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食べるぽ vol.3

食べて地元を愛すルポ vol.3「スルメイカ」

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食べて地元を愛すルポ「食べるぽ」Vol.3 ひとつの食材をテーマに、産地へ飛んでルポルタージュ。地元ならではの話題からレシピまで、おいしい情報満載!【今月のテーマ】スルメイカ【今月のプレゼント】20名さまにプレゼント「北の伝承造り」 【Mission】透明なイカの謎を追え!透明なイカは新鮮の証。そう聞くが、いかにして鮮度は保たれるのか。取材班は、函館で謎に迫った。

星澤幸子先生の「スルメイカ」を食べレシピ

【おいしさのふるさと】鐘の音、セリ人の声、活気に満ちた“魚市場”。

陸揚げから出荷まで数10分。

カランカランカランカラン……!
早朝5時半、函館湾を臨む市場に鐘の音が鳴り響く。セリの開始を告げる合図だ。セリ人がおもむろに声を発する。周りを取り囲む仲買人が、お目当てのイカを次々と競り落としていく。そこで交わされている言葉は、素人には聞き取れない。もはや呪文である。あとから確かめてみたところ、漁船名と1kgあたりの値段を示しているらしい。高値からスタートして徐々に値を下げ、ここぞという値が告げられた時点で仲買人が声を出して、買う意思表示をするのだ。
函館市水産物地方卸売市場、通称「函市(ハコイチ)」の朝は早い。5時、すでに関係者が集まっている。スルメイカのセリは、埠頭で行われる。漁船から運ばれたばかりのイカが、生きたまま次々と並べられていく。その周りに、フォークリフトやリヤカーが待機して、セリが始まるまでのつかの間、のんびりと雑談に興ずる人たちがいる。

  • 一斉に動き出すフォークリフトやリヤカーセリが終わると、待機していたフォークリフトやリヤカーが一斉に動き出す。
  • 競り落としたばかりの生け簀イカ競り落としたばかりの生け簀イカ。空気に触れて赤くなってきたのは、生きている証である。

競り落とされたイカは、すぐにフォークリフトやリヤカーで、建物の中にある仲卸店舗に運ばれる。酸素の入ったビニール袋に移されて生のまま、あるいは、氷を敷き詰めた発泡スチロールに並べられて、スルメイカは、ここから函館市内はもとより、遠くは東京まで旅立っていく。陸揚げからここまで数10分。セリの開始からは、ほんの10分ほどの出来事である。

3種類あるスルメイカのセリ。

朝イチで行われるのが、生け簀イカのセリ。漁船の生け簀で泳がせながら港まで運ばれるから、こう呼ばれる。競り落とした仲買人たちが、出荷の準備を終えて一段落したころ、下氷(したごおり)イカのセリが始まる。これは、船上で、氷を敷いた発泡スチロールの箱に詰められたイカのこと。生け簀イカの数量が決められているため、多く揚がった分は下氷イカにするという。そのあと、木箱に入れられたイカがセリにかけられる。これは加工用のイカで、スルメになったり珍味になったりする。セリはあっという間で、すべてが終了しても、まだ朝7時前なのだから驚く。
いずれのイカも、函館港の近くで揚がるもので、鮮度がいい。その鮮度を保つために、イカの状態ごとに3回に分けてセリは行われ、仲買人たちはスピード勝負で仕事をしている。これが、函館のイカが透明な理由である。

  • 生け簀イカのセリ生け簀イカのセリ。想像よりも静かに淡々と進む。
  • 下氷イカのセリ下氷イカのセリ。イカの状態と値段を見極める、仲買人たちの目が光る。
  • ●取材協力:函館市水産物地方卸売市場

【地元おすすめスポット】朝から“釣り人”でにぎわう函館朝市“えきに市場”。

国際的にも注目度アップの「活いか釣り」。

市場というのは、総じて活気がある。JR函館駅からすぐの函館朝市の中心部に位置する「えきに市場」も例外ではない。大きな建物の中に鮮魚店や土産品店、食堂などが立ち並び、通路は観光客でごった返している。とりわけ人口密度が高い場所がある。そこが「活いか釣堀」だ。イカが回るように泳げる、巨大な水槽の周りには、順番待ちの行列ができている。日本語に混ざって聞こえてくるのは中国語。聞けば、アジアを中心に海外からの観光客が多いという。台湾からはツアーがあり、タイからはテレビ局がロケに来たのだとか。いまや世界のおすすめスポットなのだ。

  • 活いか釣り「活いか釣り」は、卸売市場で取引されるスルメイカの価格に合わせるため時価。取材日は1匹830円。
  • 400匹のイカが泳ぐ巨大水槽常時約250匹、多いときで400匹のイカが泳ぐ巨大水槽。夏の観光シーズンには、途中でイカを追加するほどの盛況ぶり。

