我が町のぬくもりステーション vol.5
我が町のぬくもりステーション vol.5「オホーツクエリア」
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地域で愛されているカフェ、帰省のたびに訪れたくなる食堂…そう、そこは、住民たちの憩いの場。明日への活力を充電できるオアシスです。笑顔が生まれる、町の「元気の象徴」である店を、月刊誌HO取材陣が、毎月各地域の市町村を訪ねご紹介します。
第五回は、オホーツク地方です。
網走にきました。
市街のいろいろなところにあるニポポを探しながら、とあるお店も探しています。
二つ岩が見える海辺の住宅地。
住所はその名も海岸町。
深い緑を背景に、時を経た納屋のような、ひっそりとした佇まいの一軒家を見つけました。
花に囲まれた入り口に、小さな「Salt&Sun」という看板。
そうです、ここがお目あての喫茶店。
手すりだと思ったら、使い込まれた古い漁具の柄。古い農具や漁具がディスプレイされているアプローチから2階へ。なんだかドキドキ、期待が高まります。
開店準備中におじゃましました。ペーパーに包んでいるのはランチのハンバーグですって。
焼き菓子もおいしそう。
目が釘付けになるシフォンケーキは、北見のポカラ農園の有精卵や地元・呼人のミネラル豊富なハチミツが入った人気のメニュー。スコーンやキッシュもあります。
それにしてもほれぼれするほどすてきな空間。理想のキッチンカウンターです。
「そうですか、うれしいな。ほとんどの内装を私と夫で手作りしました」と店主の川内かおりさん。
太陽みたいな笑顔のかおりさんからは、お話しているだけでエネルギーがもらえそう。東京生まれで、網走は東京のアートスクールで出会ったご主人の故郷です。「昔からこういう喫茶店をしたいという思いが主人と共通でした。地元の人がひとりできて、海を見ながらほっと一息つける場所を作りたかったんです」
道の先に青い海が見える席、確かにひとり静かに過ごしたくなります。冬は流氷を眺めることができるそうです。それにしても、ひとつひとつ違うアンティークのイスだけど、この空間にとてもなじんでいます。赤いイスはイギリスの教会のものだそう。
麻布の上にしっくいを重ね質感を出した壁、柿渋を塗った木の壁など、隅々まで手をかけています。
メニューが書いてある、大きな黒板も自分たちで塗ったそう。
「子どもたち4人を育てながら、その合間に作業をしていたので10年かかりました」
どうりで、この味わいは1年や2年では出ないものですよね。日本と外国の古い道具が混在しても似合う、味わいのある空間です。
それに古い船のドアを利用したトイレまでカッコいいのです。
寒くなるまでは、気持ちのいいテラス席も用意されています。お花や緑がきれいな隣の庭がいいな…と思ったら、「隣は自宅。庭も店のために育ててきたようなものです」とかおりさん。カフェで使うハーブやベリー類も育てています。
常連さんがやってきました。「仕事の合間にお昼を食べにきました」と、ピタパンサンドで休憩。ここはサラリーマンのオアシスでもあります。
スタッフの麻依さんも最初はここの常連客だったそう。「ケーキがおいしくて、一度に2個たのんでました。このあたりで、ひとりで落ち着ける店は本当に貴重。長居OKというのもいいんですよね」
ホットもアイスも丁寧にハンドドリップする、コーヒーにも癒されます。定番の「フレンチロースト」と、「今月のコーヒー」は深煎り系の豆を毎月入れ替えているので、楽しみにしているお客さんも多いそう。
豆は北見のアラビカ珈琲のもの。1杯400円ですが、おかわりはうれしい200円。アイスはプラス50円。
私もお昼をいただきます。日替わりの「ランチプレート」は限定10食で850円。予約もできます。
この日のメインはハンバーグ。地元の精肉店の安全な国産合挽き肉を使用しています。日替わりの惣菜は斜里産北あかりのローズマリーポテト、アボカドと網走大豆、キアヌとツナのサラダ。それにズッキーニとチキンのハニーマスタード和え。ピカピカのごはんは、東川町のゆめぴりか。
できる限り地元のもの、体にやさしいものを毎日早朝から作っているそう。ランチはカレーやパスタ、プレートが日替わりです。
気が付けばにぎやかになってきました。
でも、もうちょっとゆっくりしたいな。
「ケーキセット」は650円。濃厚なチョコレートのザッハトルテ、写真には写っていないけれど、アイスカフェオレにはコーヒーで作った氷が入っています。器も小鹿田焼(おんたやき)や地元の作家のものなど、かおりさんのお気に入りのものばかり。
