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雪かきだって運動?冬に体力アップ!

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第10回目は「雪かきと運動」をテーマにお伝えします。北海道にお住いの多くの方が経験のある雪かきですが、その運動効果や、雪かきの前と後で気を付けたい体のコンディショニングについて、酪農学園大学でトレーニング科学を研究している、柴田啓介講師(運動効果)と山口太一教授(体のコンディショニング)に伺いました。

柴田 啓介

酪農学園大学
農食環境学群 食と健康学類

食・健康スポーツ科学研究室講師
博士(教育学)

山口 太一

酪農学園大学
農食環境学群 食と健康学類

食・健康スポーツ科学研究室教授
博士(教育学)

雪かきだって運動?
冬に体力アップ!

どうしても気が重くなってしまう雪かき。特に、雪が多い日はうんざり・・・なんて方も多いのではないでしょうか。
そこで、「雪かき」を健康増進に役立つ「冬の運動」とポジティブに考えて、取り組んでみませんか。

運動強度が高く
体力向上につながる「雪かき」

まずは雪かきの運動効果からお伝えします。
雪かきの運動強度は、安静時の6倍、歩行の2倍とされています。これはジョギングや登山と同じレベルの運動強度です。そのため、雪かきでも十分な運動効果を得られる可能性があります。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者の場合、健康維持のための身体活動量として「歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日40分以上(1日約6000歩以上)」が推奨されています。毎日、長時間継続して運動することが難しくても、降雪の多いこれからの時期は、毎日40分程度の雪かきをすることで、この条件をクリアすることができます。

また、中・高齢者を対象とした研究では、雪かきを通じて脚筋力やバランス、歩行能力、持久力などが向上したことが報告されています。
いつもはネガティブに考える雪かきも「冬の運動」だと思えば、前向きな気持ちで取り組めると思います。

下半身の筋力強化を目指して
雪かき筋トレにチャレンジ!

雪かきは全身を使う運動ですが、とくに脚筋力を鍛える筋トレとして有効です。そのためには、スコップで雪をすくう際、足を肩幅程度に開き、背中をまっすぐに伸ばした状態を保ちながら、スクワットをするようにしゃがむようにしましょう。こうすることで、自分の体から近い場所にある雪をすくうことにもつながり、腰痛や転倒を予防することができます。また、「きつい」と感じるくらいの重量の雪をすくうと筋トレ効果が高まります。

その際、手首を痛めないよう手の甲を上にしてスコップを持つと良いでしょう。さらに体の左右で偏りが出ないよう、得意な体の向きとは逆の向きでも雪かきをすることもお勧めします。脚筋力が増すことで転倒予防につながるほか、脚の引き締め効果も期待できる可能性があるので、ぜひ「雪かき」を筋トレとしてチャレンジしてみてください。

※体調や体力にあわせ、無理をせず安全に行ってください。

※転倒や事故に十分注意しながら行ってください。

①しっかりしゃがむ
棒立ちのような姿勢だとスコップですくう雪が体から遠くなり、腰痛や転倒のリスクが高まる
背中を伸ばした状態でしっかりしゃがむと、スコップですくう雪が体に近くなり、安全で脚筋力強化にも効果的
②手の甲を上にしてスコップを持つ

何気なく持つスコップも、写真右のように手の甲を上にして持つと、手首を痛めずにすむ

③左右のバランス良く体を動かす

得意な向きだけでなく、逆向きも行うことで体の左右の偏りを抑えることができる

雪かき前は
ダイナミックストレッチングで準備を

続いては、雪かきの前後の準備やケアについてお伝えします。
体を動かすためには、しっかり準備をすることも大切です。雪かき後の疲労感や筋肉痛を軽減するためにも「体のコンディショニング」について知っておくと良いでしょう。
まず、雪かき前の準備ですが、体を動かしやすくしたり、瞬発力や持久力を高めるのに効果がある「ダイナミックストレッチング」の実施をお勧めします。
陸上競技のアスリートなどが競技前に行うストレッチング方法ですが、雪かき前にもその場でできて、体が動きやすくなるはずです。今回ご紹介するのは、上半身の筋肉のほか、おなかや背中の筋肉、また脚部の筋肉を動かしやすくするストレッチングです。
1つのストレッチングについて、5~10回程度を目安に行ってください。

※体調や体力にあわせ、無理をせず安全に行ってください。

※転倒や事故に十分注意しながら行ってください。

※上半身、前後屈のストレッチングについては、雪かき用スコップ(ジョンバー)がなくても実施可能です。

■上半身のストレッチング
①頭の後ろ側でスコップを両手で持ち、しっかり胸をはり、肘をできるだけ下にさげる
②肘をできるだけ高くあげることを意識して、腕をあげる
③胸をはり、肘を後ろに引く
④肘をできるだけ前に突き出すことを意識して、腕を前方に伸ばす
■おなかや背中のストレッチング
前屈と後屈をする。後屈をする際は転倒予防のため、膝をついて行っても良い
右足を踏み出し右にひねる
左足を踏み出し左にひねる
■脚の裏側のストレッチング
①左手にスコップを持って支える(左脚で行う場合は、右手にスコップを持つ)
②右ひざを持ち上げる
③右ひざを伸ばす
※左右それぞれで行う
■脚の前側のストレッチング
①左手にスコップを持って支える(左脚で行う場合は、右手にスコップを持つ)
②地面に対し体を垂直にしながら、ひざをまげる
※左右それぞれで行う

雪かき後はマッサージで
疲労感・筋肉痛を軽減

雪かき後に、背中などに疲労感や筋肉痛を感じる方も多いかと思いますが、それらを軽減するためにマッサージが有効です。
お持ちの方は「フォームローラー」を使うと良いと思いますが、自分の手で「もむ・さする」といったことでも、一定の疲労感や筋肉痛の軽減の効果はあるでしょう。
雪かきをする際は、急に体を動かさず、ストレッチングで徐々に体を温めてから行い、終わったあとは、冷え切った体をお風呂などでしっかり温めてマッサージでケアすることで、ケガの予防だけでなく、疲労感や筋肉痛を軽減できるはずです。上手に自分の体と向き合いながら雪かきを行ってください。

いつもはちょっと苦になる雪かきですが、運動と思えば少しは前向きになれますね。でも、急に無理をするのは禁物で、事前準備と終わった後のケアまでしっかりすることが大事です。
次回は「減塩」についてお伝えします。

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※掲載情報は2025年1月17日時点のものです。

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