スルメイカの頭に狙いを定めて、釣り糸をたらす。ゆらりゆらりと泳ぎ回るものだから、釣り針を引っ掛けるタイミングが難しい。来た! バシャバシャと水しぶきをたてて、スルメイカが空中に舞う。歓声が沸く。やや遅れて、悲鳴にも似た声があがる。とりわけ活きがいいのだろう、イカが豪快に水を吐き出したのだ。まれに墨を吐くこともあるというから、油断できない。釣ったイカは、イカ刺し職人の小野寺透さんがさばいてくれ、その場で食べられる。透明でコリコリしたイカは、それだけで旨いものだが、自分で釣ったとなると、おいしさもひとしおである。

函館朝市えきに市場
(函館駅二商業協同組合)
【住所】北海道函館市若松町9番19号
【お問い合わせ】TEL 0138-22-5330
【営業時間】5~10月/5:30~14:00
11~4月/6:00~14:00(店舗により変動あり)     ※朝市食堂 二番館は通年6:30~14:00 【定休日】第3水曜 ※7~9月、12月は無休(店舗により臨時休業あり) 【ホームページ】http://www.asaichi.ne.jp/ekini/
函館朝市えきに市場

【地元限定アイテム】異国の情緒あふれる函館でごちそうになったイカメシ。

イカメシをイタリアンとフレンチで。

市電・深堀町電停のほど近くにある「ビーズビー」。契約農家から届く産みたて卵のオムライスやハンバーグ、パスタなどが楽しめる、まちの洋食屋さんだ。ここにちょっと珍しいメニューがある。「イカメシ・デ・イタリアン」と「イカメシ・デ・フレンチ」。オーナーシェフ・平山憲さんが、郷土料理のイカメシを洋風にアレンジした。

「イカメシ・デ・フレンチ」盛り付け
クリームソースをかけて完成。やわらかな食感のイカとサフランライスのハーモニーを楽しんで。
オーナーシェフ・平山憲さん
オープン以来、厨房で腕を振るってきたオーナーシェフの平山さん

「イカメシ・デ・イタリアン」は、チーズ入りのイカ墨リゾットを詰めたイカメシをトマトソースで味わう。サフランライスが詰まった「イカメシ・デ・フレンチ」は、濃厚なクリームソースをたっぷりからめていただく。その華やかな一皿は、もはや知っているイカメシではない。どちらもテイクアウトできるというのだから、お土産にしない手はない。

  • テイクアウト用「イカメシ・デ・イタリアン」と「イカメシ・デ・フレンチ」テイクアウト用「イカメシ・デ・イタリアン」と「イカメシ・デ・フレンチ」(通年、各550円)。
  • 「イカメシ・デ・フレンチ」欧米の文化が根づいた函館らしい一皿(通年、各734円)。
Cafe&Restaurant
Bees.Bee(ビーズ・ビー)
【住所】北海道函館市柏木町39番3号
【お問い合わせ】TEL 0138-51-7881
【営業時間】11:30~LO14:30、18:00~LO21:00
【定休日】月曜
Bees.Bee(ビーズ・ビー)

【ご当地グルメ】イカを食べずして帰る、
その選択はほぼない。

専用水槽で泳ぐイカをさばく。

「いか清」はイカ専門店ではない。しかし、多彩なイカ料理がそろう。函館では真イカと呼ばれる、スルメイカを食べずして帰れまい。実際、店を訪れる客の9割近くがイカ料理を注文するという。
自家製の生干イカを焼いたもの、ザンギ、コロッケ、ギョウザなど、魅惑的なメニューに目を奪われるが、ここはやはりイカ刺しといきたい。
いか清のイカは、活イカである。生きたままトラックで運ばれ、店内の専用水槽に入れられる。イカが悠々と泳ぐ、その水槽は、調理場のすぐ横にある。注文が入ると、担当の調理人がイカを引き上げ、手際よくさばいていく。「生きたイカは、切るときにむずい」と、調理人歴20年の中里禎司さん。身が反ってしまうから、なかなか思うようには切れないのだという。大皿に、身・エンペラ(ミミとも呼ばれる)・ゴロ(内臓)・ゲソ(足)を盛りつけたら、鮮度自慢のイカ刺しの完成。透明の身はシャキッとして、エンペラはコリコリとした歯ごたえがあり、ゴロは臭みがまったくない。そして、ゲソは動いている!「踊り食いはムリ」という方でも、心配はいらない。素揚げにしてもらえるのだ。ほどよい弾力と甘みが旨い。刺し身を注文して素揚げも味わえる“1粒で2度おいしい”のが、またいい。

  • イカを切っている様子短めの柳刃包丁でさばき、切るときにサバキ包丁を使うこともある。
  • 活真いか新鮮そのもの、「活真いか」(6~12月、時価)。ゲソの食べ方は3種(刺し身・焼きもの・揚げもの)から選べる。

スルメイカだからつくれるゴロ料理。

「いかゴロ陶板焼」(通年、580円)