まだ食べられちゃう。網走のイチゴのジャムとクリームがついた「スコーン」。なんと150円。
おいしいものをいただきながら、しばし日常の慌ただしさから離れて、ゆっくりできました。
ちなみに…
共同作業者のご主人、どんな方か気になります。漁師さんだそうです。
「これにそっくり」とかおりさん。「このどんぐり帽子もかぶってるよね。アハハハ」と笑う麻依さん。
ますます想像ふくらんじゃいます。
- Salt&Sun(ソルト アンド サン)
- 網走市海岸町5-1-4
電話 080-6094-0003
営業時間 10:30~16:00(L.O.15:00)
定休日 土・日・月曜、祝日
町の86%が森林という津別町。木材の加工や木製品の製造が盛んで林業が発展してきました。町を見下ろすと木材の加工場が見えますね。津別には合板木材メーカーや木製のアイススプーンやカトラリーのメーカー、家具メーカーなど木工業関連の会社が13社もあるそうです。
そんな森の恵みが感じられる津別町で、1931(昭和6)年に創業した86年続くレストランがあります。
迫力満点のバイクがどんどんやってきますよ。
ここは「つべつ西洋軒」。地元の人はもちろん、この時期はドライブやツーリングの途中に寄る旅人も多いのです。
「樺太で洋食店の料理長を務めた祖父が開いた店で、2代目の父が店の代表的な味、豚丼や塩ラーメンを作りました。僕も津別で自分にできることは何かと、地元の同じ跡継ぎの仲間と一緒に考えるようになったことがターニングポイントでした」と、3代目の榎本聖さん。榎本さんも10年前に店を継ぎ、「西洋軒」を地域の素材にこだわる、おいしい店として更にステップアップするよう努力しています。3代目、頼もしいですね。父・繁さんも現役で忙しい店を支えています。
店の人気メニューに使用するこのお肉、大空町の網走湖近くの豊かな自然環境で育てられている北斗ポークのバラ肉です。「今まで食べていたものと違って、とてもジューシーで軟らかくおいしいんです」と榎本さん。10年前からこの北斗ポーク一筋。よりおいしいものを目指し、生産者と西洋軒の二人三脚が続いています。
接客を担当する榎本さんの奥さん、えみさん。パカっと鍋のフタを開けてサーブしたのは、ホカホカの「カツ鍋定食」。もちろん北斗ポーク。
あ、先ほどのバイクのみなさんですね。
十勝から8名で来ているのですって。よくツーリングの途中で立ち寄るそうです。
お母さんがサポートしながら、厨房で榎本さんが次々に作っているのは…
名物の豚丼です。ブラックペッパーを利かせた北斗ポークのバラ肉に、繁さん秘伝のタレをからめます。脂がじわ~っと出るように、あまり強火にせずに煮詰めたら完成。思わずゴクリと喉がなる、いいにおい。
丼が運ばれてきたのは、先ほどのツーリングのみなさん。
「うまっ!」
あれ?そういえば豚丼元祖の十勝からいらしたんですよね。
「食べ比べようと思ったけど十勝と同じぐらいうまい!いやそれ以上」
ちなみにおそろいのキャップのアルファベットは、無線のそれぞれのコールサインですって。 午後はウトロへ向かうそう、どうぞよい旅を。
私たちもいただきます。
脂がおいしい北斗ポークだからこそイチオシの「バラ豚丼」1,080円。脂が甘くてしつこくない!ご飯がすすみます。好みで「ロース豚丼」も選べますよ。
もう一つの看板メニューの「塩ラーメン」は、丁寧にアクをとり、細やかな火加減の調整で、にごらない澄んだトンコツスープがベース。先代が築いた味を忠実に守る榎本さんですが、さらに工夫を加えました。
麺は津別産小麦「きたほなみ」を50%ブレンドしたオリジナル麺にしました。
スープは道産の昆布だしを加え、塩ダレにはイタリアの岩塩とオホーツクの塩をブレンドしました。すっきりとしたスープが繊細な麺によく合います。リピーターが多いのわかるな~。
「学校を出てすぐ家に戻ったので、ほかの店での経験がない分いろいろな店を見て研究しました。いい店はトイレもきれい。だから僕も毎日店のトイレ掃除をして、気を引き締めて開店します」
誠実に3代目業に取り組む榎本さん。
その姿勢は地域にも向けられています。
店のイスやテーブルも特注。トレイや改装した店内はできるだけ津別の木材を使っているという。
ストライプのような木目がすてきなテーブルも地元のカラマツの合板です。
そんな店で「店が開いていない津別の夜に、地元の人が交流できる場を作ろう」と、金・土曜日限定で「夜西洋軒」もはじめました。外国のビールやワイン、バル風のおつまみが楽しめます。
また仲間と、コアな津別情報や町づくりについて楽しいトークで発信するインターネットTV「つべらない話」のMCも担当。YouTubeでぜひチェックしてください!
