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我が町のぬくもりステーション vol.10

我が町のぬくもりステーション vol.10「中・北空知エリア」

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明日の活力を充電 ―我が町のぬくもりステーション―

地域で愛されているカフェ、帰省のたびに訪れたくなる食堂…そう、そこは、住民たちの憩いの場。明日への活力を充電できるオアシスです。笑顔が生まれる、町の「元気の象徴」である店を、月刊誌HO取材陣が、毎月各地域の市町村を訪ねご紹介します。


第10回は、中・北空知地方です。


1軒目 浦臼「御食事処 わか杉」

浦臼町のまちなかに入ると見かける「浦臼ワイン」の看板。
札幌軟石の歴史を感じさせる石造りの酒屋さん、尾花商店さんに立ち寄ってみました。

店主の尾花賢二さんは、この酒屋の4代目。
おすすめの浦臼産のブドウを使用したワインを色々と紹介してくださいました。
ちょっとユニークなのは、まちのゆるキャラ「臼子ねぇさん」をあしらった今年リニューアルしたばかりのオリジナルの町内限定のラベルのワインです。

現在販売しているのは、赤の辛口と白のナイヤガラ各1,188円です。
春には種類が増えるそうですので、町内に5軒ある酒屋さんや商店にぜひ立ち寄ってみてください。

浦臼町はワイン用ぶどうの作付面積が日本一。
今は雪の下で眠っているブドウたちですが、秋にはたくさんの実をつけてくれます。

さて、尾花さんのお店のすぐ近く。
役場の隣にあるのが浦臼のもうひとつの特産品、幻と呼ばれる「牡丹そば」の手打ちそばが食べられる「御食事処 わか杉」
今日は特別に、開店前のソバ打ちのようすを見せてもらうことになっているのです。

うっすらと緑色のそば粉がとてもきれい。
香り高く甘みがある牡丹そばは、北海道では大正時代から育てられている、歴史ある品種です。栽培に手間がかかり収穫量も少ないので生産量は限られていますが、そのおいしさから、そば職人やそば通にとても人気があります。

店主の若杉裕司さんは浦臼育ちですが、もともと両親はそばで有名な新得の出身。
屋根職人だった両親の仕事の関係で新得から浦臼に移住したそうです。
「子どものころから、母の打つそばを食べて育ちました」という若杉さんにとって、手打ちそばはとても身近なものだったそうです。
店を持つと決めたときに、お母さんのそば打ちを見てきた経験と合わせて、さらに地元の名人にも打ち方を習い、技術を習得したそうです。

通常のステンレスの調理台の上に置いた、お父さんが手作りしてくれたというソバ打ち専用の木の台で、若杉さんは毎朝開店前にそばを打ちます。

均一に包丁を入れ、とてもきれいな仕上がりの二八そばです。
一度でだいたい10人前ほどを、あっという間に鮮やかな手さばきで完成させました。
お見事ですね!

評判のそばつゆは、香りのよい宗田節と濃厚な味わいが生まれるサバ節のだしが決め手です。

アクを吸い取る効果がある、布の袋に入れて20分ほどコトコトと煮ると、こんなにきれいな金色のだしがが生まれます。
しょっぱすぎず甘すぎず…すっきりとしつつもコクのある、絶妙な「わか杉」のそばつゆのおいしさのヒミツを見せてもらいました。

お昼のお客さんより一足先に、打ち立て茹でたてをいただきましたよ。
「ざるそば」は650円。
香りと甘さが感じられる、打ち立てのそば。弾力があってのどごしがいいので、するするとあっという間にのどを通り、食べ終わってしまいました。

また、浦臼の牧場で育つ希少な赤毛の和牛「神内和牛あか」を使用したおそばもおすすめです。サッとそばつゆで煮たバラ肉をトッピングした、「神内和牛あか肉そば」は980円。日本唯一の「全日本あか毛和牛協会」が認定する最高評価の三つ星を獲得した、赤毛和牛のまろやかな旨味とやわらかさが楽しめます。濃いめのタレに大根おろしをたっぷり。後味もさっぱりとしておいしいですよ。

さて、お昼になりました。店は若杉さんの奥さん公代さんと二人で店を切り盛りしています。

町の人たちがランチにやってきましたよ。常連さんが「いつものねー」と声をかけていたので、「何を頼んでいるんですか?」と訊ねてみると…
「何を食べるか考えるのが面倒だからさー、大将におまかせして定食にしてもらうんだ」
へ~、そんなオーダーもありなんですね。日替わり定食みたいなものかな?