函館で食べられるイカは、スルメイカ(6~12月)とヤリイカ(1~5月)。いか清には、スルメイカがないとつくれないメニューがある。それは「いかゴロ陶板焼」。ヤリイカには、食べるほどの量のゴロがないのだという。焼き場を担当している佐藤雅さんがそう教えてくれた。
いかゴロ陶板焼に使うゴロは、醤油漬けにしたもの。それを、切ったイカに混ぜ込んで焼く。見た目よりも薄味ながら、コクがあり、ごはんも酒も進むこと間違いない。

活魚料理 いか清
【住所】北海道函館市本町2番14号
【お問い合わせ】TEL 0138-54-1919
【営業時間】平日17:00~24:00(LO23:30)、
日曜・祝日16:00~23:00(LO22:30)
【定休日】無休
【ホームページ】http://www.ikasei.com
活魚料理 いか清

星澤幸子先生の「スルメイカ」を食べレシピ

イカらしい味わいを楽しむ。スルメイカのポンポン焼き

スルメイカのポンポン焼きのイメージ
材料(4人分)
スルメイカ 2杯
大さじ1杯
しょうゆ、みりん 各大さじ2杯
おろししょうが、青のり、粗みじん切り唐辛子
各少々
  1. スルメイカは内臓を処理して洗い、ゲソは隠し包丁をして2本ずつに切ります。
  2. フライパンに油を熱して、スルメイカを入れて焼きます。焼き色が付いたら返して焼き、火が通ったら調味料を入れて絡めます。
  3. 胴は1㎝幅の輪切りにします。形を崩さないように皿に盛り、胴にゲソを入れます。おろししょうが、青のり、粗みじん切り唐辛子を全体にあしらいます。
星澤先生のココがポイント!
ポイント1胴の骨の部分に親指を引っ掛けて、ゲソと内臓を引き抜く。
ポイント2目は、墨が飛ばないように水の中で取る。
★内臓の処理のしかたは、すべてのレシピに共通です。

さっぱりと、夏バテ知らずメニュー。スルメイカのマリネ

スルメイカのマリネのイメージ
材料(4人分)
スルメイカ 2杯
玉ねぎ 1個
ピーマン 1個
にんじん 30g
たかのつめ 1本
レモン 1/2個
イタリアンパセリ 適量
【合わせ酢】  
酢、油 各カップ1/2杯
てんさい糖 大さじ3杯
小さじ1+1/2杯
  1. スルメイカは内臓を処理して洗い、沸騰した湯にサッとくぐらせて、胴は1㎝幅の輪切り、ゲソは隠し包丁をして1本ずつに切って器に盛ります。
  2. 玉ねぎはスライスし、ピーマンは輪切り、にんじんは千切り、たかのつめは種を取って小口切り、レモンは輪切りにします。
  3. 鍋に合わせ酢の材料を入れて煮溶かし、粗熱を取ってから野菜を混ぜ、スルメイカにかけてしばらく置き、たかのつめとレモン、イタリアンパセリをあしらいます。
星澤先生のココがポイント!
ポイント1
野菜を混ぜるタイミングは、火を止めて粗熱を取ってから。ピーマンは最後に入れる。

定番・そうめんとイカ大根の出会い。スルメイカそうめん

スルメイカそうめんのイメージ
材料(4人分)
スルメイカ 2杯
大根 200g
しょうが 1片
細切り昆布 ひとつまみ
そうめん(干) 200g
カップ2杯
しょうゆ 大さじ3杯
酒、てんさい糖 各大さじ2杯
万能ねぎ 少々
  1. スルメイカは内臓を処理して洗い、胴は1㎝幅の輪切り、ゲソは隠し包丁をして1本ずつに切ります。大根は1㎝厚さの半月に切り、しょうがは千切りにします。
  2. 鍋に分量の水と大根、細切り昆布を入れて火にかけます。沸騰したら調味料としょうが、スルメイカを入れて10分ほど煮て、そのまま冷まします。
  3. そうめんを茹でて冷水でしめ、しっかり水気を切ります。スルメイカと大根を取り出した煮汁に、そうめんを入れて浸してから汁ごと器に盛り、上にスルメイカと大根を並べます。小口切りにした万能ねぎをあしらいます。
星澤先生のココがポイント!
ポイント1
煮汁からスルメイカと大根を一度取り出して、そうめんを入れること。
星澤幸子先生 プロフィール
北海道南富良野町生まれ。星澤クッキングスタジオ主宰。
札幌テレビ初の夕方のワイド番組の放送開始から毎日生出演し、料理を紹介して25年。
紹介数は6,300品にのぼる。それによるギネス記録保持者であり、自己の記録を更新中。
北海道の食材にこだわり、誰にでも作れる手軽な料理を紹介して、独自のスタイルを確立し中高年の主婦を中心に、幅広い世代から支持を得ている。
星澤幸子先生
【今月のプレゼント】20名さまにプレゼント「北の伝承造り」社長のいか塩辛250g、本数の子黄金松前230g、ほたてとろろ昆布200gのセット

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