次世代がいきいきと町を盛り上げる津別町。今後も注目したいですね。
あ、繁さんが第二厨房から手を振ってる。
いつもこうやってお客さんたちを見送ってくれるんだって。
またきますね!
- つべつ西洋軒
- 網走郡津別町東4条3
電話 0152-76-2616
営業時間 11:00~19:00(夜西洋軒:金・土曜21:00~24:00)
定休日 月曜・第4火曜
http://seiyouken.info
湧別にやってきました。町のマスコット「チューピットちゃん」
春のチューリップが有名ですが、名物はほかにもありますよ。
湧別漁港に隣接するオホーツク湧鮮館は湧別漁業協同組合の直営店。
ここで販売しているのが…
新鮮なホタテ。地元の人も買いに来る、新鮮なオホーツクとサロマ湖の魚介類や、ホタテの加工品を直売しています。湧別では毎年5月にサロマ湖で1年育てた稚貝を約2億5000万個(!)もオホーツク海のホタテ漁場に放流し、海底で4年ほど成長させ漁獲する「地まき漁業」が行われています。新鮮なホタテの貝柱は、甘みがあってプリっと弾力があります。
港にはなんと砕氷船。観光用ではないですよ。春にサロマ湖の氷を割り、少しでも早くホタテの作業をできるようにするためのもので、サロマ湖沿岸にある湧別、常呂、佐呂間三つの漁業協同組合で共有しているのですって。さすが、力入ってます。
そんな自慢のホタテ、食べないわけにはいきません。
港も近い町の食堂「お食事処リボン」は、地元の人も観光客も次々と暖簾をくぐる店。
ラーメンやカレー、丼もの、何でもありますが…
そう、ホタテ。創業当時からホタテ料理は店の看板メニュー。
現在2代目の吉竹幸雄さん、八重子さん。
もともとは札幌などにも製品を卸していた、大きな飴屋を営んでいた先代がはじめた小さな食堂でした。創業からかれこれ70年ほど。料理人として修業を積んだ吉竹さんが店を継ぎ、今では、地元の新鮮魚介の、素材を生かしたメニューが評判の店です。
「いつも漁組から生きたホタテを仕入れるんだよ」
開いたホタテの立派なこと!
札幌の飲食店などで腕を磨いた、息子の弘之さんとともに厨房に立ちます。
料理を運ぶのはもちろん、八重子さん。
あ、おかもち!今日は30人分も昼の出前の予約があるんですって。
軽やかに車に積み込んで、出前に出発!
お昼にやってきたのは、地元の人はもちろん、こちらは名古屋からの2組のご夫婦。「昨年来て、ホタテ料理がおいしかったから、友達夫婦もつれてまた来ちゃった」と赤い帽子のご婦人。焼いたホタテをのせた「ホタテ丼」、おいしそうですね。どの料理にも稚貝の味噌汁が付いていますよ。
男性陣が食べているのが、「ホタテカレー」800円。トッピングの貝柱はもちろん手作りのルーにもホタテがたっぷり。スパイスに負けない旨みです。
そしてオホーツクのホタテを存分に味わいつくすなら、浜焼き、フライにお刺し身などなど…この「ホタテ定食」1,600円をぜひ!