ぐつぐつとおいしそうなカツ煮。おそばとセットで頼む丼ものも充実しています。洋食や和食など、長く料理人として腕を磨いてきた若杉さんは、そば以外の料理も評判です。

そばは1分あれば茹で上がります。さあ、料理ができました。

揚げたてのかつ定食もおいしそう。
ごはんもおいしそう。地元産の「ふっくりんこ」を使用しています。

店のお隣、役場で働くみなさん。おじゃましました、どうぞゆっくりして行ってくださいね。

私もそば湯で一服。牡丹そばはそば湯もうまい!
また、おいしいそばを食べに寄りますね。

御食事処 わか杉
浦臼町ウラウスナイ183-33
電話 0125-67-3882
営業時間 11:00~14:00、17:00~22:00
定休日 月曜

2軒目 深川「蝦天」

北海道のほぼ中央にある深川市にやってきました。
駅の物産販売のコーナーにはおいしそうなリンゴが並んでいます。
深川は空知でNO.1、全道でも上位に入る果樹生産地です。

さすが深川の特産品!
駅前の時計にもリンゴがデザインされていました。
お米もとてもおいしいんですよ。
お昼ごはんも楽しみだな。

さて、ここから徒歩5分ほどの場所にある老舗食堂を今日は訪ねます。

迎えてくれたのは笑顔がすてきな店主の古本さん夫妻。
2代目の古本隆之さんと美貴さんです。
「蛯天」は1962年に深川で店を開き50年以上続く和食店。
古本さんが2代目を引き継ぎ16年経ちます。
「店を継ぐときに、名前変えて全く新しい店にしてもいいよ…と義父に言われましたが、地元の人に親しまれているこの店の名と味を、ぜひ残したいと思いました」

4年前には店を隣に新築して、モダンな雰囲気の店構えも評判なんですよ。

店の代表メニューといえば、地元の人が大好きなたっぷりの野菜天とエビ天を載せた天丼です。
深川名物を市民投票で選ぶ「2017これぞ!ふかがわ名物」で、初めて飲食店で認定を受けたのが「天丼(梅)」850円。地元の人にとっては身近でほっとするおいしさなのです。

深川米のつやつや炊き立てごはんの上には、古本さんがこだわる、種類豊富な地元の野菜の天ぷらが。冬はカボチャやゴボウなど。長イモの天ぷらが入っているのは珍しいですね。
そこに、羅臼昆布と本ガツオを贅沢に使った、先代からの秘伝のたれを注ぎます。
だしが香るほんのり甘いたれがサクサクの天ぷらにしみてたまらないのです。

「今日は天気が悪いから、そんなにお客さんは来ないかもしれませんよ」と笑っていたお二人でしたが、開店と同時に次から次へとお客さんがやって来て駐車場もいっぱいです。

テーブル席より個室が多い店内は、あっという間に靴や長靴がズラリ。

厨房は一人で調理する古本さんとともに、補助をしているベテランスタッフさんたちも大忙し。

こちらのお客さんは、お隣滝川から。
「ここのトンカツが好きなのよ~。年に何回かはこれをお目当てにきます」
確かに、すごいボリュームだけど道産のおいしくてジューシーな豚肉は軟らかで女性でもペロリと食べられちゃうそうです。

こちらのグループは仕事の昼休み。
あれれ、奥の男性のごはん、何かサイズ感がおかしくないですか!?

