食べるぽ vol.10
食べて地元を愛すルポ vol.10「牡蠣」
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おいしさのふるさと「牡蠣の厚岸」を育てたのは、自然と人のチカラ。この記事を見る
地元おすすめスポット牡蠣の町のエキスが、いっぱい詰まった魅力発信基地。この記事を見る
地元限定アイテム厚岸の豊かな海で育まれた「旨い!」が大集合。この記事を見る
ご当地グルメ心づくしの牡蠣づくしを満喫する。この記事を見る
厚岸に牡蠣という宝物を授けた、奇跡の自然環境。
栄養が豊富なことから「海のミルク」と呼ばれ、生食はもちろん蒸しても焼いてもフライにしてもおいしい牡蠣。厚岸は古くから、この牡蠣の名産地だ。町内から発掘された貝塚には多数の牡蠣殻が残され、江戸時代から十勝川のフナ、天塩川のシジミとともに「蝦夷三絶」として、北海道を代表する味覚とされてきた。
厚岸産の牡蠣は、身はふっくらと丸みを帯び、クリーミーで濃厚な味わいが特徴。そのおいしさを育てているのが、湖と湾がつながる独特の地形だ。厚岸湖は山や湿原の養分を含んだ川からの淡水と、太平洋の海水が混ざり合う汽水湖。適度な塩分で育つ植物性プランクトンが豊富で、それが牡蠣の餌となる。また厚岸湾は寒流により海水が低温で、牡蠣はゆっくりと成長して栄養をたっぷりと溜め込む。この厚岸湖と厚岸湾を養殖カゴごと移動させて育てるのが厚岸流。水温の差を利用して産卵時期をコントロールすることで、日本で唯一、牡蠣の通年出荷を可能にしている。湖と海、山と川が織りなす自然環境が、牡蠣という宝物を厚岸に授けたのだ。
御供山から湖北地区と湖南地区を結ぶ厚岸大橋を望む。
牡蠣殻が堆積してできた厚岸のシンボル・弁天島。社の存在を示す記録が、1791年の書物に残っている。
安心でおいしい、4つの牡蠣ブランドを食卓へ。
厚岸産の牡蠣には、これまで3つのブランドがあった。三陸で生まれた稚貝を厚岸で育て上げる「マルえもん」、生まれも育ちも三陸で最後の仕上げに厚岸で過ごす「ナガえもん」、そして厚岸生まれ厚岸育ちの「カキえもん」。この「えもんシリーズ」に加えて昨年、新たなブランドが誕生した。「カキえもん」と同じ地元産の幼生をホタテ貝殻に数多く付着させ、その後、カゴ養殖する「弁天かき」だ。他県の稚貝に頼らず、安定生産できる純厚岸産として地元の期待がかかる。
この牡蠣ブランドを守り育てていくために、厚岸ではさまざまな取り組みを行っている。その一つが品質管理。水揚げされた牡蠣は、紫外線を照射して殺菌された海水の中で、48時間かけて浄化される。さらに「山を守ることは、湖と海を守ること」という考えのもとに毎年、漁業者をはじめとする地元町民が植林活動を実施。自然ばかりでなく人のチカラによって、厚岸産の牡蠣は守り育てられている。
厚岸漁業協同組合地方卸売市場内にある紫外線海水殺菌水槽。
厚岸産牡蠣の新ブランド「弁天かき」のパッケージステッカー。
- ●取材協力:厚岸漁業協同組合
独自のメニューや商品開発にこだわる「コンキリエ」。
厚岸湖と厚岸湾を望む、小高い丘の上に建つ「道の駅 厚岸グルメパーク 味覚ターミナル・コンキリエ」。イタリア語で“貝の形をした食べ物”という意味を持つ名称「コンキリエ」にふさわしく、厚岸特産の牡蠣を中心にしたグルメや土産品を販売しているほか、展望室や水族館、観光案内窓口などの施設も充実している。昨年は26万人以上の来場者数があり、その数を着実に伸ばす人気スポットだ。「道東道と高規格道路が延伸して、札幌圏からも気軽に来られるようになった」と話すのは田辺伸文総務部長。しかし、「コンキリエ」の人気が高まっている要因はアクセスの向上だけではない。次々と新しいメニューと商品の開発に挑戦する姿勢にある。
「かきぶた合戦丼」1,300円(税込)。ミネラル分豊富な「海藻ポーク」とふっくらジューシーカキフライのコラボレーション。
「元祖バケツ牡蠣」10個入1,500円(税込)。牡蠣をバケツごと酒蒸しして豪快に楽しむ人気メニュー。
「レストランエスカル」のおすすめは「かきぶた合戦丼」。釧路町産「海藻ポーク」の豚丼にカキフライが3つのったボリューム満点メニューだ。「炭焼 炙屋」では、隣接する魚介市場で買った材料を自分で焼いて食べられる。人気メニューは「元祖バケツ牡蠣」。厚岸の牡蠣ブランド「マルえもん」をバケツに入れ、道東の日本酒をたらし、炭火で豪快に酒蒸しする。こうしたオリジナルメニューが評価され、旅行雑誌「北海道じゃらん」の道の駅ランキング・食事メニュー部門では、2011年から6年連続で第1位に選ばれた。
土産品コーナーに足を運ぶと、牡蠣加工品の豊富さに驚かされる。「かきの佃煮」「元祖 牡蠣最中」といった定番商品をはじめ、「コンキリエ」だけで売られているプライベートブランドも充実。その中でも牡蠣の煮汁を使った醤油とだしと塩の「金シリーズ」が好評だ。田辺部長は「常にお客さまの声に耳を傾け、どこにもないここだけのおいしさや楽しさを追求していきたい」と意気込みを語る。厚岸の魅力発信基地として、「コンキリエ」の挑戦はこれからも続く。