プリッと甘い貝柱のお刺し身、それに新鮮だから食べられるコリコリとしたミミも、とてもおいしかった。生のホタテをたっぷり乗せたホタテちらしや、予約でお寿司も味わえます。
さて、港が近いこの食堂には、漁師さんのために生まれた人気メニューもあるんですよ。「海のものはいつも食べているから“肉が食べたい”というリクエストで作ったのが、もう30年くらい前かな」。それが「リボン丼」。かわいい名前だけどガッツリ系。
季節の野菜の下には、だしが効いた特製醤油ダレをかけた、ロースのトンカツがギッシリ。軟らかな道産の生肉のみ使用します。それに味噌汁、デザート、漬物も付いて1,100円。
ホタテ料理も地元の味も、どちらもおいしいのです。もっといろいろ食べてみたいな。
名古屋のご夫婦のように、何度も来なくっちゃね。
- お食事処 リボン
- 紋別郡湧別町緑町165
電話 01586-5-2406
営業時間 11:00~20:00 ※宴会などの場合は延長あり
定休日 不定 ※ほぼ休まず営業
暮れなずむ斜里駅前。ここからも斜里岳がよく見えるのですね。
今日は駅前の店がお目あてですが、その前にちょっと行ってみたいところがあるんですよね。
向かうのはここから車で15分ほどの「天に続く道」です。
場所をたずねたら、「途中の展望台で止まらないで、ずっと突き当たりまで登って行くのよ」
地元の人に教えてもらいました。
国道334号線をウトロ方面へ。
途中二股に分かれた道を右手に入り、ひたすら突き当たりまでひたすら真っすぐ。
振り返って驚きました。
いつのまにこんなに登って来たのかな。
本当に天に続いているよう。
あ、夕暮れどきのきれいな「天に続く道」
来てよかった。
夕日に輝く麦の穂と海。
初めての斜里でいい景色を見ることができました。
さて、駅前に戻ってきました。
この建物の一番奥まったところにあるのが「知床そば居酒屋えん」です。
入り口に貼ってある「生ダコ入荷」!
そう、今日の目的はこの料理。シンプルだけど地元の人にも観光客にも大人気な逸品です。
季節の「生ダコ焼き」は一皿900円。夏から12月ごろまでの限定品。
迎えてくれたのは店主の今井千春さんと妻の郁子さん。
以前はウトロでカフェとそば居酒屋の店を営んでいましたが、10年前に斜里駅前に移転してきたそう。
郁子さんは長年地元の役場に勤め、今井さんも観光協会職員だったこともあるので、斜里の観光や食材にもとても詳しいのです。
地元素材にこだわった料理が評判です。
「今日はちょうどいいサイズのが入ったよ!」と今井さんが見せてくれたのは、大きな水ダコの足。「13kgぐらいがベスト。それ以上大きくても、小さくてもおいしくないんだよ」
タコはくさみが出るので、新鮮なうちに皮をはいで処理します。
はいだ皮から大き目の吸盤だけを取り、あとは処分します。
「鮮度抜群のそのままでも食べられる生ダコは、スライスすると、こんな風にキュッと身がしまるんだよ」
透明感があり白く輝く生タコは、このままでも十分おいしそうですが…
さっとあぶり何もつけずにパクリ。
吸盤、コリッとして、なんておいしいの!
プリプリの身も焼くと旨みが増すのかな。
何もつけていないのがウソのような、ほどよい塩気。
「いろいろな塩を試したけど、必要なかったの。結局このままが一番おいしいのよね」と郁子さん。
これは…おかわりしたくなります。
さて、こちらはここで店をはじめてからずっと常連さんだという、隣町の清里町からやってきたご夫婦も…
やっぱり「生ダコ焼き」。毎年楽しみにしているのですって。
いつもこんなにおいしいものが食べられるなんて、うらやましいな!
そして、この店のシメはやっぱりおそばでしょ。
こだわりの十割そばは、地元斜里産のそば粉を毎日製麺しています。
なめらかな食感のそばになるよう、かなり研究したそうです。
ほかに地元のブランド豚肉サチク赤豚のつけ麺など、冷たいものもありますよ。
地元の人に「超人気」という、ふのりをぜいたくに乗せた「ふのりそば」は950円。
「つゆにふのりが溶けちゃうから、早く食べて」と郁子さん。磯の香りがたまらず、するすると食べてしまいました。昆布をたっぷりと使ったつゆもおいしい。ちょっと肌寒くなってきた、斜里の夜にいいですね。
名残惜しいけど、そろそろ帰る時間です。
まだまだ食べてみたいお料理がありましたが、次回のお楽しみにしますね。
ちなみに…一番気になったのは、お店オリジナルのジャガイモ料理、その名も「なんじゃいも」!
どんなお料理かな、今度は必ずいただきます!
