤ワインを試してみた。「レジーナ・チェーリ フランコフカ2015」。フランコフカはドイツやオーストリアでブラウフレンキッシュとして知られる品種。“天の女王”と名付けられたこのワインは、ワイルドベリーとヨードの香り。野趣溢れる味わいが病みつきになる。店でのボトルの価格は日本円にして約2,500円。費用対効果が高いのもチェコ・ワインの魅力だ。

ほかにも赤ではザンクト・ローレントやピノ・ノワールを使ったワインに面白いものがある。白ではリースリング。シャルドネによるスパークリングやブラウアー・ポルテュギーザーのロゼ、貴腐したリースリングによる半甘口など多様性もあって、いずれも“偉大な”ワインではないが、旅情を高めるには十分だ。

プラハの古めかしい街並みのなかで、生き生きと活気づくこの街の食文化に触れた時、チェコを代表する作家フランツ・カフカのこんな言葉を思い出した。

〈すべてお終いのように見えるときでも、まだまだ新しい力が湧き出てくる。それこそ、おまえが生きている証なのだ〉

文/浮田泰幸
撮影/吉田タイスケ
協力/Czech Tourist Authority-CzechTourism Japan


Information about Prague

プラハへのアクセス
札幌(新千歳)から東京(成田)で乗り継ぎ、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港へ、または東京(羽田)で乗り継ぎ、ロンドン・ヒースロー国際空港およびパリ・シャルル・ド・ゴール国際空港へ、JAL便が毎日運航。各地でコードシェア便に乗り継ぎ、ヴァーツラフ・ハヴェル・プラハ国際空港へ。

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東京(羽田)―札幌(新千歳)線、一部期間で増便!
通常1日16便で運航している東京(羽田)―札幌(新千歳)線が、2019年3月31日~5月7日、7月1日~9月30日の一部期間で1日17便に、2019年5月8日~6月30日、10月1日~10月26日の期間は1日17~18便に増便して運航いたします。この機会にJALの翼でぜひお出掛けください。
※一部、運航便数が異なる日がございます。詳細につきましては、JAL Webサイトをご確認ください。

https://www.jal.co.jp/

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