道の駅 厚岸グルメパーク
味覚ターミナル・コンキリエ
- 【場所】
- 北海道厚岸郡厚岸町住の江2丁目2番地
- 【お問い合わせ】
- TEL 0153-52-4139
- 【営業時間】
- 4月~10月 9:00~21:00、
11月~12月 10:00~19:00、
1月~3月 10:00~18:00 - 【定休日】
- 月曜日(祝祭日の場合 火曜日)
- 【ホームページ】
- http://www.conchiglie.net

旬の海の幸がずらりと並ぶ漁協直売店「エーウロコ」。
天然の良港と水産資源に恵まれた厚岸。水揚げされる魚介類の種類は、全国でもトップクラスと言われている。通年出荷される牡蠣をはじめ道内第1位の生産量を誇るアサリ、水揚げ高上位のサンマ ・昆布・サケ・マスなど、四季を通して40種類以上にもなる。この豊富な海の幸の獲れたてを購入できるのが厚岸漁業協同組合直売店「エーウロコ」だ。
選びやすいように種類とサイズごとに分けて販売されている牡蠣。取材時は「カキえもんL」1個194円(税込)、「マルえもんL」1個172円(税込)。
卸売市場での競り風景。仕入れた魚介類はすぐに「エーウロコ」に運ばれる。
店内に入って最初に目に飛び込んでくるのが、いくつも連なる生け簀。中には紫外線殺菌された海水が満たされ、牡蠣、ホタテ、ツブ、ホッキ、毛蟹などが種類・サイズごとに仕切られて販売されている。奥にある冷蔵ケースには、シマソイ、ガヤ、柳の舞、ニシンなどが所狭しと並ぶ。これらの魚介類は朝の競りで仕入れられ、店に並べられるのは一日限り。「より新鮮なものをお客さまにお届けするために、その日に仕入れたものは、その日のうちに売るのがここのモットー」と語るのは販売部の藤林諒さん。売れ残りが出た場合は、直売店内の加工場で干し魚などの加工品にするという。鮮魚を加工しているとあって、ここでしか購入できないオリジナル商品は特に人気。サンマの甘酢漬け・昆布漬け・わさび漬け、ニシンの甘酢昆布漬け、干ししゃも、身欠ニシン、こまい一夜干しなど、選ぶのに迷うほど種類も豊富だ。
「エーウロコ」では、購入した牡蠣をその場で食べられるイートインコーナーを設けているほか、地方発送、貝・魚の刺身用処理サービス(有料)も行っている。厚岸にお越しの際は、ぜひ立ち寄っていただきたい。
厚岸漁協の直営工場で製造されている「エーウロコ」のオリジナル商品。
新鮮な魚介類や加工品のほか厚岸の特産品が並ぶ店内。漁協の直売店としては北海道最大級。
厚岸漁業協同組合直売店
「エーウロコ」
- 【場所】
- 北海道厚岸郡厚岸町港町5丁目3番地
- 【お問い合わせ】
- TEL 0153-52-0117
- 【営業時間】
- 9:00~17:00
- 【定休日】
- 火曜日、1月1日~7日(5月~12月は無休)
- 【ホームページ】
- http://www.a-uroko.or.jp