- 知床そば居酒屋 えん
- 斜里郡斜里町港町1
電話 0152-22-1800
営業時間 17:30~22:00(L.O.21:30)
定休日 日曜
※知床そば居酒屋 えんのメニュー料金は、税抜価格です。
北見といえば今は焼肉。かつてはハッカのまちでした。
焼き肉に行く前にちょっと寄り道。
北見ハッカ記念館です。
1905(明治35)年頃から生産が始まった北見のハッカ栽培は、1939(昭和14)年に全盛期を迎え、世界ハッカ市場の約7割を占めていました。記念館では当時の北見のハッカの歴史を知ることができます。
記念館の周りのハーブガーデンにはたくさんの和種ハッカが植えられています。
やっぱり鉢植えのミントとは大違い、農作物品種のハッカは背丈も高く葉も大きく力強いですね。
でも葉に触れてみると、スーッとさわやかな、よく知っている香りがします。
隣接する薄荷蒸溜館ではちょうど蒸溜実演中でした。金色のハッカオイルが少しずつたまり、それまでに感じたことのない、青くやわらかなハッカの香りが漂っていました。
気分もリフレッシュ!ハッカオイルをおみやげにして、そろそろ目的のお店に向かおうかな。
念願の焼き肉店にやってきました。繁華街ではなく、「まさかこんなところに」という住宅地。多くの地元ファンが集う焼き肉の名店「沢の園」があります。開店前におじゃますると、店主の沢田武男さんは奥で作業中。
奥さんの手書きというお品書きもいい感じ。
ただ今お肉のカット中でした。わ~、とっても厚切り。「うちは国産のいい生肉しか使わない。手に入らなくなったら店はもうやめるよ。肉もこの厚切りじゃないとおいしくないから」
とてもやさしい沢田さんですが、肉については厳しい!だから長年たくさんのお客さんが来るんですね。
肉と火の担当が沢田さん、妻の光子さんは接客担当です。2人を慕ってやってくる常連客も多いのです。
あ、電話が鳴った!懐かしい電話だなぁ。「はいはい、カルビにホルモンね、何人分?」
ここはお肉屋さんでもあります。
今日は土曜日、自宅で焼き肉を楽しむ人たちからの注文の電話も、次々にかかってきます。
「いつも店に来てくれるんだよ」という常連さんも、「今日は子どもたちが帰省したから家で焼き肉。ここのカルビ、どこよりもおいしいんですよ」
こちらのお客さんも「今日は久しぶりの晴れだから、庭で焼き肉です」
そうこうしているうちに、もうすぐ開店。
お客さんを待たせないようにと七輪の火の準備。
さあ、開店しますよ。
たっぷりと小鉢に入れたのは沢田さん手作りの焼き肉のタレ。
とろりと濃厚。フルーティないい香りがします。
「リンゴにタマネギにニンニクに…あとは内緒」おいしいと評判のオリジナルのタレ、楽しみです。
早い時間は子どもたちの姿も見えます。長年店に通う常連さんも、今日はお孫さんを連れてやってきたそうです。
私たちが頼んだのは、ガッツリと「牛下り」700円、「牛舌」780円を3人前ほど。ステーキみたいに厚切りです。タレのほかに卓上にはガーリックやコショウなど調味料がいろいろ。北見のお肉は生だから、タレ以外は自分で好きに味付けするのが北見風なんです。
う~ん、おいしい!やっぱり名物の「ホルモン」も2人前頼んじゃおう。安い!一人前280円。焼くとカリふわです。ごはんもついパクパク。タレがまたおいしいんだもの。
お肉からしたたり落ちる脂でファイヤー!
どんどん煙ってきましたよ。
気付けば満席。視界もかなりかすんできました。この煙も名物。
お座敷でテキパキ働く、光子さんの姿もかすみます。「満席になると向こうが見えなくなる」という伝説は本当でした。
この煙を体験できてうれしいな!
「この七輪が使えない、なんてなったらやっぱり店は辞めるよ」と沢田さん。炭火の焼肉のおいしさは、何ものにも代えられませんものね。
ここに集まる人は煙も匂いもなんのその。
おいしいからたくさん集まり、長年通っているのですよね。
北見に来る楽しみが増えました!
- 沢の園
- 北見市東三輪1丁目94−10
電話 0157-22-0482
営業時間 17:00~21:00 ※早じまいあり
定休日 月・水曜 ※不定休あり
※コラムに記載のメニュー料金は、「知床そば居酒屋 えん」は税抜価格、その他の店は税込価格です。