丼に乗り切らないからお皿に載って出てくる、「特カツ丼」1,400円に、プラス100円でさらに大盛りにしたものだそう!
丼ぶり2杯ぐらいありそうなごはんがてんこ盛り。
卵でとじておらず、後載せなのでロースカツの衣はさくさくです。
ちなみに、ヒレカツはお年寄りでも食べやすいようにと、卵とじで軟らかな食感に仕上げているそうです。
ヒレにするかロースにするか…迷っちゃいますね。

ちなみにほかのみなさんは大エビ天丼。仕事で全道をまわっているというみなさん。「深川に来るときに、ここに寄れることを楽しみにしてます。盛りがよくておいしいですからね」とニコニコ。
カツ丼の男性はしっかり完食していましたよ。

再び厨房です。お昼のピークが過ぎてちょっと余裕が出てきましたね。
古本さんのアイデアで生まれ、人気になったメニューをこれから作ってくれるそうです。

ジュワ~っといい音。
ひょろりと長い何かを油にいれました。

完成品がこちら。「最初は宴会を盛り上げる料理だったのですが、食べたいというお客さんがいて、メニューにしました」
「ジャンボエビフライ定食」2,100円です。1本ずつ単品でもたのめます。

どうです、ずしっと重くて長いエビ。インドネシアのシータイガ―という種類だそうです。みっちりと身が詰まって、食べ応えがあります。
エビが大好きな人なら、一度は食べたくなる夢のメニューじゃないでしょうか。

地元の人に愛されるのはこんなふうにアイデアとサービス精神にあふれるおいしいごはんがあってこそ。

食後のお茶など細やかな心づかいもうれしいのです。
ちなみにインパクトあるエビの湯呑みはオリジナル。
赤いのが先代のとき、ちょっとひょうきん顔は2代目になって作ったそう。どちらもいい味出してます。

深川に来たら、また寄りますね!

蛯天
深川市3条9番7号
電話 0164-23-2387
営業時間 11:00~14:30(L.O.14:00)、17:00~21:00(L.O.20:30)
定休日 不定休

3軒目 滝川「COFFEE HOUSE Seika(コーヒーハウス セイカ)」

滝川の駅からすぐ近く。栄通りから少し入ると現れるブルーグレイの壁に青い扉。
それは小さな喫茶店です。

すでに店のまわりは車がいっぱい。
ここは滝川では知る人ぞ知る店なのです。

店で人気の場所は、大きな窓からぽかぽかと暖かな光が差し込むカウンターの席です。
おひとりさまも、初めてここにやってきた人でも大丈夫ですよ。
常連さんたちの間に座っていればいつのまにかコーヒーの香りとともに和やかな雰囲気に包まれリラックスしてしまいます。

そんな笑顔が絶えないお客さんの中心にいるのは店主の松本大輔さんと、この店を始めた母の静子さん親子。
店を開いて28年になりますが、多くの常連さんたちに愛されている店です。

店のおすすめは、なんといっても種類豊富な食事系のメニュー。
料理上手の静子さんが、家族のために可能な限り地元のものを使用し、安全な食材で丁寧に作っている家庭的な味です。
料理に添える葉物は、沼田町から定期的に届く水耕栽培の無農薬の野菜。
1年中新鮮なサラダも楽しめます。

人気メニューは、チーズと手作りのホワイトソースたっぷり、ホタテなどの魚介を入れた「シーフードドリアのセット」1,000円。
ほかにもカレーや生姜焼きセット、パスタやオムライスなど種類豊富にそろっています。

食後にはもちろん、新鮮な豆をネルドリップで淹れたコーヒーで一息つけます。

この日は静子さんのお姉さんの康子さんが手伝いに来ている日。

おかわりの差し出すコーヒーのカップ、この模様にも注目してみてください。

異人さんの青い絵柄がきれいな有田焼です。

お皿やスプーンもおそろいで、かわいいですよね。
ほかにもシュガーポットや小物入れなどいろいろあり楽しめます。

静子さんが長崎を訪れたときに見つけ、ほれ込んでコレクションしている「青花(セイカ)」シリーズです。
そうです。お店の名前もこのシリーズをイメージして付けたものでした。

「最初は好きなものに囲まれて、好きな料理を作って趣味のような感じで始めた店だったのに、いつのまにか忙しくなっちゃったわね」と、さばさばとした雰囲気が面白い静子さん。
おいしい料理のウワサは口コミで広がり、ランチの時間は大忙しです。