牡蠣のおいしさを多彩な料理で味わえる「桜亭」。
地元産の新鮮な牡蠣を味わえる店があると聞いて、向かったのは「桜亭」。42年前に寿司店として開業したが、現在は寿司、天ぷら、鍋物など、豊富な料理を揃えた和食処だ。看板メニューは「かきコース」。酢の物、にぎり寿司、フライ、汁物、柳川風卵とじの5品で、厚岸産の牡蠣が14個も使われている。このコースに、焼かきを単品で追加注文することもできる。さまざまな調理法で牡蠣を堪能してもらいたいという店の心づくしだ。ここの人気メニューをもう一品。厚岸漁協のブランド名から命名された「えもん丼」。厚岸町商工会がご当地メニューとして開発し、7年前から町内の飲食店で提供されている。牡蠣汁を加えた炊き込みご飯の上に乗っているのは、みたらし風に味付けされた牡蠣5個に、ツブ、昆布、椎茸、イクラ、錦糸たまご、絹さや、紅生姜。見た目にも食欲がわく豪華丼だ。
「かきコース」1,785円(税込)。「焼かき」1個210円(税込)は好きな個数を追加注文できる。
「えもん丼」1,200円(税込)。味噌汁とお新香が付いてボリューム満点。
桜亭では、朝にむいたばかりの新鮮な牡蠣を、漁業者から直接仕入れている。35年間、厚岸産の牡蠣を調理してきた大澤則男店長は「厚岸の牡蠣は本州のと比べて小ぶりだが、時間をかけてゆっくり育つので味が濃厚」と語る。一般的に冬が旬といわれる牡蠣だが「春に向かってどんどん太り、桜の咲く頃もうまい」と大澤店長。ゴールデンウイークを利用して、厚岸産の牡蠣を満喫してみてはどうだろう。

桜亭
- 【場所】
- 北海道厚岸郡厚岸町真栄2丁目149番地
- 【お問い合わせ】
- TEL 0153-52-3702
- 【営業時間】
- 11:00~21:00
- 【定休日】
- 不定休

生牡蠣の風味と山わさびの辛味がベストマッチ。生牡蠣の山わさびソース

殻付き牡蠣 | 8個 |
---|---|
ミニトマト | 1個 |
大葉 | 2枚 |
山わさび | 大さじ2杯 |
調味料 | |
レモン汁 | 1/2個 |
しょうゆ | 大さじ1杯 |
酒 | 大さじ1杯 |
- 牡蠣は貝柱を切って殻を開けます。
- ミニトマトは8等分に切ります。大葉はみじん切り、山わさびはすりおろして混ぜて均等に牡蠣にのせます。
- 調味料を合わせて均等にかけ、ミニトマトとレモンをあしらいます。
ふくらみのある方を下にして、貝柱がある右側の隙間から刃先を差し込みます。刃先を上殻の内面に沿わせるように入れ、貝柱を切ります。
上殻を取り除き、下の貝柱も同じように切ります。
ご飯のおともに、酒のあてにピッタリ。牡蠣の柳川風

牡蠣 | 200g |
---|---|
ごぼう | 小1本 |
長ねぎ | 1本 |
卵 | 2個 |
粗みじん切り唐辛子 | 少々 |
だし汁 | |
水 | カップ1杯 |
みそ | 大さじ2杯 |
しょうゆ | 大さじ1杯 |
てんさい糖 | 大さじ2杯 |
酒 | 大さじ2杯 |
- 牡蠣は塩でもんでぬめりを落とし、水で洗ってザルにあげておきます。
- ごぼうはささがきにして何度も水を替えてアク抜きします。長ねぎは縦半分にしてから斜め薄切りにします。
- 鍋にだし汁とごぼうを入れてやわらかくなるまで煮て、調味料を全部加えてなじませます。
- 長ねぎ、牡蠣をのせて卵を溶いて流し、半熟になったら火を止め粗みじん切り唐辛子をあしらいます。
牡蠣をもみ洗いして殻がついていないか確認します。
塩もみしたあとは、水に入れてやさしくすすぎます。
外はカリカリ、中はプリプリの食感がクセになる。牡蠣の包み揚げ

牡蠣 | 12個 |
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コショウ | 少々 |
片栗粉 | 少々 |
ワンタンの皮 | 12枚 |
海苔 | 2枚 |
みそ | 少々 |
揚げ油 | 適量 |
- 牡蠣は塩で洗ってぬめりを落とし、キッチンペーパーで水気を取ってコショウをして、片栗粉をまぶします。
- ワンタンの皮を広げて海苔をちぎってのせ、みそをぬって牡蠣をおきます。2辺に水をつけて三角に合わせ、中温の油でカリッと揚げます。
コショウをふり、くさみを消します。
皮をぬらさないように、牡蠣を海苔ではさみます。
- 星澤幸子先生 プロフィール
- 北海道南富良野町生まれ。星澤クッキングスタジオ 主宰。
札幌テレビ初の夕方のワイド番組の放送開始から毎日生出演し、料理を紹介して26年。
紹介数は6,300品にのぼる。それによるギネス記録保持者であり、自己の記録を更新中。
北海道の食材にこだわり、誰にでも作れる手軽な料理を紹介して、独自のスタイルを確立し中高年の主婦を中心に、幅広い世代から支持を得ている。

