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ハツラツ元気。脱フレイル宣言

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第8回は「ハツラツ元気。脱フレイル宣言」と題し、身体的・精神的・社会的な虚弱を防ぎ、元気な高齢者として過ごすために、今からできる心構えなどを、日本医療大学総長で、日本老年医学会元理事でもある島本和明先生に伺いました。

島本 和明

日本医療大学
総 長

日本高血圧学会名誉会員
医学博士

ハツラツ元気。
脱フレイル宣言

最近、「フレイル」という言葉をよく耳にされる方も多いのではないでしょうか?
日本語に訳すと「虚弱」と表現されますが、さらに分かりやすく言うと、健康な状態と、寝たきりになるなどの要介護となる状態の間にあるのがフレイルです。今回は「脱フレイル」と「フレイル予防」についてお伝えします。

要介護のリスクが高まる「フレイル」
早く気付き、対策を講じることで健康寿命の延伸を

フレイルは、進行すると要介護へと向かっていく状態のことで、一度、要介護状態にまで進行してしまうと元に戻ることは困難です。しかし、フレイルには可逆性という特性があり、フレイルの状態、もしくはその危険性が高いフレイルの前段階(プレフレイル)の状態であれば、まだ健康な状態に戻れる可能性が大きいと言われています。
フレイルを放置しておくと、介護などを受けずに日常生活を過ごせる期間、いわゆる「健康寿命」を失ってしまうことにもつながりかねません。ですから「健康寿命」を長く維持し、超高齢化社会を生き抜くためにも、まずは自分がフレイルやプレフレイルなのかということに早く気付き、フレイルからの早期脱却とフレイル予防が必要なのです。

脱フレイルとフレイル予防で大切なことは
3つのフレイルの悪循環を早急に断ち切ること

フレイルには3つの要素があります。加齢にともなって、筋肉・関節・骨などが動かしづらくなる「身体的フレイル」。物忘れや気持ちの落ち込み、あるいはうつ状態などを含めた「精神的フレイル」。定年などで仕事を辞めたことをきっかけに、人や社会との交流が減少することなどによって起こり得る「社会的フレイル」です。
そして、これら3つのフレイルの悪循環によって、さらにフレイルは悪化を加速させ、「負のスパイラル」に陥ってしまうと、高い確率で要介護へと向かってしまう状態から抜け出せなくなってしまうため、3つのフレイルの悪循環をどのフレイルからでも良いので、早急に断ち切ることが重要となります。

「バランスの良い食事」は大切
特に高齢者には牛乳・乳製品を積極的に取り入れることを推奨

脱フレイルのために、最初に提案したいのが「バランスの良い食事」です。
低下してしまった筋肉量や筋力を補うためにも食事は非常に大切です。特に、年を取るとタンパク質の摂取が落ちていくといわれますが、筋肉はまさにタンパク質の塊ですので、筋肉量を補い、減らさないためにもタンパク質を取ることは大切です。
厚生労働省と農林水産省が決定した「食事バランスガイド」(※1)でも、「主食」「主菜」「副菜」「牛乳・乳製品」「果物」と、これら5つのジャンルを平均的にバランスよく取りましょうと提唱しています。なかでも「牛乳・乳製品」には、高齢者の食事として最近推奨されているタンパク質が多く含まれています。しかも牛乳は、全国の生産量の半分以上を占める北海道に住む道民にとっては、とても身近な食品です。毎日牛乳1杯でも、チーズ1個でも、ぜひ意識して食事内容に取り入れてほしいと思います。

※1: 2005年6月に厚生労働省と農林水産省の合同で策定されたフードガイド「食事バランスガイド」より引用

「1日1万歩」は都市伝説
歩数にこだわらず、1歩でも多く歩いてみることが大切

もう一つ大切なことは「運動」です。
これまでは「1日1万歩は歩きましょう」と、よく言われてきたと思います。
日本人はとても真面目なため、「1日1万歩」を歩けないと、「効果が期待できないから」「自分には無理だから」と諦めてしまう方が多いのです。
しかし、「健康には1日1万歩が必須」という考えは、最近では都市伝説と言っても過言ではないことが分かっています。現在では1日5,000~7,000歩で長寿効果は頭打ちになるという日本国内の研究データ(※2)が発表されています。
さらに、フレイルの状況が見られて1日あたりの歩数が5,000歩未満の方が、1日あたりの歩数を1,000歩増やすと死亡リスクが23%も低下するのです(※2)。そう考えると、例え1,000歩でも2,000歩でも歩ければ、5,000歩の効果はなくても、その2割、4割の効果はあるわけです。
日本人は5,000歩と言われたら、5,000歩を歩けるか歩けないか、「全(ぜん)か無(む)か」という考えの方が多いのですが、半分なら半分の効果はあるということを理解してほしいと思います。まずは、できるところからぜひ始めてみてください。

※2: 早稲田大学スポーツ科学学術院、渡邉大輝助教らの研究チームがまとめた「毎日の歩数と死亡との量反応関係」に関する研究成果から引用。
『Medicine & Science in Sports & Exercise』(論文名:Dose-response relationships between objectively measured daily steps and mortality among frail and non-frail older adults)にて、2023年2月2日にpublish ahead of printがオンラインで掲載)

どんなに年齢を重ねていても、元気でいられることが一番の理想。そのためには、「よく食べ・よく動き・よく笑う」が必要ということですね。年齢を重ねても素敵に輝ける時間を過ごすために、今すぐできるところからフレイル予防に取り組みましょう。
次回は、健康維持には必須の定期健診についてお伝えします。

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※掲載情報は2024年11月15日時点のものです。

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