気が付けば店内は満席です。
カウンターも埋まってしまったようですね。

よくランチにやって来るという常連さんのお二人は滝川で63年続く老舗バー「ブラジル」を営むご夫妻です。
「うちに来るお客さんにも、ごはんのおいしい店ですとよくおすすめします」
「コーヒーもおいしいけど、このミルクに茶葉を入れて作ってくれる、ミルクティー大好きなんです」と、ブラジルのマスターもニッコリ。

さて、私たちもちょっと遅めのお昼をいただきました。
開店当時からの人気メニュー、生地から手作りしている「Seikaの手作りピザ」は1,000円。チーズを贅沢に載せてサラミやシーフードなどの具もたっぷり。
カリっとした台と、台に染みるほどたっぷりとアツアツのチーズ。
たまらないおいしさでした。

また、ふんわり卵でバターライスを包んだオムライスに、スパイシーなカレーがたっぷりとかかった「オムカレー」800円にも大満足。
また今度もごはんに寄りたくなります。
次に来るときは何を食べよう!

それに、みなさんともまた、楽しくおしゃべりしたいな。

「何よりもうちの自慢はお客さんなのよ」と、静子さんと大輔さんはうれしそうに笑っていました。

「来ないと心配になる」という一番の常連、ともちゃんと静子さん。

本音トークで話しているうちに、とても仲良くなったそうです。
そんな関係、いいですね。
なんだか滝川に帰る場所ができたような気分になりました。
またみなさんに会いにきますね。

COFFEE HOUSE Seika
(コーヒーハウス セイカ)
滝川市栄町4丁目7-3
電話 0125-24-2034
営業時間 10:00~20:00
定休日 日曜・祝祭日

4軒目 砂川「季の庭 YA-YELL(ヤ・エール)」

砂川はお菓子作りが盛んな町です。国道12号線はお菓子屋さんが点在しているので「すながわスイートロード」と呼ばれています。

その12号線から住宅地に入ったところに、とっておきの隠れ家カフェがあります。

通り沿いにある看板をたよりに、個人宅の庭を入っていくのでちょっとどきどきしてしまいます。

訪れたのは「季の庭 YA-YELL(ヤ・エール)」です。
住宅の玄関脇を通っていくと…

突然果てしなく広がる雪原と遊水地が見えてきました。
ポツンと建つ小さなログハウスがカフェです。

扉を開けて入ると…あれれ?中はとても暖かいけれど誰もいない。
ほほー!よく見るとインターフォンでオーダーするんですね。
オーダーが出来上がったら母屋から運んでくるそうです。
コーヒーとパンケーキお願いします!

母屋からお店の方がやってきましたよ。
このカフェは更谷俊一さんと妻の八重子さんが、自宅の敷地で営むお店です。

「はい、おまたせしました」
やってきたのは八重子さん。
とってもいい場所にあるカフェですね。
まちなかのこんな近くに、目の前を遮るものが何もない広々とした景色が広がっているなんて。

「そうですね、この場所がとても気に入って家を建てることにしたのです。私たちだけが眺めているのももったいなく思いましてね。たくさんの人に見てもらって癒しの時間を持ってくれたらいいなと思って、夫とふたりでカフェをはじめました。晴れるとピンネシリ岳が真正面に見えてきれいなんですが…今日は残念ですね」

いえいえ、この静かな雪景色もとてもすてきです。

カフェ前の庭から見えるのは砂川遊水地。
道路からはカフェの様子が見えないから、このギャップにも驚きました。

晴れている日の写真を見せてもらいました。
白い山々が神々しいですね。

さて、オーダーしたパンケーキ。プレートのデコレーションがすてき。
まるいパンケーキをお月さまにみたてて、母ギツネと子ギツネが眺めているイメージなんですって。
1枚のプレートに季節ごとの物語をあしらう「丘の月(手作りパンケーキ)」は400円。
人気の濃厚でクリーミーなソフトクリームもついています。
「ホットコーヒー」は350円。

きめが細かく、モチモチとしたパンケーキは、道産小麦粉のハルユタカなど、数種類をブレンドしたもの。
かなり研究して作り上げた自慢の味は一度食べるとファンになりますよ。

ちなみにお皿の絵はこんな風にオリジナルのデザインをくりぬいたプレートを、季節ごとに作って使用しているそうです。店のシンボル、焼き印にもなっているピンネシリ岳のロゴなど、デザインは息子さんが作ってくれているそうです。

ちなみに春は桜バージョン。きれいですね。

フルーツ入りソフトクリームアイスをパンケーキでサンドした「KINONIWA(きのにわ)」450円も人気です。
アツアツのパンケーキに冷たいアイスとフルーツがたまらない。

ちなみにパンケーキを焼いているのは旦那さんの俊一さん。きれいな焼き色で、しっとりモチモチ。焼き加減お上手ですね!

パンケーキ以外に、手づくりのあんや白玉を入れた「ぜんざいパフェ」500円は緑茶もついています。
ほかにホットサンドやスープなどもあり、メニューがとても充実しています。バレンタインやひなまつりなどイベントごとの特別プレートも評判です。

おいしいものを食べて、時間を忘れてぼ~っと景色を眺めていたら心がどんどん元気になっていくよう。

さあ、元気をもらって帰ろうか…と思っているところにご夫婦が登場。
「春は桜、夏は庭の花が沢山咲いて、庭にもテーブルを置くのよ。違う季節もまた遊びに来てね」
ハイ、ぜひぜひまた来たいです。

3月になれば目の前の遊水地に白鳥も来るそうです。
その頃にもまた来たいな。

ちなみに…店名の「ヤ・エール」にはいろいろな意味があるそうです。
「店名のヤ・エールのYAは
YA(やあ)みなさんお元気でしたか?と
ここで出会った人たちが互いに声かけする挨拶です。
YELL(エール)は、人生つらいこと、悲しいこと、忘れてしまいたいこと
いろいろありますよね…
そんなとき、このカフェに集まって互いに語り合いエールを送り合い、そしてこの美しい自然からもたくさんのエールを受け取って、明日からまた元気で動き出そう。そんな思いを込めて、ヤ・エールになったんです」


そして、最後に「この“ヤ・エコさんからもエールを送ります”という意味もあるのですよね」と付け加えて朗らかに笑っていました。

季の庭 YA-YELL(ヤ・エール)
砂川市西4条南5-1-20
電話 090-1523-8833
営業時間 10:00~17:00
4月末~11月末は10:00~19:00
営業日 4月29日~11月は基本無休(不定休有)
※2018年1月は休業、2月はバレンタイン・3月はひなまつり・12月はクリスマス周辺3日間のみ予約営業(期間中はドリンク、パフェ、パンケーキ他のセットプレート950円のみ販売)
※日程の詳細については電話でお問い合わせください。
※予約は前日まで。

5軒目 赤平「焼肉のたきもと」

赤平のシンボル的な建造物「旧住友赤平炭砿立坑」

かつては地下の現場まで鉱員を送り届け、採掘した石炭の引き揚げに使われていました。当時のお金で約20億円をかけた設備は「東洋一」とうたわれ、現在も施設の構造や機械、電気系統などが閉山当時のまま残されています。

赤平は炭鉱で栄えた町。食べ物の好みなど、当時の文化が今も色濃く残っているのです。

私たちがこれから向かうのは茂尻地区。赤平にあった4つの炭鉱の中でも、最も早く1918年(大正7年)に開鉱した「茂尻炭礦」がありました。
赤平駅付近とはまた別に栄えていた場所でした。
そこにある焼肉屋さんで、今も炭鉱の町らしいものが食べられるそう。

茂尻駅近くにある精肉店の滝本商店。
夜になると「焼肉のたきもと」を開きます。
地元の人はもちろん、各地からおいしい焼肉を求めて訪れる人が絶えない茂尻の名店です。

冷蔵車の顔!とても目立っていますがご主人かな?

開店前の焼肉店で迎えてくれたのは、店主の滝本守さん。
お顔とイラストがそっくりです!
「地域協力隊に絵の上手な子がいて描いてもらったんだよね。評判いいよ」
滝本商店は90年続く店。初代のおじいさんが肉や魚を扱う商店を開き、2代目の滝本さんのお父さんは、商店を営みながら養豚を始め、最大で250頭もの豚を飼育していたそう。
肉屋と焼肉屋を始めたのは、1976年に店をついだ滝本さんからです。

夕方5時から開く焼肉店は、長女の多恵さんや、この日は留守だった奥さんの陽子さんと一緒に店を切り盛りしています。

店のダントツ人気はこの2品。
滝本さんが開発した、モモ肉を厚切りにした「味付けジンギスカン」
1人前は440円。
それと必ずお客さんが食べる、外はカリッ、中はふわっと軟らかに焼きあがる味噌味のホルモン。
ホルモンは昔から赤平の人が良く食べているなじみの味です。

真っ白でふわふわと軟らかい「上ホルモン」は1人前540円。
厚くやわらかな直腸だけを使い、特製の味噌だれで味付けをします。

甘味と塩味のバランスがいい味噌だれは、白味噌にニンニクやコショウ、お酒など独自の調味料を配合したオリジナル。

ホルモンもジンギスカンもふるさと納税の返礼にも使用される評判の味です。
地元の人が自宅で食べたりおみやげにできるパックも購入できます。
ちなみに滝本さん、夏は赤平の各家庭へ、お肉と七輪の配達で、とっても忙しいんですって!

ほかにも、国道沿いの地元発信基地「AKABIRAベース」や砂川の施設、夏の「あかびら火まつり」で販売する「赤平ホットレッグ」350円も大ヒット作。鶏レッグを丸ごとから揚げにしていて、パリパリの皮とジューシー肉に、塩やニンニクを利かせた味わいがたまらない。昨年はなんと年間で2万本も売れたヒット作なんですって。

さて、いよいよ店の開店の時間となりました。
青いのれんはお孫さんの字をもとにしているそう、とっても上手で驚きます。

夕ご飯を食べに来たのはご近所のご夫妻。
「ここの味を知ってしまうと、ほかは食べられない。でも、あんまり知られて混んでも困るなぁ」とご主人は滝本さんを見てにやり。
ご夫婦とも、味噌ホルモンが大好きなんですって。

滝川から来たかわいいカップル。
気持ちよくお肉もごはんもたいらげて行きます。

女の子は地元の出身。
「子供のころからここに食べに来てました。やっぱりおいしい」

そのころ滝本さんは焼き鳥のデリバリーへ。
かつて、地元高校の野球の監督さんだっただけあってフットワークも軽やかです。

そんな滝本さんが力を入れているのが「がんがん鍋」と赤平を多くの人に知ってもらう活動。
やっぱりフットワークも軽やかに道内はもちろん、道外のイベントにも出かけているそう。
滝本さん、真っ赤なハッピ姿がお似合いです!

「豚ホルモンと野菜を煮込んだ味噌味の鍋は、赤平では家庭の味。俺も小さい時からよく食べてたよ」
炭鉱長屋の石炭ストーブにかけられていた、懐かしのスタミナ料理。
炭鉱が栄えていた1940~50年代、職場の仲間とこの鍋を囲みながら語り合い、ストーブをガンガンたき、ガンガン煮込み、ガンガン食べ、ガンガン働いた。
そんな意味を持つ昭和の鍋です。
赤平の新名物に育てようと「赤平がんがん鍋協議会」も発足して、市内6店の飲食店がそれぞれ個性ある鍋を出しています。

「赤平の名前と味覚を売り込みたい」と2017年から埼玉で行われている「ニッポン全国鍋グランプリ」に参加。59の地域の中で、なんと「がんがん鍋」は17位と健闘しました。

今年1月27日、28日の2日間、ふたたび「ニッポン全国鍋グランプリ2018」に参加するそう。
新たにチゲ風のガンガン鍋も開発中で、辛く旨味のあるスープの中には軟らかな牛スジと卵。それに豆腐とホルモンもたっぷり。ごはんも進みます。

「がんがん鍋」は各1杯500円。店でも味わえますよ。

ぜひ、赤平に寄ってお試しあれ!体も心もほかほかになりますから。

焼肉のたきもと
赤平市茂尻中央町南1丁目7番地
電話 0125-32-2265
営業時間 17:00~22:00
※滝本商店は10:00~22:00
定休日 火曜日

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